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死が彼らを巡り合わせるまで  作者: 直紀けい
第一章 砂上の贄柱 スナトリ
17/33

4-1 うみは吐き出されない限り、滞るだけだ

──現実世界 八月二十三日・side【神代隗斗】──



 カナタと二人で狩りに出かける約束は果たされた。

 薄氷が身体を覆うような冷たい空気に狩猟をするのは、完全に日が昇ってからでは酷い暑さでターゲットと狩人双方が参ってしまうからだ。

 砂漠に住まう動植物なら暑さに耐性があるのでは?と問いを投げ掛けると、カナタ曰く「そういうやつらも居るし、オレらが狩るのは涼しいときに見かけるやつだから」らしい。


 砂漠の民スナトリの住処から歩いて数十分。

 砂の色が若干濃く変化してきた地点で、カナタは草むらに近付き嬉しそうな声をあげる。名を呼ばれたので駆け寄ってみれば、仕掛けた罠に獲物が引っ掛かっていた。


 獲物の名はサソリエビ。上半身が(さそり)の形をしており、下半身…尾が海老のそれは中々グロテスクだった。

 余談だが、海老と蝦の違いは、海老が歩行類で蝦が遊歩類である。砂の海で遊歩せず、砂上でしゃかしゃか歩くサソリエビが罠の中でうじゃうじゃと蠢いている。

 グロいの平気かと聞かれたのはこれか…とげんなりしつつ、見た目がグロテスクなものほど美味だと己を叱咤し、カナタに手渡された袋にサソリエビを入れた。

 うっかり裏側を見てしまった。グロい。

 二つのハサミはよく研がれているようで、人間の指など容易に切断すると聞く。その実証をするつもりは毛頭無い。

 捕獲用の袋は、サソリエビが破って逃げ出さないよう内側に鉄製の鎖帷子が編まれていて、それなりに重い。これは人手が要るはずだと腕に力を入れる。

 あと二、三個くらい罠を張ってあるんだぜ、とカナタからありがたい言葉をいただき、隗斗は気力を奮わせて狩りに挑むことにした。


 カナタの言う【狩り】は中々にハードだった。

 肉体労働は大いに結構であるし、お世話になっている身の隗斗としても喜んでやる。今日の晩御飯にありつけないのは隗斗だけではなく砂漠の民スナトリの皆が堪えるだろう。備蓄はあると思うが。

 だが、精神面が全く揺るがないとは言えないものだった。サソリエビを満面の笑みで解体する幼い少年を目の当たりにして、隗斗は非常に何とも言いがたい気持ちになる。

 不平不満は無い。無い、が、やはりカナタのグロテスクへの輝かしい笑顔はしばらく忘れそうにない。

 年端もいかない少年が、自分の顔よりも大きなサソリエビを心から嬉しそうに、実に楽しそうに次々と解体する様は圧巻であった。

 サソリエビの硬い外殻をバリバリと剥ぎ取り、左右にバラバラと動く足を無造作に千切っては投げ千切っては投げ………これ以上思い出すのは止そう。あの光景がトラウマになりそうだ。

 何か手伝うことはありますか?そう隗斗が問えば「特にない! 狩り終わったから帰っていいぞ!」と全力で断られた。普通に悲しい。

 想像だが、彼のスイッチは切り替えが激しいのだろう。普通に日常の会話をする際の仏頂面と、グロテスク作業時の喜色満面があまりにも差が広い。


 時刻は昼時。さんさんと降り注ぐ太陽の光は本日穏やかである。

 カナタの狩りから解放された隗斗は、自身に宛がわれた簡易テントの中をさくっと片付けた。いつまでも荷物を散らかすわけにはいかない。


 (さて、これからどうしようかな)


 簡易テントを後にして、さらさらとした砂の上を歩く。

 靴は履いていない。どうあがいても細やかな砂が靴の中に侵入してくるので、わざわざ不快感を抱くよりは裸足で過ごすほうがマシだ。

 現に、砂漠の民スナトリも同じように裸足である。道往く民は焼けた足でぺたぺたと歩いていた。彼らは隗斗を見かけるとにっこり笑みを浮かべて挨拶してくれる。同じように笑顔で返答しておいた。

 聞くところによると、砂漠の民は昼食をとらないようで。朝と夜のみらしい。その代わり、腹が減れば各自自由に間食を行っている。

 食事を用意する者。材料を狩る者。水を汲み取る者。隣町へ赴き買出しをする者。様々な役割が存在し、砂漠の民スナトリは生活している。カナタは食材の調達係だと思われる。


 隗斗の腹の虫は鳴いていない。

 お昼は別に要らないかな、いや食べてもいいくらいだな、と腹と空き具合を相談していれば、前方からやって来た青年に声を掛けられた。


「カナタのお相手、お疲れさまです」

「おや、キクさん」


 黒々とした長い髪を後ろで一つに結んだ青年、キクがにこやかに隗斗に会釈した。テントの中では真っ黒一色に見えたが、外に出て光に当たると途端に柔らかく見える。

 キクは抱えるほどのバスケットを手にしていた。良い匂いが辺りを覆う。青年の涼やかな薄緑の瞳は、隗斗を労わるように弧を描く。


「あれは少々お茶目なたちでして。隗斗さんに自分の得意分野を見せたかったのでしょうね」

「そうでしたか。いや、僕も貴重な経験をさせていただきましたから」


 お茶目と言うよりは、ちょっとだけ荒っぽいと言うか、野生児と評したらいいのか。

 民への貢献度で表すなら、かなり役立っているのではないだろうか。食事は生命の維持に必要だろう。うん、カナタは自分のやりたいことをやりたいように実行しているだけかもしれないが。

 それにしても、キクの言葉が本当ならばカナタの言動も可愛らしく思えてくるから不思議だ。

 本人からも嫌いなタイプではないと評価されている。隗斗に特技をアピールしたのだと考えると、少年の無邪気な笑顔も多少は受け入れ………られる、たぶん。

 隗斗の言に「ふふ」と優しく笑うキクが、薄緑の色をした目で問い掛ける。


「時に、私が焼いたパンはどうでしたか?」

「もしかして、キクさんが朝食のパンを?」


 焼きたてふわふわのメロンパン。もっちりとさくさくしたクロワッサン。半分に千切ると中からつやつやの餡子入りのパン。

 他にも色々と並んだ朝食を思い出し、隗斗は途端に空腹を感じた。現金だが、減るものは減る。

 隗斗の疑問にキクは大きく頷く。礼節を纏った青年の空気ががらりと変わり、薄緑の目を爛々と光らせた。


「ええ。民の皆に焼いて配っています。趣味の延長みたいなものでして」

 多少の照れと少しばかりの自信。キクも食事に関わる係だったらしい。

「素晴らしい趣味をお持ちで。とても美味しかったですよ、ごちそうさまです」


 これは嘘偽りの一切無い本心だ。

 食は命の源。心の栄養でもある。腹に入ればみんな同じではない。量も質も、どちらかが欠けてはならないのだ。片方だけ満たされたとしても、それはただ一時的に空腹を凌ぐ行為だと隗斗は考えている。燃料を補給するのと何ら変わらない。

 キクは瞳をきらりと輝かせた。

 

「ちなみに、どれが良かったでしょう」

「ええと…全部美味しかったですけど、ミンチにした肉を甘辛くしたパンがありましたよね。あれが一等好きです」

 思い出すと、ぐうと腹が鳴る。咄嗟に両手で腹部を押さえつけたが、キクにはもちろん聞こえている。彼は愉快そうにくすくすと笑う。

「チビウシパンですか。また明日もご用意いたします、お楽しみに」

「あ、ありがとうございます」


 チビウシとは、砂漠の比較的涼しい場所に生息する生き物だとキクが述べた。

 大人も子供も皆一様に同じ体型で、ある一定の大きさになると成長が止まる。その時点で大人のチビウシとされるのだ。

 草食動物のチビウシは大人しく、襲われても突進や圧し掛かることはせず、牙や爪など危険なものは無い。難易度の低い狩りに相当する。砂漠の民スナトリにとっては大事な食材だろう。

 チビウシの挽肉を甘辛く煮て、パンの中に入れたものが此処ではチビウシパンと呼ばれるらしい。砂漠にしか居ないなら、隗斗がチビウシパンの存在を知らなかったのも頷ける。

 

 キクは抱えていたバスケットから二つのパンを隗斗に手渡す。曰く「お昼時なので、必要な人に配ってます。隗斗さんもぜひ」と施されたのだ。

 目の前で腹を鳴らしていれば渡されるのも道理だと思い、隗斗は羞恥心を滲ませながら礼を口にする。どちらも甘いパンだそうで、キクと別れてからさっそくいただいた。

 彼の焼いたパンは量も質も、どちらも満たされており美味しい食事が出来た。あっという間に平らげた隗斗は、涼めそうな場所を探してふらりと歩を進めた。



* * *



 砂漠に居るというのに、漣の音が聞こえるのは不思議なものだ。耳を澄ませば水同士がひしめき合う音が傍にある。

 人間は水の音を聞けば安心すると言われているようで。確かに、この音は耳によく馴染んで心地良い。隗斗は瞼を閉じて漣に意識を向ける。

 母親の腹の中…羊水の中に居る時に似ているから、人は緊張を解いて安心するのだ。無条件に許される場所であり、存在してもいい場所。息をして、身を預けてもいいところ。


――だが何故だろう。静謐なこの音に腹の底が冷えるのは。


 人ひとりを包み込めるほど巨大な葉が生えた巨木の下で、隗斗は木陰で休みながら無為に時を過ごす。

 こんなにゆっくりとするのは久しぶりだ。何千年も年輪を刻んでいる巨木に背を預けながら、空を見上げてみる。群青色の空が広がる天に雨雲は一つも無い。

 今日は本当に良い日だ、と口角を上げる。白い雲が形を成さず散ばっている程度である。恵みの雨も、オアシスが近接しているこの砂漠の地スナトリでは然程必要無いのだろうな、と隗斗は視線を下げた。

 襲来する酷暑という気候さえ気にしなければ、楽園にも等しい土地はどこも笑顔に満ちていた。その土地を知るには、まず人を見るのが必須。人々の顔を、纏う空気を感じ取る。

 通り過ぎる砂漠の民は、涼んでいる隗斗を見掛ける度に笑顔を浮かべ、ひらひらと手を振る。好意的な視線は優しい。隗斗も彼らを見習って手を振り返す。

 きっと衣食住に満足しているから心根も柔和なのだろう。旅の途中で見た貧民街は、人間の悪意が密集し、害意の坩堝と化していたというのに。この砂漠の地は正反対の温かさで溢れている。

 スナトリの民を一人一人観察して楽しんでいれば、隗斗に近付く人影がひとつ。いち早く気付いた隗斗が顔を上げれば、雪彦が手に何かを持ったまま棒立ちでそこに居た。


「雪彦? どうしました」

「あっ……いや、喉が渇いてないか、と、思って」


 雪彦の手には二つのコップがあった。

 視線を合わすことなく差し出されるコップに隗斗は笑みを浮かべて礼を口にする。


「お気遣い、どうも」

「隣…いいだろうか?」


 小さな声で訊かれたので快く「もちろん」と了承すれば、雪彦は控えめに腰を下ろした。

 二人が背もたれにした巨木はまだまだ余裕がある。


「ここの人達は優しいですね。余所者の僕にこうして好意的に接してくれる」

「それは…皆、そういう風に育てられて…いや、育ったから」


 隗斗にとっては純粋かつ素直に出た言葉であったが、雪彦は俯くのみ。自身が持つコップの水をジッと見詰めるだけで肯定は一切無い。否定も無いが、どこか引っ掛かる。

 不思議に思いつつ、掘り下げるほどの違和感は抱かなかった。雪彦が親切心で持ってきてくれた水を口に含む。瞬間、口腔に広がるのは想像していた清涼な水の味とは違った。

 (……毒、ではないな。何だ?)

 舌がビリビリと痺れるような、このまま嚥下してはいけない予感。何が起こるか分からない恐怖。毒の味など覚えたくはないのだが、旅はそう優しいものではない。隗斗は何でもない風を装う。

 今まで味わったことのない奇妙な水。隗斗は表情を崩さず、雪彦の様子を覗いた。日に焼かれないようフードを被っているのは表情を隠すためでは無い。纏う雰囲気も平淡。視線が合わないのもいつものことで。

 (…ごく普通、に見えるな)

 毒を差し向けるような動機も不明。クニミツはレーレイ遺跡の件を言外に許している。彼の人柄からして、刺客を送るとは思えない。雪彦も買って出る性格ではないだろう。

 何よりも、隗斗が水を口にした瞬間、そして飲みこむまでの過程を見届けない自然な挙動。イコール、これはただの水で、隗斗の体質に合わないものだと予測される。

 そう判断した隗斗は二口目を飲むふりをしながら、口の中にある温い水を音もたてずにコップに戻した。せっかく持ってきてくれたのに目の前で吐き出すのは不義理だろう。行儀だの不衛生だの言っている場合ではないのだ。セーフセーフ。

 沈黙を貫く雪彦はこちらに視線を寄越さない。ありがたい、と考えながらこっそり見えないようにコップの水を地面に落とす。みくが持ってきてくれた水は問題無く飲めたのになぁ。

 隗斗がこそこそと水を処理していると、ずっと逡巡していたのか雪彦が薄い唇をゆっくりと開く。


「優しくない…俺は、そう思えない……思うだけの理由が、ここには無いんだ…」


 はて、砂漠の民スナトリが優しくないなら何を優しいと言えばいいのか。

 隗斗は返答に詰まり、雪彦の言葉を反芻する。しばらくの無音が続いた。


「……隗斗は、本当の自由って何だと思う」


 突拍子の無い問い掛けに、刹那の間だけ無言を返す。

 自由。自由か。哲学かな?と茶化す空気でもない。雪彦は普段の陰鬱な空気よりも更に暗雲を寄せ集めた表情を浮かべている。

 僅かに考えてみる。自由とは、重荷も責任も背負わないこと。気負うものもなければ、頭上の青空のように心が晴れ、澄み切っていることだろう。


「何も縛られていない状態ですね。世間や教え、周囲の声など…様々なものから解放された状態でしょうか」

「そう…だな。俺も、同じ意見だ」

 問いを投げた雪彦は首肯する。

「僕も一つ質問を。雪彦はこの砂漠の民にしては色白ですが、何か理由が?」


 隗斗が人差し指をぴんと天に突き立てる。

 雪彦の問いには真意が掴めない。彼が何を知りたがり、何を探っているのか。ただ単に自由気ままな旅人へ「自由ってどんな感じ?」と気軽に尋ねるのとはわけが違う。

 彼の表情は暗い。和気藹々とした陽気な性格ではないと断じているが、それを考慮しても憂愁の色が濃いのだ。噎せ返るほどの湿っぽい靉靆(あいたい)が彼を取り巻く。

 砂漠の民スナトリの皆と顔合わせをした際の疑惑を、本人に直接ぶつけてみる。不躾な質問だと理解している。動揺と、口を滑らすことを願って隗斗はわざと形にした。


「……俺に…答える権利は、ない」


 雪彦は隗斗から顔を背け、何かを言いかけては止める。

 二度、三度、唇を噛み締めていた。いっそ血が出ないのが不思議なほどに。


「…敢えて言うなら……湖が濁れば、汚らわしい沼になるように。うみは、吐き出されない限り…滞るだけだ」


 言うや否や、雪彦は立ち上がる。彼の服に付着していた砂がぱらぱらと落ちた。

 真意を追究しなければならない。隗斗はすぐさま言及の姿勢を取る。


「それはどういう、」

「あまり、ここに留まるな」

 隗斗の言葉を遮り、雪彦は続ける。

「アンタを嫌って言ってるわけじゃない。むしろ、好ましい人間だと思っている」

「雪彦…」


 まるで傷口に風が当たり顔を顰めるように、雪彦は痛ましい表情を浮かべていた。

 彼が立ち上がり、隗斗が座り込んでいるため青年の顔がよく見える。長い前髪の間から覗く翡翠の瞳。綺麗なその色は恐慌と苦悶に侵されていた。

 あまりにも雪彦が苦しそうな声色で紡ぐので、隗斗は追撃の手を伸ばせずにいる。何が彼をこんなにも痛々しくさせるのか分からない。何をそんなに苦しんでいるのか。

 雪彦は視線を下へ下へと落とし、隗斗から見えなくさせる。肩から腕を無理矢理くっ付けたように、ぶらりと垂れ下がる両手は固く握り締められていた。僅かに震えている。


「だから、あまり長くここに居ないほうがいい。旅人ならば、早く次のところへ行け。ここは駄目だ…駄目なんだ」


 お喋りが得意ではない彼にしては、やけに饒舌だ。

 隗斗は理由を聞かず、別の問いを口にする。


「それは警告ですか」

「助言だ。これ以上は言えない」


 ふっと面を上げた雪彦の顔は、完全なる拒絶を示していた。

 自信の無い翡翠色の目が冷え冷えと凍る。隗斗は雪彦の言葉を念頭に置き、思考を巡らせた。


 うみ。湖、沼と続けば【海】と連なるだろう。

 吐き出されない。何を? 滞るのは湖の時点で、水が滞るという意味か?

 (雪彦にとっての水は、砂漠の民のことだろうか)

 なら、海は砂漠の地。砂の海とも言える。だから、滞り続ける。砂が吐き出されない限り、砂の海は不滅だ。

 濁れば沼と化す。濁る、イコール余所者が湖を荒らし濁している?

 旅人の自分がいつまでも居ては、迷惑になるという次元の話……そうだとしても、雪彦があんな顔をする必要は無い。


 もう少し深く掘り進んで考えてみよう、と思い至れば自分の名を呼ばれる。

 声のするほうへ視線を向けると、昨日知り合った少女が此方に手を振っていた。手招きされている様子を見ると、呼ばれているのだろう。

 隗斗は雪彦と同じ目線まで立ち上がる。彼はジッと隗斗を見詰めており、観察と言うよりは隗斗の答えを大人しく待っているように見えた。


「一応、みくの誕生日までは居るつもりです。そうしたら、また旅に出ますよ」


「…そうか」


 小さく呟き、雪彦は会話を終了させる。隗斗も呼ばれている以上、ここを去るしかない。名残惜しい、もうちょっと突いて話せば何か掴めるかもしれないのに。

 再度少女に手招きされて、隗斗は苦笑しながら「失礼」と雪彦の隣から離れる。ひとつ頷いた雪彦を尻目に、隗斗は少女の傍へと駆け寄った。

 その光景を静かに見届けた雪彦。フードを深く被り直し、隗斗の姿を目に焼き付けるように凝視する。


「それでは……手遅れになるかもしれないぞ、隗斗」


 青年の言葉は、快晴の空に淡く消えた。

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