友よ
1月12日(水)
天気予報通り今日は朝からすこぶる冷え、一日中ストーブを抱きかかえるようにしていたが、さあ、夕方の練習だ。
庭に下りると小雪がちらついている。
いつものように体操、ジョギング―と言っても猫の額のような庭なので10数歩走ったら折り返すが―で軽くウオーミングアップ。
それからが庭での練習のメインとなる各種のジャンプ。
砲丸や円盤の飛距離を決める最大の要素は下半身の強さとバネにあると気づいた私は、それを手に入れるためにはジャンプ練習が必要であると判断した。
世界トップレベルの投擲選手の練習の様子をユーチューブで見ると、彼らがしばしばハードルや階段などを使ってジャンプ系のトレーニングを行っているのを見て、
(投げる競技なのにもかかわらず何故ジャンプ力をつけようとするのだろう?)
といつも不思議に思っていたが、マスターズ陸上を始めて14年目にしてそのことの重要性にやっと気が付いた。
地面反力を使って下半身主導で投げるのだ。
具体的にどんなトレーニングを思いついたかというと、縄跳びのようなその場ジャンプ、しゃがみ込みからのジャンプ、後ろ走り、サイドステップ、クロスステップ、斜め方向へのジャンプ等々。
あらゆる方向へのジャンプを行うこのトレーニングを取り入れて二か月近くがたつが、太ももやふくらはぎがはっきりと太くなり足にバネが生まれてきたし、脚のさばきもシャープになってきた。
先ほどニュースで第27回全国都道府県対抗男子駅伝競走大会の中止が告げられた。
ネット上の日本陸上競技連盟の公式発表にはこうある。
「他地域と比べ急激に感染拡大が進む広島県内の現状を踏まえると、全国か
ら訪れる選手をはじめとする関係者、大会運営を支えていただく大勢のスタッフ、そして地域住民の方々の安全確保などの観点から、地元自治体や関係団体とも協議し、やむなく中止の判断に至りました」
二年続けての中止で残念だが、今の広島の状況からしてやむをえまい。
私は毎年、この駅伝の試合前日と当日の朝6時に広島駅に行くのを習わしにしていた。
日本を代表するようなトップランナーに交じって、各県代表の中学生、高校生の選手が暗闇の寒気の中、朝練習をしている様子を見るためだ。
真剣勝負を前にまなじりをけっし、白い息を吐きながら走る若い彼らを見ているといつも胸に熱いものがあふれ、目の前を通り過ぎる一人一人に「いいレースを!」と無言で声をかけたものだ。
彼等の朝練習を見終わって、まだ夜の明けぬ街を自転車で自宅に帰る道すがら、いつも岡林信康の歌「友よ」が頭の中を流れた。
“友よ 夜明け前の闇の中で
友よ 戦いの炎をもやせ
夜明けは近い 夜明けは近い…“
30分かけて庭での練習を終える頃には、この寒さにもかかわらず額にうっすらと汗が浮かんできた。
見上げれば雪雲の間に青空がのぞいている。
・寒い雲が急ぐ(種田山頭火の句より)




