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金目の召喚術師 ~猫狂いは二塔に挑む~  作者: 鼻血魔人
召喚術師は挑戦者へと至る
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29/50

「召喚術師は休む」

 「…もう、何も知らないのんきな顔で寝ちゃって…まだおきないの?寝ぼすけさん。」


 「こらこらアイ。シーガを使い切って寝てるんだよ。丸一日目を覚まさないことも珍しくないさ。」


 「うぅ~。ケンのばかっ。」


 「はいはい、こっちにおいで。」


 息子の枕元でいちゃついているのは、当然ケンソーとアイクウの万年新婚夫婦である。今は、アルとユーリの激戦の翌日、模擬戦終了から今までずっとアルは眠り続けている。枕元にはクロも丸まっており休養を取っている。


 「けど……あの模擬戦は…色々な意味で影響を与えるだろうね。」


 「やっぱり…そうなっちゃうのね。まずは…クロちゃんの認定かしら?」


 「あの場には、僕ら以外にも貴族がいた。その中には間違いなく、潜在的な敵もいたはずだ。アルが一発で負けるなら注目もされなかったんだろうけど…良い試合しちゃったからね。」


 「もぅ…見てて心臓がどきどきだったわよ。すごい試合しちゃったわよね…。」


 アイが心配そうな顔でアルの髪を撫でる。ケンはその横に座りながら、何やら思案している。二人の脳裏に浮かぶのは昨日の模擬戦である。






 会場を埋め尽くしているのはほとんどが生徒であるが、中には噂を聞きつけた貴族もいる。それ以外にも物見高い挑戦者などもおり、何やらただの模擬戦ではなく、お祭りのような雰囲気が生まれ始めている。


 「で、今回戦うのは注目株だっていうから、わざわざ来たわけだが、ユーリッシュ嬢は分かるが、このアルマーオというのは誰だね?」


 「コネカット……確か落ちぶれた召喚師の一族ではなかったでしたかな?ふむ…召喚術師…。」


 「時代遅れの魔法だな。しかしまぁ、ユーリッシュ嬢の実力を公の場で確かめられるのには意味がある。」



 「なあ!ユーリッシュ先輩が勝つよな!」


 「当たり前よ!銀の乙女が負けるはず無いじゃない!」



 「アルマーオってのは、どうなんだよハイサキ。すぐに負けちまうんじゃ、暇つぶしにならねぇぞ?」


 「ん?…んー、そう簡単には負けねぇと思うぞ。なんたってケンソーさんの息子さんだからな。」


 「え!?ケンソー様の!? じゃ、じゃあケンソー様いらっしゃってるんじゃないの!?化粧直さなくちゃ!」



 「キグン、何もそんなに顔を隠さなくても、普通に行けば良いじゃない。」


 「騒がれるのは好みではない。君ももう少し顔を隠すべきだ。…君が騒がれるのも見たくは無い。」


 「はいはい、分かりましたよ、あ・な・た。」


 「きゅ、急に抱きついてくるのではない。」



 「は!今、ケンを狙う悪しきシーガを感じたわ!ケン、私から離れないでね。」


 「アイ、君と離れる時など一生訪れないよ。」


 「あぁ、ケン、アルは大丈夫かしら。」


 「まあ、大負けしても良い経験になると思うよ。」



 と、このような感じで、品定めをしにきた貴族、ユーリ親衛隊の後輩たち、暇つぶしの挑戦者たち、それぞれの保護者なんかが集まってきてとても賑やかな状態だ。そうこうしている間に、対戦者の二人が会場に入る。途端に歓声が上がる。


 「ユーリッシュ様ぁああぁ!!かっこいいぃいぃい!!そんな黒髪のガキなんて一撃で倒してぇぇぇ!!」


 「……アルマーオ…下賎なやつめ…私の栄光を盗んだな……。」


 「ほぅ……やはりドーギヌ家の娘は美しいな。私の長男の嫁に相応しい。そうすれば有力氏族とのつながりも出来る…。」


 「アルのやつ、全然緊張してないじゃないかい。ようやく実力がみれるのかねぇ。」


 「ちょっとアイ、落ち着いてっ。相手はただの子供だよっ。」


 「あなた、ユーリとていつかは結婚します。話だけで怒らないでくださいませ。」


 「ハイサキ!どっちが勝つか賭けようぜ!俺は銀髪の嬢ちゃんに銀貨一枚だ!」


 ユーリに声援が集中するのは仕方が無い、知名度が全く違うからだ。この年まで全く学校に通っていなかったアルマーオのことを知っているのは同じクラスの生徒、そして教師だけだ。実力を正確に把握しているものはその中にはいない。父であるケンソーも、鍛錬はつけているものの敵と向かい合って戦う時の実力を知っているわけではない。傍らにいる召喚獣も含めて未知数、それがアルマーオに対する評価となるだろう。


 「…この場であれほどの落ち着き……やはり危険か…」 


 「俺はじゃあ…アルマーオ君に銀貨2枚だ。」


 「召喚獣を従えているということは、ある程度の実力を持っているのかあの少年。」


 「ケン!止めないで!あの子はアルマーオを馬鹿にしたわっ!」


 「怒ってなどいない…しかし、あのアルマーオ君。中々に実力がありそうだが…。」


 だが、その中でもアルの実力に気付き注目をしている者たちが何人かいる。これだけの人数に囲まれても動ぜず、ユーリという実力者との対戦を控えているにもかかわらず自然体を保っているアルマーオを、実力者なのか愚か者なのかを測り始めているようだ。




 観客全ての注目が集まる中でワーオンの右手が高く掲げられる。張り詰めた緊張感を持って見つめる人と好奇の目で緩く眺める者とに分かれる中で、右手が振り下ろされる。


 「始め!」


 ついに始まった相克武闘、盛んにユーリへの応援の声が飛ぶ。最初の接敵に際して、ユーリの槍術の見事さにため息がこぼれる。それを何とか防いだアルマーオへの評価も高まっていく。


 「ほぅ、あれを避けるか…。」


 「だが…確かあの召喚獣の特殊能力は…」


 ロアンの影喰が発動した瞬間どよめきが広がる、攻撃の鋭さと危険性に気付いたからだ。しかし、それを避けたアルマーオに対する評価は分かれる。避け方の無様さに笑うのは戦闘を理解できていないもの、避けたことに驚きを隠せないのが戦闘を生業とするものたちである。


 「なんと!尻餅をついて避けるとはなっ。情け無い姿だ。」


 「おい。今あいつ何見て避けたんだ?盾のせいで地面見えてねぇよな、さっきの。」


 ユーリの追撃に歓声が響きかけるが、すぐさま悲鳴が響く。水の大鷲が避けようの無い時機を狙って放たれたからだ。親衛隊の女子たちは、直撃するであろう未来のために両手で目をふさぐ。貴族や挑戦者たちは、クロの魔法に驚きを隠せない。召喚獣が魔法を使う。それは、かなり高い理力と志力を持つ獣であることを意味するからだ。


 「流鷲かよ、水の中級難度だぞ、あの魔法。」


 「あの召喚獣…やはりコネカットが復活したというのは、流言ではなかったということか…。」


 「ユーリ!」


 「落ち着きなさい、ソーリン。ロアンがいる。」


 キグンの言葉を裏付けるかのように影の盾が産み出される。生徒たちの多くから安堵のため息が漏れるが、今のやり取りを見てアルマーオへの評価は大きく変わったようだ。


 「コネカット一族…これは警戒する必要があるか?」


 「これは、中々良い暇つぶしになるんじゃねぇか?」


 「さすがケンソー様の息子さん!私の息子にしたいわ!」


 「彼はまだまだ棍棒の扱いがなっていないな。しかし、あの召喚獣は中々に強い。扱えるのは水属性のみなのか?」


 あちこちで会話が聞こえる。アルマーオとは誰なのか、あの召喚獣はなんという種族なのか、情報を集めようと動き始める。一歩的な勝利で終わると思われていた模擬戦が、別の意味で熱を持ち始めている。


 「おい、今度は黒髪の方がうごくぞ!」


 「召喚獣は何をしてる…旋風雷か!雷属性初級だが…生成から射出までが速いぞ!」


 「ケン!止めないで!今絶対私たちの敵がいたわ!私たちのアルマーオを奪い取ろうとする邪な意思がみえたのっ!」


 「おぉアルのやつ、やっぱり速いじゃないかい。しかも速度の変化もつけてるじゃないか。面白いねぇ。」


 アルが速度変化をつけて槍を避け、さらにシーガの盾を使って槍の動きを阻害してみせると、またしても観客からどよめきが広がる。召喚獣の魔法だけではなく、アル自身にも戦闘技術が備わっていることを証明して見せたからだ。


 「自在にシーガを操ってやがる…あれで9歳だろ?」


 「ねぇ、アルマーオ君って授業の時さ、あんなに上手く操ってないよね?手を抜いてたってこと?」


 「落ち着いて、アイ。大丈夫だよ僕がいるさ。…ん~アルマーオ、それはあまり良い手じゃないかもしれないよ。」


 そして、アルがユーリのプロテクターを狙う。瞬間、ユーリの体が爆発し、アルが吹き飛ばされる。


 「げっ…炎舞じゃねぇか!…もう使えんのかよ…あの嬢ちゃん。」


 「でたわ!ユーリッシュ様の炎の魔法を用いた闘術!これでアルなんちゃらも終りね!」


 「…まだまだ自制心の訓練が足りぬか…あの程度で炎舞を用いるとは…。」 


 「あら、私だって手を抜かれたと思えば怒りますわよ?それこそ烈火のごとくね。」 


 爆発で吹き飛ばされたはずのアルが、棍棒は焦げているものの何事も無く立っていることに再度驚きが広がる。


 「あの爆発の瞬間に防御を間に合わせるってぇのかよ。シーガの操作、どれだけ熟達してやがんだ?」

 

 「状態変化…少なくとも固定と弾性強化は用いることが出来るのか。あの年齢でどれほどの修練を重ねたというんだ、ケンソー。」


 ユーリの怒りと、それを受け止めたアルの決意。両者の言葉が交わされる。その声は風に乗って観客席まで響き、それぞれの心を打つ。


 「ユーリッシュ様、なんだか今日は怖いわ…いつもの余裕が感じられない…。」


  「アルマーオ、私との約束をちゃんと守っているのね。えらいわ!さすがケンの息子!」


 「ふん、三流貴族のガキが偉そうに何を言うか…。しかしユーリッシュ嬢も不甲斐ない。速く打ち倒せば良いものを。」


 「おぅおぅ、あのガキ中々言うじゃねぇか。ハイサキ、俺はあいつのこと気に入ったぜ!」


 しかし、そんな軽口も一気に静まり返る。ユーリが炎槍を発動させたからだ。炎剣や炎槍はソウト家やドーギヌ家の奥義であり、習得できるものが少ない高難度の技法でもある。


 「炎槍か…まだ炎が荒い。しかし、ユーリはあそこまで短気だったかな?」


 「それを言えば、ここまで大事になっても引かなかった時点で珍しいのではなくて?きっとあの子の譲れない何かがあるのでしょう。」


 「炎槍を既に習得しているとは!この情報が広まれば…婚約希望者があっという間に増えてしまうっ。」


 「ちっ…召喚術師風情が変質をここまで使いこなすとはな…不愉快極まりない…。」


 そして、炎槍の一撃によってアルが吹き飛び、それに気を取られたクロが攻撃を食らうと、ユーリ優勢の気配が観客席を支配する。


 「やっぱりユーリッシュ様は無敵なのよ!」


 「あの闇の召喚獣…暗殺などにも使えるかもしれん。」


 「あのアルマーオの召喚獣、これで使った属性三つ目だよな。いくつ使えんだ?」


 「アルマーオ!クロちゃん!…おねがい、無事に帰ってきて!」


 「……炎槍、影喰の一撃で戦闘不能に追い込めないか…これは本物かもな。」


 「あぁ…ユーリッシュさん…その下賎な屑を、私の栄光を盗んだ男を!早く、早く潰すんだぁぁ。」


 しかし、それぞれの追撃をシーガ弾と昇蛇で防ぐと、またしてもどよめきが起こる。アルマーオたちの粘りに決して軽視してはいけない実力があること、観客席全員が気付き始めたからだ。


 「今…10個同時にシーガ弾を操作したよな…あの先輩…すげぇ…。」


 「おいおいおい、昇蛇を三連続でうてんのかよ…本気で優秀だなあの召喚獣、うちの部隊にはいってくれねぇかな。」


 「そうそう、その程度で終わっちゃいけないよね、アルマーオ。」


 「あの子達、良い目をしてますわね。わたくしの道場に誘いたいくらいですわ。」


 激突と激突の合間のわずかな静寂。アルたちが現状を確認している時、観客席のほうでも緊張感が高まってきている。見ている全てのものたちが、終りが近づいてきていることを感じ取っているのだ。そんな中ユーリが突撃し、それに呼応したアルが範囲の遥か手前で動き出す。誰もがアルの行動に疑問を感じたが、ユーリの銀髪が散らされるのを見て驚く。


 「アル、ようやく使ったのか。これで勝負は分からなくなるかな。」


 「……操作したシーガを武器に……排除を急ぐ必要がある……。」


 「自力であの発想にたどりついたのだとすれば…末恐ろしいな…。」


 ユーリへと逆に襲い掛かり、槍を固定する所までアルが持ち込むと、観客席には戸惑いが生まれ始める。このままではユーリが負けるのではないか、という疑念が頭をよぎり始めたからだ。親衛隊の女子たちは、声にならないような絶叫を響かせて応援している。貴族たちは冷や汗をかきながらアルマーオの情報収集を心に誓う。挑戦者たちは、興奮した様子でそれぞれが賭けたほうへと声をかけ囃し立てる。両方の保護者は冷静に観察し、状況を予測する。ユーリたちのほうに向けられていた視線が、大きな音が試合場から轟いたことでクロたちへと向けられる。


 「んな…嘘だろ…湧蛇!?…中級上位難度だぞありゃぁ…。」


 「な、なんだこの影の槍たちは、生きているかのように動き回っている!」


 「影狼爪まで使わされるとはな…ロアンも追い詰められているか。」


 「あの召喚獣すげぇ!かっこいい!!」


 彼らの驚きは、覚めることなくより大きな衝撃となって再度彼らを襲う。クロが華雷護を発動させたからだ。


 「なんだこの魔法は!?見たことが無いぞ…。」


 「…集団上位に迫る雷の秘奥…ラジン家の奥義を…汚らわしい召喚獣めがぁ!」

 

 「まだ、水の助けが無いと展開できないようだね。しかし、クロ、どこで覚えたのかな?」


 影と雷の相克が始まった時、またしても観客席の注目を集める大きな音が響く。ユーリが火甲纏を発動させたのだ。ドーギヌ一族の秘伝を目にした観客の驚きは大きい。秘伝というだけはあり、公の場で振るわれることは少ないからだ。


 「ユーリ!…火甲纏はまだ使ってはいけないとっ…あなたっ、大丈夫でしょうか?」


 「ぎりぎりではあるが、制御している。この戦いの中で我らが娘は成長しているようだ。」


 「アルマーオ!…がんばって!」


 「ここで踏ん張れるかな?アルマーオ、がんばるんだ。」


 ユーリの炎の勢いが勝ち始めたことを確認した多くの人々から安堵のため息が漏れるが、幾人かが違和感に気付く。シーガの輝きが目に見え始めたのだ。普段であれば、シーガは変質させない限りは色がついたりなどはせず、目を強化するかクレナのような恩寵がない限りは視認出来ない。しかし、アルの操作するシーガの奔流が輝きだしており、その輝きは観客にも見え始めていたのだ。そして、同時にアルの瞳も金色へと変化していく。


 「なんだ…あれは…シーガの輝き?」


 「ユーリッシュ様ぁああ!負けないでぇぇえ!」


 「金色の…アルマーオ君のシーガ…綺麗。」


 「おいおいハイサキ!あのガキの目、なんか色変わってねぇか!?」


 「他者が視認できるほどの固定か……父祖の記録にそんなものが残っていたが…。」


 「あの目。召喚の時もそうだったね、確か。本人の何に影響されているのかな…。」


 「ユーリ!ここで引けば女が廃るわよっ!気合を入れなさい!」


 「アルマーオ!がんばってぇ!」

 


 金と紅、雷と影の相克が限界まで続き、唐突に終わる。長い相克武闘の終りを固唾を呑んで見守る観衆。少年と少女が倒れ、ワーオンの声が響く。


  「両者同時に意識を失ったと判断する。よってこの模擬戦、引き分けとする!」 


 その瞬間、観客席全体から大きな歓声が発せられる。勝者はいない、よってどちらかを讃えるのではなく両者の健闘を讃える声だ。生徒の多くは興奮した様子で近くの生徒と感想を語り合っている。貴族たちは、得られた情報を元に今後の対応を考えるために帰宅を急ぐ。挑戦者たちは引き分けの場合の賭けはどうなるのか?などと語り合いながら飲み屋へと向かう。今の模擬戦を肴に語り合うのだろう。では、保護者たちはどうなのか。母親たち二人は、倒れたわが子に会うために、すぐに下に向かっている。父親たちは―


 「どうも、お久しぶりですね、キグンさん。」


 「ああ、息災な様で何よりだ。しかし、君の息子は逸材だな。」


 「あなたのお嬢さんも、かなりの才能をお持ちですよ。」


 「まだまだだ。…次に会うのは恐らく…貴族認定会議か、神獣認定会議となるだろうな。」


 「…やっぱりなりますかね。」


 「なる。間違いない。あれほどの魔法を使役する召喚獣だ。更に言えばコネカット家の家紋とも良く似ている。たとえ違ったのだとしても、強引に認めさせるだろう。属性魔法の一族がな。」


 「…そうなりますよね。1つ、お願いがあります。」


 「貴人税の延長は、最大限の配慮がもらえるよう陛下にはお願いしておく。此度の模擬戦は私の娘のわがままを聞いてもらった形になるからな。これで貸し借りは無しとしよう。」


 「ありがとうございます。」


 父親同士が話し合っていた同時刻、観戦場出口の柱の影で密談が行われていた。一人は赤錆びた色のローブの人物。もう一人はコウゴウである。コウゴウの瞳は小刻みに揺れており、かなり自制心を失っているようだ。


 「なんで…あいつが…あいつが…讃えられるのだ…賞賛されるのだ…そうされるべきは私だ…ユーリッシュさんの隣に立つべきなのも私だ…なぜだなぜだなぜだなぜだ。」


 「彼が卑怯な手で君から栄光を盗んだからだ…一刻も早く彼を排除せねば…消さねば君が消えるのみだ…。」


 「いやだ!いやだいやだいやだいやだいやだ! どうすれば良い。どうすれば良い!!」


 「…そろそろ…進級試験があるだろう…その内容はまだ内密だが…ゲガンの塔演習になる…利用するだけの機会を整えてやる…。」


 「…ふひひひひひ!進級試験に落ちたとなれば…やつの…奴の名誉も地に落ちる!!ふひひひっははははあ!!!」


 「…ふふふ……そうだ…君が奴を地獄に落とすのだ……。」




 そうして連れ帰られたアルマーオはすやすやと眠り、翌日の今もまだ目を覚まさない、というわけだ。アイクウは、つんつんと頬をつついているが、シーガの多用による気絶は、体力を限界まで消費しきっているため、軽い刺激では眼を覚まさないのが普通だ。


 「とりあえず、貴族認定会議か神獣認定会議は間違いなく開かれることになる。」


 「でしょうね…。」


 「キグンさんには力添えをお願いできたから、多少は猶予をもらえると思う。後は私が頑張るだけだね。」


 「む!…私 たち でしょ?ケン。」


 「私としてはアイには無理をしてほしくないんだけども…分かったよ、分かったからその目はやめてね、アイ。」


 「アルマーオのためなら、どれだけ働いても構わないわ。」


 「私もそうだよ。…この馬鹿息子め、いつまで寝てるつもりだ。この、この。」


 「ケンったら、もう。」


 「んあぁ…お父様…お母様…クロ……ありがと…ごじゃます……猫…大好き…」


 アルマーオの寝言に顔を見合わせた両親は、我慢できずに噴出す。夢の中でも、彼はぶれずに猫狂いなのだ。結局、彼が目覚めたのはその日の夜。大量の食事をとったらまた眠ってしまったので、行動を開始したのは次の日となった。




 こうして召喚術師は休む。激戦に疲れた心と体を癒すために。その身に襲い掛かる苦難を知らずに幸せな夢を見ながら――

 ここまで読んでくださりありがとうございます。いかがだったでしょうか?

 感想やブックマーク、評価をいただけると、とても嬉しいです!



 少し悩んでいることがあります。

 この先、我獣という敵がでてくるのですが、その敵の手や頭が吹き飛ぶとなった場合は、やはりR15のタグが必要でしょうか?基準がいまいち掴めていません。ご意見いただけると助かります。

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