表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/29

第23話 騎士道精神

 なんとかだ。なんとか俺達は王国の門のところまでこれた。あとはばれずに出るだけだ。


 俺達は建物と建物のあいだに身を潜めて好機を窺っていた。果たして巧くいくのだろうか。


「いいかい。ここは皆でいくよりも一人ずついった方が無難だ」


 アバンが助言してくれた。どうやらアバンは慎重に行動するタイプのようだ。


「緊張するかも知れないがいけるね?」


 俺は比較的に大丈夫だ。だからばれなければいいだけの話だ。といっても確か門は一つしかなかったような。


「それじゃあまずはセシリーからいこうか」


 アバンのお陰でここまでこれた。だが門が一つしかない。つまりこれは呼び止められる可能性が高い。


 とここでセシリーは頷くと門の外を目指した。俺とアバンは見送った。果たして巧くいくのだろうか。


 まだ……今は大丈夫だ。怪しまれてはいない。というか。そもそも騎士団長だけだ。セシリーの顔を知っているのは。


 ちなみに俺の顔を知っているのはセシリーとアバン以外にいない。だが油断は禁物だろう。


 お? セシリーが兵士に話しかけられたぞ。どうか。頼む。セシリーだけでも助かってくれ。悪いのは俺だけで十分だ。


「……ふむ。どうやら無事に通れたみたいだ、ね? は!?」


 気配だ。どこからか。感じたことのある気配がした。これは。確か。はぁ!? 思い返した。これは騎士団長の気配だ。


「騎士団長に呼び止められたぞ」


 うん? なに!?


「助けなきゃ!」


 この時の俺にしか分からない未来が見えた。このままだとセシリーはなにをされるかが分からない。助けないと。


「ちょっ! 待て! おい!」


 俺はアバンを置いてセシリーの元へと急いだ。だって騎士団長はセシリーの顔を知っている。ぐぅ。こうなるのか。結局は。


「さぁ! 君の顔を見せ給え! 我が騎士道の為にも!」


 騎士団長のギルバスがセシリーに問い詰めていた。不味い。このままだとばれてしまう。といっても助けない訳にはいかない。


「……待て!」


 騎士団長のギルバスがセシリーのフードに手を付けようとした。その時だ。俺の声が木霊した。


「うむ? だれだ?」


 ギルバスはセシリーのフードを手掴みしたまま硬直した。だが硬直したのは下半身で上半身は右に傾けるほどに柔らかい。


 故にギルバスは上半身を右に傾けると俺と目線が合った。はぁ。これで俺達は無事に出れなくなった訳だ。もう……逃げるのはよそう。


「全く。君って奴は。こうなったら加勢するよ」


 俺の隣りにアバンが立った。そう言うとアバンは戦う気のようだった。


「うむ? 戦うつもりか。……この雰囲気。どこかで。は!? 貴様等は!」


 ギルバスは俺がフードを被っているから混乱しているようだ。だがすぐに我に返るとすぐさまにセシリーのフードを外した。


「やはりか! おい! 見つけたぞ! こやつ等を絶対に通すな!」


 ギルバスはセシリーの顔を確認するとそう言い始めた。言い終わった次の瞬間には兵士達の掛け声が起きた。


「どうして? どうしてこんなことを?」


 俺は率直に訊いてみた。どうして俺が狙われているんだ。ただ言えることはこれも魔族達の仕業なのか。


「知らん。だがな。我は聴いた。陛下からな。この世界に災いを振り撒く存在がいると」


 くぅ。それが……英雄光とでも言うのか。俺がなにをしたって言うんだ。俺は……俺は……ただ!


「そんなに……そんなに普通の人生を送っちゃあ駄目なのかよ」


 このオーラがある限り。俺への偏見は止まらない。どうしてなんだ。どうして。


「うむ? どうした?」


「皆……ここから」


「駄目。アレス」


「いなくなれぇえ! うおおおおおお!」


「駄目ぇえ! アレス!」


 へ? セシリー? は! 俺は今までなにを? は! 俺が気付いた時には仲間諸共吹き飛ばしていた。


 これは多分だが俺のオーラが暴走したらしい。怒りの余りに膨張してしまったらしい。は! セシリー? アバン?


「待たんか。やはり……陛下の言うことは正しい。貴様は危険人物だ! 我が騎士道精神に乗っ取り、貴様をここで処刑する! 烙印光に罰を!」


 へ? なんだよ。それ。もう……偏見を通り越して勘違いじゃないか。俺が……俺が……なにをしたって言うんだよぉお? 負けたくない。死にたくない。殺されたくない。俺は……生きたい!


 俺は覚悟を決めるしかなかった。それはもう……それくらいに追い詰められていた。どうしてなんだ? どうしてこうなったんだ? 俺が……俺が……なにを? こうしてギルバスとの戦いが始まるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ