第22話 救世主のアバン
俺達はなぜか騎士団に追われている。それも近場のアシュガルドに。
どうやらこの王国では耳にピアスを付けているらしく。そこから連絡を取れるらしい。
それも魔道具でなんとも嫌らしいと感じた。故に俺はなぜか指名手配されたようだ。
今は暗殺者達が着こなしていたフードを被りなんとか凌いでいるがいつまでも幸運は続かない。
どうしてフードを被っているのか。それは単純に俺のオーラを感知させない為だ。
極稀に俺のオーラを感知できる人がいるからな。外に出る時は用心しないとな。でないとさっきみたいになる。
「駄目。包囲されてる」
ぐ。迂闊だった。というか。俺達くらいなんだ。どんな局面でも乗り切れるのは。正直。雑魚では無理だろう。
だが今になってそれが裏目に出た。こうなった以上はどうすることもできない。く。捕まりたくない。
それにしてもどうしてだ? どうして騎士団長はアレスに反応したんだ? なんで知っているような雰囲気なんだ?
「……私が囮になる。だから」
セシリー。……ううん! 駄目だ!
「それは駄目だ!」
あ……思わずうるさく言ってしまった。
「うん? そこにだれかいるのか」
うげ。
「こっち」
またか。これで何度目だろう。俺のせいでセシリーに迷惑が掛かっている。しかも助けられてばっかりだ。
確かにセシリーは俺と同じでフードを被っている。だがそこで似ているからと利用しては俺の名が折れてしまう。
こうやって逃げる回るのも時間の問題だろうしどうすればいいんだろうか。素直に自首しても俺は殺されそうな気がする。
そうこう考えていたら開けた場所に出てしまった。もうここしかなかった。ここで見つかったらもう戦うしかない。
それはもう……セシリーを護りつつも、だ。逆にセシリーも俺を助けながら戦うのだろう。できれば戦いたくはない。
「ここにいたか。二人とも。いや。ここにくると思っていたよ。なぁ? ククル」
だれだ!? 俺とセシリーの前に謎の人物が現れた。謎の人物の腕に鳥が下り立った。どうやら鳥の名前はククルと言うらしい。
「だれ?」
セシリーの言うとおりだ。一体。だれなんだ。敵ではないのか。
「おいおい。勘違いしないでくれよ。僕の名はアバン。君達を助けにきた者さ」
うん?
「それは本当?」
セシリーはどうやらもう疲れ切っていたようだ。まるで委ねるように言った。
「ああ。ちなみに僕はね。ゼアス様に忠誠を誓った者さ」
え? ゼアス様?
「ってあの?」
もしゼアス様がアスティのお父さんならこれは凄い助け舟がきたぞ。はたしてアバンは本物なのだろうか。
「おいおい。実に無礼な奴だな。君は。まぁとにかくここで話をしている暇はない。ここは急ごう。なぁ? ククル」
アバンはそう言うとククルという鳥を羽ばたかせた。ククルはどこかに飛んで行った。一体。なにをしたのだろうか。アバンは。
「うん? 不思議そうだね。そうだな。一つだけ言うとしたら僕の仕事は空の監視者かな」
空の監視者? どこかで聴いたことがあるな。だがこのアバンからは悪い気はしない。魔細工をしている気配もない。本物か。
「……よし。よし。こっちだ」
なにやらアバンは腕に付いている魔道具みたいな物を見てから言っていた。なんだかは分からないが大雑把に言えば映像が流れている?
「す、凄い。敵に遭わない」
セシリーが思わずアバンを褒めた。俺も褒めたいくらいだ。これは多分だが鳥になにかを仕込ませて空からの映像を見ているのだろう。アバンは。
「フフ。こんなの朝飯前だよ。なぁ? ククル」
アバンとククルは友を超えているようだ。羨ましい。俺もこれくらいの仲になりたい。とここでなにやらアバンの様子が可笑しくなった。
「う!?」
走りながらで気分でも悪くしたのか。それともって言う程にきついはないが。
「く!?」
どうしたんだ? 一体?
「馬鹿な!? これだから最近の悪ガキは!」
「なぁ? どうしたんだよ? 一体?」
痺れを切らして訊いてみた。一体。なにが起きたんだ。
「俺の大切なククルが悪ガキ共に狙われている! く! 駄目だ! 映像が途切れた!」
貴族の遊びに気味悪いくらいに憧れた悪ガキ共か。く。どうするんだ。これから。俺達は無事に帰れるのだろうか。




