第19話 暗殺を試みる者
これはあの共同対決から数日が経った頃の話だ。俺達はミーティングの練習をしていた。それも寝る前のミーティングだ。
このミーティングにはそれぞれの班のリーダーが紙にまとめていくという役割もあった。そして俺達のミーティングは終わった。
なんでもこれからなにが起きるかが分からない以上は自身のことは自分自身で護ろうということだった。
それもそうだろうな。そうでないと足手纏いばかりになってしまう。これは最終手段だが助けるのはやられそうになってからだ。
といっても人は魔族と違うから思いどおりには行かないだろうと思う。さてそろそろ俺も寝るとするか。
俺は自分の部屋に戻り仲間と一緒に寝静まった。だがこの時の俺はまさかこんなことになるなんて予想もしていなかった。
そうこうしている内になぜか鍵が開けば扉も開いた。すると僅かな廊下の光が入ってきた。それに俺は気付かなかった。
恐る恐る俺に近付いてくる影と謎の人物。だが俺も馬鹿ではない。なぜなら俺は密かに罠を仕掛けていたからだ。
それは単純に警告音が鳴るだけだった。だがその警告音が俺の耳に入ればたちまち俺は起き上がるだろう。そして――
急に鳴り響く警告音。俺は合図と共に起き上がった。だが警告音が鳴っているのに俺だけしか起きなかった。
なぜかといえばこの警告音は俺にしか聞こえないからだ。だから俺だけが起きた。そして俺はこう言った。
「だれだ? 物騒なことをする奴は」
俺は怒っていた。なぜならこんな時間帯にくるという奴は絶対に碌な奴ではない。そう。思い込んでいた。
「……大人しくしていればいいものを」
変声魔法か。やれやれ、実に物騒なことだな。しかも一人で乗り込んでくるとはな。実に面白い。だがな。
「俺を暗殺しにきたのか」
生憎だが俺は死なない。いや。死ねない。応援してくれる仲間の為にも。俺は……死ねない。
「そうだ。お前がいなくなれば全てが落ち着く」
やはりか。にしてもなんだ。こいつは。変声魔法の他に素性がばれないようにフードを被ってやがる。
「生憎だが俺がいなくてもあいつらはやると思うぞ?」
これはハッタリなんかじゃない。もうそれくらいに俺は仲間を信用している。なぁ。そうだろう? 皆。
「ふん。戯れ言を」
俺はこいつの素性を知らない。だがもしかしたらこうなっては不味いと感じたのかも知れない。だとしたらここは――
「多分だがお前……この学校の生徒だろ? じゃなきゃここまでこれる筈がない」
なぜなら俺は自分の部屋以外にも罠を仕掛けていたのだ。だがそれらにこいつは触れた形跡すらない。だからこいつは――
「流石は英雄の子か。勘がいい」
まだだ。まだ言い足りない。だからここは――
「しかもだ。寝込みを襲うところを見ればお前は……自分の実力に自信のない中等生以下の人間だな」
これはあくまでも俺の勘だ。もちろん。外れている場合もある。
「フフハハ。どうかな。俺はもしかしたら卑怯なだけの上等生かも知れないぜ?」
そうか。そうとも言えるな。それに――
「さぁ! 茶番はここまでだ!」
な!? 暗殺者が俺目掛けて突っ込んできた。く。ここでは魔法は使えない。
「うお!?」
暗殺者は俺にしがみ付いてきた。しかも体当たりしながら。
「く!? 離れろ!」
俺が暗殺者を突き飛ばした。そして気付くと俺と暗殺者はいつのまにか運動場にいた。
「こ、これは?」
一瞬の混乱だったがすぐに元に戻った。なぜならこの魔法を知ってるからだ。この魔法は瞬間移動する。
「うん? なんだ? この人数は?」
俺が気付いた頃にはなんと暗殺者の数が増えていた。暗くて性別までは分からない。多分だが全員合わせて六人はいるだろう。
「よく。ここまで連れてきたな。これで容赦なく戦える」
暗殺者集団のリーダー的な奴が言ってきた。暗くて分かり辛いがかなり偉そうな空気感を出している。
それにしても……容赦なく戦えるはこっちの台詞だ。一回だけでもお前らに教えておかなければならないことがある。
さぁ。こい。たとえ相手が上等生だろうがそれ以下だろうが俺が相手になってやる。だが安心しろ。殺しはしない。
「ふん。この人数で勝てると思ってんのか。生意気な中等生め」
分からない。リーダー的な奴が上なのか。下なのか。それに周りにいる五人のことも分からないでいた。
「おい! やってしまえ!」
おっと遂にリーダー的な奴が周りの暗殺者に命令を下した。はっきり言って人数的には不利だ。だが俺は勝つんだ。応援してくれた仲間の為にも。




