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第14話 反撃の時

 俺はすかさず自分自身に身技【身体強化】を掛けた。そしてより速く走る為に風技【追い風の加護】を付けた。よし。これで爆速の筈だ。これで場外に押し出してやる。


「行くぞ!」


 俺はそう言うと凄まじい速さで突っ込んだ。まずはだれを狙うべきかな。


「くるわよ! アビィ!」


 アリルがまた的確な指示を出したようだ。うむ? 確かアビィは氷使いの筈だ。ならば足止めし易いということか。


「うん!」


 やはりな。アビィは氷魔法【ホーミングアイス】を発動してきた。地面ごと氷らせて魔素操作でどんどん誘導してくるのが特徴だ。


「よし! いっけぇえ!」


 なんということだ。これだけの氷を同時に動かすだと? だがな。俺は避け切ってみせる! 身技【八艘跳び】+炎魔法【炎王竜の加護】


「え? う、嘘でしょ?」


 アリルの中でさぞかしざわめきが起きたことだろう。一方のアビィは集中しているのか。無反応だ。今の俺には炎の加護が付いている。氷が溶けるだろうな。


「いっけぇええ!」


 俺がアビィに負けないくらいに出した。俺は一番最初に追い出す相手はアビィだと決めた。そんな俺は叫びながらアビィに手を伸ばした。


「う、嘘でしょう? あ、アビィが」


 アリルが驚くのも無理はない。もう既にアビィは場外にいるのだから。一方の俺はぶつかった瞬間に重力技【フェザーフォール】をアビィに掛けていた。


「次は」


 この時の俺はあの時の危機感が嘘のように消えていた。ただ言えることは今の俺はどうしようもなく勝ちたい気分なんだ。だから――


「ひぃ!?」


 アリルがびびっているがそんなの関係ない。だから――次は――


「お前だぁ!」


 俺は更に加速していた。なぜかは分からない。だがこの感覚は仲間のお陰のような気がした。


「く、くるなぁ!」


 アリルは必死に火魔法【ファイヤーアロー】を何度も発動してきた。だが今の俺に動揺が隠せない奴の攻撃なんてたかが知れていた。


「逃げろ! アリル!」


 おっと。今度はダーディの出番か。さすがは仲がいいだけのことはある。ダーディは土魔法【サンドウォール】を発動してきた。


 所詮は土の壁だ。ここは。全力でいこう。だから俺は素手魔法【ナックルバスター】を発動した。その瞬間に素手に並々ならぬ力が入った。


「ふん!」


 俺は鼻で言うようにしながらサンドウォールを殴った。すると見る見る内にサンドウォールは破壊されていった。


「なんだと!?」


 ダーディには悪いが俺にも意地がある。これは最早負けられない戦いなんだ。んじゃすまない。俺。いくよ。


「う、嘘だろ? アビィに続いてアリルまでも」


 悪いな。これは俺達を怒らせた分だ。ちなみにアリルにも重力技【フェザーフォール】を掛けた。場外に出た後にだが。


「く、くそぉう! こうなったら!」


 おっと? なんだ? なんだ? ここからは本気を出すってのか。一体。なにが起きるって言うんだ。ええ。


 と思っていたらなんと地面が揺れ始めた。いや。違う。これは。砂が揺れている? は! まさか! これは!


 俺は不味いと思いすかさずその場から離れた。その瞬間だった。なんと地面に落ちている砂が急に飛び出してきた。


 これは多分だが砂魔法【サンドニードル】だろう。だがな。氷と比べたらまだ弱い方だな。この程度の構築速度なら簡単に避けれるぞ。俺は。


 だが当たれば一発で退場だろうな。あの急に飛び出しては先が尖がっているからな。気をつけないと。


 そう思いながらも俺は次々とダーディの仕掛けてくるサンドニードルを避けては突っ込んだ。前に進みながら左右に跳んだ。


「やらせん!」


 うむ? このままではやられると感じたのか。ギードがなにかを言いつつもなにかを発動したようだ。こ、これは。


 雷魔法【サウザンドサンダー】だ。幾千の雷が俺目掛けて落ちてくる。それも一発ずつ。どうやらギードは動きを止めようとしたらしい。


 だがその速さでは俺には追いつけない。さぁ。あともう少しだ。行くぞ。ダーディ。


「ひぃ!? く、くるなぁ!」


 残念だが行かざるおえない。……俺は見事にサンドニードルとサウザンドサンダーを避けてダーディに体当たりをした。


「ぐふ」


 ダーディは俺の立ち当たりに対して声を出した。いかにも突き飛ばしたかのような声だった。


 俺はダーディが場外に出るのを確認してから重力技【フェザーフォール】を発動した。


 さてと後は一人だけだ。さぁ? どうする? 降参してもいいんだぞ。さぁ。ギードよ。どう出る?


「……くそ! あー! もう! 分かったよ! 降参だ! 降参! 俺は今、白旗を上げたぞ!」


 ギードの言葉が聞こえてきた。それを聴いて俺の内心はホッとした。もうこれ以上に本気を出す必要性がないからだ。


 俺は動きを止めて立ち止まった。どうやら勝負は付いたらしい。ふぅ。これ以上に本気を要求されたら凄く不味かった。


「そこまで! この勝負! アレスの勝ちだ!」


 高らかにマフティ様が言った。その瞬間だ。一気に場の空気が変わったのは。


「やった! やったのね? アレス! え?」


 うん? アスティの声だ。いつのまに? うん? 急にアスティの声が強張った? なんだ? なんだ? 俺は見渡した。すると。


「正しくこの感覚。英雄光の気配。あ奴の感は凄まじいものだな。実に」


 な!? 急に瞬間移動でもしてきたのかと言わんばかりに謎の人物が余裕綽々に口を動かしていた。


「だ、だれだ!? どうしてそれを?」


 俺は思わず叫んだ。それにしても実に分かり辛いが急に現れた謎の人物は今まで隠していたようだ。オーラを。


「ふふん。そうか。お前は子孫か。まぁどちらでもよい。いい機会だ。ここで会ったが百年目。記憶と共に切り刻んでやろう」


 なんだか。よくは分からないが敵であることは変わりないな。だがこの感じからしてお父さんを知っているみたいだな。


 ま、まさか。こいつ。魔族の生き残りか。くそ。だとしたら俺の存在がばれている。ぐ。倒さないと、駄目だ。今すぐに。


 丁度。魔族の方もやる気満々のようだ。だから俺は急いで魔族と戦うことにした。だってこんなところで死にたくないから。

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