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第12話 決闘の申し込み

 あれからアーディ先生の授業は終わった。今は休み時間だ。


 俺は中等クラスの教室にいる。もっと詳しく言えばセシリーと一緒にいた。


「おい! ここに! アレスっていう奴はいるかぁ!」


 うん? なんだ? いきなり。急にゴーディの声がした。ゴーディは教壇の前に立ち言っていた。


「呼ばれてるわよ。アレス」


 セシリーが言った。確かに呼ばれているのは俺のようだが。


「それと! セシリーもいる?」


 うん? 今度はアリルの声がしたぞ。どうやらゴーディとアリルは一緒らしい。うん? もう一人は?


「セシリー。ここは無視といかないか」


 俺はセシリーに忠告した。ここはお互いに尊重し合う場面だろ。そもそもこんなに面倒なことはごめんだ。


「う、うん」


 俺の意見は見事に通った。後は見事な演技で誤魔化すだけだ。幸いなことに顔ばれはしていないようだ。

 

「フハハハハハァ! 中等生諸君! 僕は上等生のマフティだ。どれ? アレス君はいるかい」


 ギク。思わずそんな感じがした。なんだか。かなりの嫌な予感がした。


「うん? 上等生がなんの用事だぁ? それに同じアレスを捜している?」


 フフ。ゴーディが混乱するのも無理はない。だが今は見つかる訳にはいかない。だがマフティ様は俺の顔を知っている。ぐふ。どうする?


「おぉ! そこにいるのはアレス君じゃないかぁ!」


 ぐはぁ。俺はマフティ様に見つかってしまった。ぐふ。折角。セシリーが協力してくれたのに。全てが無駄になった。


「おーい! アレス君!」


 はぁ~。なんなんだ。この人は。しっかりしていそうで実は凄く天然じゃないのか。マフティ様って。


「やぁ? あれ振りだね。アレス君」


 本当は白を切りたかった。だが相手が相手だけにできなかった。するとマフティ様は言う前に近付いてきた。


「え? あ! はい! マフティ様とはあれ振りです!」


 不味いな。これで俺がアレスであることがばれたな。きっと。はぁ~。なんでこうなるのかな~。


「ちょっと待てぇ!」


 うん? うげ。不味い。ゴーディがこっちにきながら言っていた。しかもアリルも一緒だ。


「上等生なのは分かるけれど」


 ゴーディが立ち止まると同時に口を閉じた。うん? まだなにかを言いたそうだったが?


「アレスとセシリーを捜していたのは私達が先よ」


 うん。ゴーディの後半をアリルが言ったようだ。なんとも息が合ったことだな。見習わないと。


「ふむ。それは失礼した。……ならばここは素直に先に言い給え。僕は構わないよ」


 ぐふ。なんということだ。見つかりたくなかったのだがこうもあっさりと見つかってしまうとは。一生の不覚だな。


「おほん! なら遠慮せずに言おう! 率直に言うと」


 またか。またゴーディが言葉を詰まらせた。だが……この感じからしてなにやら嫌な予感がするぞ。確実にな。


「私達と決闘をしてほしいの」


 うげげ。マジか。だがまぁ丁度俺もしたかったところだ。これはなんという幸運なんだ。


「おいおい。ちょっと待ってくれ。入学初日ですることかい。それは」


 無理もないな。マフティ様の言うとおりだ。入学初日で言っていることがぶっとんでいる。だがまぁ俺も一緒か。


「悪いがあんたには関係ない。そこを退いてくれ」


 あ。マフティ様をあんた呼ばわりだなんて。どうなるんだ? これは? 今のでマフティ様が怒らなければいいんだがな。


「そうよ。聞こえなかったの? そこを退いて頂戴」


 アリルまで。なんて挑発的なんだ。そもそも狙いは俺だろう? なんなんだ? この二人は? それにもう一人のアビィはどこに行ったんだ?


「ほぉう。君達はどうやら口の訊き方がなっていないらしい」


 案の定だな。これは。俺が察するにこの二人はマフティ様の怒りに触れたみたいだ。あーあ。言わんこっちゃない。どうなるんだ。これは。


「だからどうしたんだよ? 今はそんなこと関係ないだろう!」


 マジか。相手を知らないとはこのことを言うのか。やばすぎるだろ。このゴーディを教育した親に会ってみたいぞ。実に。


「そうよ! 今は」


 うん? なんだ? 急にアリルの言葉を遮るようにマフティ様の威圧が飛んできたぞ。それもかなりのやばさだ。生きて帰れるのだろうか。本当に。


「だから! 決闘に僕も参加しようじゃないか」


 不味いぞ。本気になりかけているな。いや。もう本気なのかもな。だとしたら俺としては助かるな。それにしても決闘をやってもいいのかよ。この学校。


「はぁ!? なんで上等生がぁ?」


 やれやれ。本当に口の訊き方がなっていないな。セシリーなんてもう既に冷徹な眼をしていた。はは。俺もそろそろ限界かもな。こんな状況に。


「そうよ! 私達が上等生に敵う訳ないじゃない! ふざけないでよ!」


 敵わないと知っていてその態度はなんだ? 俺からしたら可笑しくてしょうがないのだがな。そもそも粋がるな。青二才以前が。


「ふざけてはいない。……ならばこうしよう。僕は一人でいい。君達は二人でくるといい」


 マフティ様も引き下がらない。しかもマフティ様の意見をそのまんま受け取ると俺が関係なくなっている。まぁそれはそれで俺的にはラッキーだがな。


「いい加減にしてくれ! 俺達は! そこにいるアレスと決闘がしたいんだよ!」


 うーむ。そもそもどうして俺となんだ? あーあとセシリーともってことか。うぐぐ。一体。この二人はなにを考えているんだ。全く。


「落ち着け! 短気になってもだれも得はしない! そうだろう?」


 マフティ様の言うとおりだ。むしろマフティ様の怒りは妥当なものだろう。だがなにやら嫌な予感がする。ここはさっさと逃げ出したい。だが――


「ダーディ。もういいわ。こうなったら上等生ごとやっつけましょう。アビィも誘って」


 ほぉう。これは嫌な予感が当たったな。正しく最悪なパターンだ。ああ。俺の静かな青春はどこに行ったんだ。ここで俺は決闘をするのか。はぁ。


「くぅ!? いいのかよ! 相手は上等生だぞ!」


 確かにな。しかも相手が相手だけにもっと敬意を払った方がいいと思うぞ。俺ですらびびる相手だからな。だがこいつらにそんな頭脳はなさそうだな。


「いいのよ! もしかしたら上等生の中でも最下位クラスかも知れないし!」


 はは。こいつらは本当に馬鹿だな。もしかして魔法学校だから階級制度がそこまでないと思っているのか。こいつらは。まるで入学式の時の俺みたいだな。


「そうか。……分かった。ここはアリルの言うとおりにしよう」


 どうしてそうなったのかは分からない。だがダーディは武者震いを起こしているようだ。全く。戦う前から緊張しているなんて初歩的なものじゃないのか。


「なら話は決まりね? ……いい? 貴方達。私達は放課後決闘場に行くから貴方達もきなさいよね! 分かった?」


 どうやら勝手に決闘をすることになったらしい。うーむ。放課後は分かる。だが決闘場はどこだ? 俺は知らんぞ。全く。なんでこうなったんだ。


「ああ。分かった。場所は決闘場だな。時刻は放課後か。分かった」


 うむむ。俺とセシリーの要望は聴いては貰えそうにない。それどころか。セシリーさえも燃えているようだった。いや。セシリーは水の賢者の子孫なんだしそこまで燃えなくてもな。


「ちょぉっとぉ! 待ったぁあ!」


 ……うげ。なんだ。この蛇にでも睨みつけられたかのような感じは。俺は知っているぞ。この声の持ち主を。確かこの声の持ち主は――


「うん?」


 ギードだ。あーそうか。いや。初対面なのかは知らないがマフティ様が不思議がった。この中に入ってくる輩がいるとは思わなかったのだろう。


「このギード様を差し置いて決闘をするなんてな! へへ! 俺様も参加するぜ!」


 にしても嫌な予感がしたのが見事に的中した。なんと決闘にギードも参加するらしかった。はは。なんて不運なのだろうか。俺とセシリーは。


「なに!?」


 マフティ様がいきなり驚いた。この感じからしてマフティ様とギードは初対面なのかな。うーむ。分からない。この二人の関係が分からない。


「もちろん! 決闘の相手はアレス! お前だ! なぁ? 烙印光?」


 全く。懲りない奴だな。ギードとかいう奴は。だがこれで勝てば俺との関係も断ち切ってくれるかもな。ふぅ。ここは精一杯頑張ろう。


「な!? ……そうか。君もどうやら立場をわきまえた方がいいみたいだね」


 この感じからしてマフティ様とギードは接点があまりなさそうだ。つまりこれは赤の他人以上も有り得る話か。とはいえ俺には関係ないことだな。


「うん? ちょっと待ってよ! それを鵜呑みにしたら四対三になるじゃないの?」


 お? そうだよな? よくよく考えたらこれだと四対三になるよな。多分だがここはアビィが抜けるか。もしくはこっちで調整するかだな。だが生憎。俺に友はいない。セシリー以外の。


「フフ。大丈夫だ。そこら辺の人脈なら僕に任せろ。人数合わせをしようじゃないか」


 実に余裕そうだな。マフティ様は。だが一体。だれが登場するのだろうか。と言っても俺からすればアビィが抜ければそれでいいんじゃないのかと思ってしまう。


「分かったわ。それじゃあ人数合わせは貴方に任せるわ。それじゃあ私達は別の用があるから失礼するわ」


 アリルはそう言うと教室から出て行こうとした。その後を慌てるようにダーディが追いかけた。なんだろうな。あの二人では意外にアリルの方が上なのかもな。


「ふん。そうか。なら僕もそろそろ失礼しようかな。アレス君。また今度だ。んじゃあ」


 うん? マフティ様は俺とセシリーに背を向けて右手だけの合図を送ってきた。それにしても……マフティ様をなんの用があってここにきたのだろうか。


 今となっては訊くことができなかった。一体。マフティ様は俺のことを知ってどうするのだろうか。だがこれだけは言いたい。マフティ様は悪い人ではないと。

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