第11話 入学式
遂にだ。遂に俺達は成し遂げたんだ。
これもアスティやセルフィが手助けしてくれたお陰だ。
二人には感謝しても仕切れないくらいの恩義がある。
はは。後は俺がしくじらずに学校生活を謳歌するだけだ。
ちなみに入学式の後にクラス分けがされる。
果たして俺はだれと一緒になるのだろうか。今から楽しみだ。
今はアスティとセルフィと一緒だ。なんでも同行はいいそうだ。
それにしてもセシリーの姿やギード。それにマフティ様の姿がない。
あー。きっともう既に集まっているのかも知れないな。
だがアスティとセルフィはともかくだ。他と仲良くなんてできるのだろうか。
俺はいささか心配になってきた。だって訊いた話だとこの学校は既得権益者の塊というし。
そうこうしている内に大きな両扉に差し掛かった。だから俺は両扉の片側だけを開けた。
この時の俺は紳士ではないので先に開けては先に入った。あー。こう見えても俺は平民だ。
はは。貴族よりも先に入るって死に急ぐ者だな。絶対に。とはいえ今なら平等になれそうだ。
俺がそう思いつつも新入生の列に並んだ。なんでも自由に並んでいいそうだ。
アスティもセルフィも俺の近くに並んでいた。
「えーではそろそろ入学式を行います。以降の進行はこの教頭ことサイラスが行います」
サイラス教頭はいかにも優しそうだ。壇上に立つと楽しそうに言っていた。
「では。まずはセルギド校長先生からの挨拶です。新入生の皆様。心して聞くように」
校長先生か。一体。どんな人物なんだろうか。俺が想像するともろに太めの人が出てくるのだが。
「おほん! えー。サイラス教頭先生から言われました。ワシの名はセルギドと言う」
うーむ。なんだか。長くなりそうな上につまらなさそうなのでここは聞いている振りでもするかな。
セルギド校長先生の有り難いお話は新入生には洗礼となったらしい。しかも俺までも眠たくさせていた。
「ふはぁ~」
俺の欠伸をだれも受け止めてはくれなかった。それもそうか。なんと今度はクラス分けされていた。
なんでも上等クラス。中等クラス。下等クラスに分かれるらしかった。そこでは悲しいことが起きた。
なんとアスティとセルフィ。しかもマフティ様とギードは上等クラスだそうだ。ちなみに俺は中等クラスだ。
だが悲しいことばかりではなかった。なぜなら中等クラスにはセシリーがいるからだ。捨てたもんじゃない。
あと校長先生の話を聞くと後から試験を受けなくてもよかった人達が合流するようだ。く。羨ましい。
「なぁ? セシリー? これからも宜しく頼みたい」
という訳で俺とセシリーは同じ教室にいた。この魔法学校は自由席となっていた。だから俺はセシリーの近くにいたかった。
「宜しく」
お? 今回のセシリーはなんとも意外と素直だぞ。よし! この後もこの調子で行くぞ! おお!
「ところでセシリー? マフティ様を知っているか」
俺の質問にセシリーはちょっとだけ驚いていた。うーむ。どうやら未だに繋がりがあるようだな。水の賢者とは。
「知ってる」
うお!? やはりか。ならここは訊いときたいことがあるんだよな。絶対に。
「その。なんだ。マフティ様が本当に大賢者の子孫なのか」
直接的過ぎたかな。だがこれくらいの情報に出し惜しみなんてあるのか。
「そう。間違いない。私の恩人だから」
案外。すんなりと言ってくれるな。セシリーは。
「うん? どういうことだ? 恩人って?」
なんだろうな。きっとだが俺のお父さんでもある英雄を暗殺した後に四賢者の処分も検討されたのだろう。
「私達が生きているのも大賢者様のお陰」
やはりか。大方。俺の思ったとおりのようだ。きっとだが大賢者のお陰で命拾いしたのだろうな。絶対に。
「そうか。分かった。……にしても先生。遅いな」
セシリーには俺が英雄の子孫であることは黙っておこう。ただ言えることはセシリーにも俺が烙印光であることはばれているだろう。
「そうね」
なのにだ。セシリーはそれを黙っている。なぜかは分からない。だがこれだけは言えるのではないか。決してセシリーは敵ではないと。
「皆~。ごめん。遅れて~」
お? ようやく来たか。先生が。……うん? 先生の後を三人の子供が付いて来ている。は! まさか! こいつらが試験なしで受かった奴らか。
「私が今日からこのクラスを担当するアーディよ。そして……この三人が新たに加わるわね。皆。よろしくね。それじゃ自己紹介をよろしくね。三人共」
俺達の教師はアーディさんか。さてさて問題はその後だな。さっきからな。目の前にいる三人は俺達を見下している。明らかにだ。全く。苛立ちを憶える。
「ふん! 俺の名前はゴーディ。いいか。今日から俺達がここのリーダーだ! いいか! お前ら! 俺らに泥を塗るなよな!」
うは。いきなり前に出たと思いきや痛い。あー。そうか。こいつらは俺のことを知らないんだ。これはこれは。実に面倒だな。どうしようか。
「私の名はアリル。いい? 平民にもランクがあるってことを教えてあげるわ」
うーん。どうしよう。これは非常にめんどうな面子に当たったぞ。ぐぬぬ。心なしか。俺の尻が痒くなってきた。
「その……僕の名前はアビィ。あの……頑張ります」
おいおい。最後のアビィなんか。ウジウジしいぞ。大丈夫か。この学校は。これから素敵な青春が待っているんじゃないのか。ええ。
「ちょっとぉ! アビィ? そんな気弱でどうするのよ?」
アリルって子が急にアビィに突っ掛かり始めたな。だがまぁ俺でも突っ込みたくなるくらいだったな。あれは。
「そうだぞ。アビィ? アリルのいうとおりだ。ここでは少なくとも俺達の方が上なんだ。もっと堂々してくれよ。頼むから」
確かにな。だがたった今すぐにやりたいことは決闘だな。決着を付けなければいけないようだからな。ここは。
「おほん! 三人の自己紹介が終わったところでそろそろ授業を始めます。三人共。好きな席に付いて」
アーディ先生が咳払いをしてくれたお陰でなんとか場は納まった。アーディ先生に言われた三人は渋々となにかを言いながら席に付き始めた。
こうしてようやく始まった授業は俺からしてみれば常識中の常識だった。正直。このレベルの授業ならば飛び級でいいのではと思いたくもなる。
あ。いやいや。折角。セシリーと出会えたんだ。ここは負けじと意地を張って生き延びてやる。俺はそう思いながらもアーディ先生の授業を受けていた。




