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第10話 結果発表

 遂に合格発表の時だ。当然だが俺は一位通過だろう。これはまず訊くまでもない。


 それとセシリーもだ。たとえ二位通過とはいえ確定済みだろうな。でないとこの学校のレベルを疑う。


 それにしてもアスティとセルフィは大丈夫だろうか。なんでもレベルが違うらしいからな。心配だな。


 ちなみに合格発表は掲示板で行うそうだ。一気に張り出して合格したかを見定めろということだろう。


 と言う訳で……俺は掲示板まできていた。うん? 張られてから時間が経ったようだな。人がいない。


 まぁ当然か。俺は絶対に一位通過だと思って時間をギリギリまでずらしたのだからな。さて。見るか。


 一番なので当然だが一番左上になければならない。もしなければ俺はこの学校を失望しないといけない。


 それになによりもそこまで暴れた認識はない。少しだけ常識外れがきたと思われるくらいが丁度いい。


 そう思いながらも俺は掲示板の一番左上を見た。ふん。やはりか。やはり俺が一番だったな。


 二番はセシリーか。うーむ。これは中等生のみだからな。是非とも上ともお手合わせしてみたい。


 あ。そういえば噂でこの他の掲示板に下等生と上等生の合格発表もあるらしいな。よし。確認だ。


 当然だが俺は上等生の掲示板を見に行った。アスティやセルフィの順位も気になる。急ごう。


 うん? うげ。あ、あいつは――


「なんでだ!? なんでこの俺様が! ギード様が三番なのだ! 納得がいかん!」


 自分から名前を言う辺りが苦手なんだよな。実に。しかも様まで付けるのか。普通。うん? 三番?


 う、嘘だろ? こ、こいつが? 三番だと? あー。でも。いちよう俺のオーラを感じ取れるようだしな。


「あ。アレス」


 うん? その声は――


「アスティか」


 声のする方に首をやるとアスティがいた。しかもセルフィもいた。きっとアスティを護っているのだろう。


「セルフィもいるわよ」


 うん。見れば分かる。ところでこいつらは何位だったんだ? 一体?


「なぁ! 俺は中等なりに一位だったんだが二人はどうなんだ?」


 アスティとセルフィは目線を合わせ言ってもいいのかと合図した。なにも言わないということは大丈夫だろう。


「ぐは!? あ、頭が!?」


 なんだ? 急に? セルフィが苦しみ始めた? え? 俺。訊いたら不味いことを言ったのか。


「大丈夫? セルフィ?」


 アスティがセルフィに優しくした。包み込むような感じだった。一体。なにが起きたんだ。


「なんだ? どうしたんだよ? 一体?」


 俺が訊いてみるとセルフィは下を向いたまま頭痛に襲われていた。これはアスティに頼るしかない。


「あのね。実はセルフィは二位通過なの」


 アスティも察したようだ。だがなんだ? あのセルフィが二位通過だと? ということは――


「え? じゃ一位通過はアスティ?」


 って失礼だがアスティにそんな力があるとは思えない。だとしたらこれは……どういうことなんだ?


「ううん。それが違うの。私はあのギードとかいう奴に負けて四位通過よ」


 ううむ? そうだとしたらだれが一位を取ったんだ? それにしてもアスティはあのギードに負けたのか。なんとも皮肉だな。


「あ、あのお方は……本当にいらっしゃったのか。う」


 うん? セルフィがいうあのお方ってだれだ? ここは親身になって訊いた方がよさそうだな。


「あのお方?」


 俺は訊いてみた。セルフィのいうあのお方が全くを持って理解できない。一体。だれなんだ?


「そうだ。四賢者を育てた大賢者の子孫。それどころか。君のお父様を見出した一族の末裔さ」


 俺は悩んでいたのだがセルフィにはそう映らなかったらしい。ってちょっと待て。


「なに!?」


 四賢者を育てた上に俺のお父さんまで見出した大賢者だと!? あー。だが思い返せば子孫か。そうか。子孫か。


「あのお方の魔法は。うう」


 どうやらセルフィはコテンパンにやられたらしいな。この感じからして。ふはは。なんだか。武者震いが起きた。


「無理しないで! セルフィ!」


 アスティはそう言うとより介抱した。セルフィほどの実力者がトラウマになる程。もしくは後遺症が残る程にやられたなんて信じられない。


「気をつけろ。アレス。あのお方は本物だ。一瞬で見分けられるだろう」


 セルフィが警告する程だ。これは一大事に捉えた方がいいな。だが奴は今どこにいるんだ? って俺はそいつに脅えながら暮らすのか。


「そうよ! アレス! あのお方に目を付けられる前に――は!?」


 アスティまで。……うん? どうした? アスティ? ……は!? ま、まさか!


「そこの君」


 俺が気付いた時にはもう遅かった。だれかに声を掛けられた。俺の背筋が急に凍り付いた。なんだろうな。この威圧感にオーラは――


「え?」


 振り返ることができない。だが確かに後ろの方でとんでもないものを感じる。それはセルフィの何倍ものオーラだった。ま、まさか。


「上等生の中では見たことがないが」


 駄目だ。声がするのに動けない。と俺の目の前に謎の少年が現れた。だがオーラからして既に感覚は青年に近いようだ。


「う?」


 俺は畏まりすぎて短すぎる言葉しか出せないでいた。今まででこんなことは初めてだ。それにしてもこの人こそが大賢者の子孫なのか。


「うん。君は英雄光のようだね」


 俺には分かる。この人こそが大賢者の子孫だということが。だからこそに見抜かれた。俺が英雄光であることが。


「な!?」


 さっきから同じ反応しかできない。俺にとってばれたくないことが次々とばれてしまうような感覚だ。見透かされるのも時間の問題だろう。


「しかもとんでもないオーラを感じる。なんというかな。懐かしい感じがしたよ」


 やはりか。この人の前では嘘はつけない。だが俺が英雄光だと知ってなんの得があるんだろうか。とそれよりも――


「あの!」


 俺は思い切って声に出してみた。だが次の言葉に詰まった。あー。だれでもいいからこの状況を助けてくれないか。はぁ。


「ああ。悪い。悪い。いつもの悪い癖が出たよ。失礼。僕の名はマフティ。かの大賢者の子孫さ。よろしく。不可解な英雄光さん」


 大賢者の子孫であるマフティは不敵な笑みを浮かべた。マフティから言われたことが俺にとっては大打撃だった。


「ぐふ」


 その証拠に俺はそんな反応をしてしまった。もう俺の人生はここで終わるのかな。まさか。この学校にこんな人がいるなんて――


「逃げて! アレス! ここは私達が!」


 急にアスティが俺の前に現れた。どうやら俺を助けてくれるようだ。有難う。持つは友達だな。


「そうだ! ここは俺達が!」


 セルフィも言ってくれた。だが今の俺はセルフィがそんなことを言ってくれるなんて思わなかった。


「え?」


 だから俺は驚きつつも声を出した。アスティ。セルフィ。有難うな。俺。感動した。だが――


「おいおい。無粋だなぁ。だれも敵だとは言ってないよね? このマフティ様が」


 俺は気配で相手の考えが分かる。このマフティはそこまで悪い人じゃない。これは俺の感だがな。


「……なにが目的ですか」


 俺は沈黙の時にアスティに割り込んで前に出た。それも言いたいことがあったからだ。俺は言いたいことを口にした。


「おやおや。それはこっちの台詞だろ。君こそここになんの用なんだい?」


 マフティは余裕を持って即答した。ぐ、確かにそうだ。俺の方がここに不釣合いだろう。だが俺は――


「俺はただ――」


 言葉に詰まることが多い。ただ言いたかったことはこの学校の生徒になりたいだけだ。くぅ。俺には無理なのか。


「そうよ! アレスはただ!」


 アスティ。


「この学校の生徒になりたいだけなんだ」


 セルフィ。


「ほーう。そうか。くく。ばれたら不味いよな~。これは」


 なんなんだ。この人は。絶対に俺で遊んでるだろ。くぅ~。悔しい。なにも言い返せないことが。だが俺はそれでも負けない。


「あの!」


 思い切って俺はマフティに話し掛けた。しなければいけないことが一つ。もう。やるしかない。


「うん?」


 マフティは謎めいているのだがどこか余裕が感じられた。俺にはない。胸苦しい日でも清々しく暮らしていそうだった。


「このとおりです! このことは黙っていて下さい! お願いします!」


 俺は言いながら頭を下げた。もしマフティ様がいい人なら通じる筈だ。だがもし悪い人なら俺の人生は詰んだも同然だ。


「私からもお願いします!」


 アスティ。


「俺からもお願いします!」


 セルフィ。


「ふーん。そこまでしてでも成し遂げなければならないこととはなんだ?」


 どうやらマフティ様はまだ疑っているようだ。本当に俺達に裏なんてなく。ただ単純に学生生活を送りたいだけなんだ。だからここは――


「その意図はありません! ただ単に学生生活を送りたいだけなんです! このとおりです! 見逃して下さい!」


 俺が責任を持って言わないとな。でないと話がもつれそうだ。


「いいね~。祖父ちゃんから訊いた昔話の友情のようで」


 俺とアスティとセルフィは頭を下げていた。もう本当にこれしかないと思った。するとマフティ様はこれまた不敵な笑みを浮かべつつ言い始めた。


「ということは」


 俺は思わず一礼のままに顔を上げて言っていた。残りの二人は多分だが頭を下げたままだろう。


「いいよ。黙っておこうか。ここで見たことは全て見なかったことにしよう」


 どうやらマフティ様は凄くいい人のようだ。最初はなにを考えているかが分からなかった。だが今となっては仲間になってくれるようだ。はぁ。よかった。


「有難う御座います! マフティ様! このご恩は一生忘れません!」


 俺はより心を込めた一礼をした。ここにいることが場違いな俺だがどうしてもお父さんの無念を晴らしたいんだ。だから俺はなにがあってもここから抜け出せれない。だってそれが俺の生き様だから。

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