↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犬と猫の可愛い戦争~なお、人間は気づいていない。~  作者: 白川 透


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/39

第38話 今日はひとりで寝たい

 こたつ布団の裾が持ち上がって、むぎの頭が出てきた。


 むぎは尻尾まで布団から抜け出すと、大きく伸びをして、敷物の上にどさりと横になった。舌が少し出ている。


 すみは窓辺から下りて、むぎのそばへ行った。むぎの体からは、こたつの中の匂いと、乾いた熱がまだ立ちのぼっていた。


 すみは、その背中にくっついて座った。


 むぎが、ずりずりと前へずれた。すみとのあいだに、猫一匹ぶんの隙間ができる。


「暑い」


 むぎはそれだけ言って、目を閉じた。


 すみは隙間を見た。それから、むぎの背中を見た。尻尾の先で、床を一回だけ叩く。


 すみは立ち上がって、敷物の反対の端まで行った。敷物が終わって、床の板が少しのぞいているところだ。横になって前足を伸ばすと、肉球がひやりとした板に触れた。


 悪くなかった。


 すみは後ろ足も伸ばした。体が、どこまでも長くなる。窓からの光が、ちょうど腹のあたりに落ちていた。むぎにくっついているときは、こんなふうには伸びられない。


 すみは目を閉じた。


 遠くで、あおいが紙をめくる音がする。窓の外で、どこかの犬が一回だけ吠えた。腹の上の光が、少しずつ脚のほうへずれていった。


 足音で、目が覚めた。


 むぎが、敷物のこちら側へ歩いてきていた。舌は、もうしまっている。むぎはすみの少し手前で止まると、くるりと回って横になった。すみの後ろ足の先と、むぎの背中のあいだに、前足一本ぶんくらいの隙間があった。


「暑いんじゃなかったの」

「今は、こっちがいい」


 すみは返事をしなかった。後ろ足は、伸ばしたままにしておいた。


 むぎの寝息が聞こえはじめた。すみも、もう一度目を閉じた。床の板は、まだ少しひやりとしていた。

お読みいただきありがとうございます!

「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマーク・評価・リアクションをいただけると嬉しいです。

Xでも更新情報などを発信しています。

よろしければこちらもフォローいただけると嬉しいです!

https://x.com/st_shosetsu

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。