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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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83/84

83話 非常事態宣言

 リーゼさんが単独行動に出てから数時間が経った。

 時間帯は昼過ぎ頃、道中で何度か魔物と出会しては撃破を繰り返したものの、商隊は既に今日の進行ノルマであるビヤバンの町に到着しており、今はアンドリューさんが今晩泊まる宿を確保しに向かっているところだ。

 その間にシャオメイが、簡単な間食として塩分補給も兼ねて、葱油餅(ツォンヨウビン)とか言う薄焼きパンを焼いてくれたので、それを食べながら待機だ。

 パリパリとした食感と、ネギが香ばしくて旨い。

 旨いのはいいんだが……リーゼさんは大丈夫だろうか。

 白銀級で、俺達よりもずっと経験を積んでいるから、俺の心配など取るに足らないものだろう、と言うのは分かるんだが、それでも心配は心配だ。


「リオさん?」


 ぼんやりと町の外を眺めていたからか、エトナがツォンヨウビンを片手に話し掛けてきた。


「あぁ、エトナ。どうした?」


「ギルドマス……いえ、リーゼさんを心配しているんですか?」


 ギルドマスター、と言いかけて途中で言い直したエトナ。彼女の中でのリーゼさんは、つい最近までギルドマスターだったから、言い慣れるまでは時間がかかりそうか。


「まぁな。リーゼさんなら、俺が心配してるようなことになるとは思えないって言うのは、分かってるんだが」


「……だと、いいのですが」


 ふと、エトナの表情が陰る。


「エトナも心配か?」


 俺やアイリスよりも、リーゼさんとの付き合いの長いエトナなら、それほど心配していないと思ったのだが、どうやら違うらしい。


「リーゼさん、いつもはあんな感じなんですけど、たまにギルドの業務が詰まっている時、徹夜とか平気でやろうとするんです。そうして徹夜した翌日に、名指しで受けた危険な依頼を遂行しに行ったり」


 マジか、徹夜してそのまま冒険者の依頼も受けに行くのかよ。


「それに、他のギルド職員が欠勤している時には、その人の分の仕事まで請け負ったりして……結構無茶するんです、あの人」


「そりゃぁ……」


 普段は悪戯好きなお姉さんって感じなのに、裏じゃそんなに仕事をこなしてるって言うのか。

 ……言われてみれば、商隊の専属冒険者になってからも、アンドリューさんやエトナと一緒にデスクワークをしたりもしてるな。


「だから今回も、スカルゴンを必ず排除しなくちゃって、無茶な深追いをしているんじゃないかって思うんです」


「……そう言われると、余計に心配になるな。何も無ければいいんだが」


 引き際を見誤るような人じゃないとは思うが、リーゼさんに問題が無くとも、外的要因によって何が起こるか分からない。


「……リオさんの、そう言うところが、……」


 ぼそりと、エトナは何かを呟いたがよく聞こえなかった。

 何を言ったのか聞き直そうと思ったら、


「ここにいたか!おーいリオ!エトナ!」


 アンドリューさんの大声が聞こえてきたので、そっちに向き直る。

 その両脇にはアイリスとシャルルもいる。


「アンドリューさん、どうしましたか?」


 顔を見るところ、何やら事態が紛糾しているようだが、


「聞いてくれ。今しがた、ギルドの方から非常事態宣言が発されたんだ」


「非常事態宣言?」


 非常事態宣言と言うと……確か、特別危険な魔物が出現した際、市民の安全を守るために一時的に町の出入りを制限するって話だったか?

 メルキューレの港も同じようなことになっていたが……非常事態と言うからには、相当やばいことが起きたって言うのか?


「どうやらこの近辺で、ギガスコルピオンとか言う危険なヤツが現れたらしい」


「ギガスコルピオン!?」


 俺にとって聞き慣れないその名前に、真っ先に反応したのはエトナだ。


「エトナちゃん、知っているのですか?」


 どういう魔物なのかとアイリスが訊ねると。


「……小型のスコルピオンと言う魔物が、突然変異で大型化した魔物です。極めて凶暴で、分泌される猛毒の危険性から、非常事態宣言の対象にも当てはまります。推奨階級は、白銀級以上」


「は、白銀級以上っての!?」


 この間に聞いたシーサーペント以上に危険な魔物であることに驚くシャルル。

 白銀級以上の危険度ともなればほとんど災害レベルだ。

 エトナは一呼吸を挟んで、努めて冷静に振る舞う。


「リーゼさんなら、なんとか討伐出来るかもしれませんが、スカルゴンを追跡して消耗している状態だとしたら、危険かもしれません」


 それは確かにそうだ。

 既に数時間経過して、リーゼさんがまだこの町に到着していないとなれば、まだ砂漠の真ん中にいる可能性が高い。

 飲み水も携行していると言っても、半日も保たない。

 もし深追いしてまでスカルゴンを仕留めたとしても、ビヤバンの町との距離が離れていて、飲み水が尽きたそこにギガスコルピオンと出会したりしたら、いくらリーゼさんでも対処しきれないだろう。


 考えれば考えるほど、『ありとあらゆる最悪のパターン』が思い浮かんでしまう。


「待て待て、それだけじゃない」


 エトナの言葉を遮るアンドリューさん。

 それだけじゃないって、まだ何かあるのか?




「そのギガスコルピオンが、()()()()()()()




 ……何だって!?

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― 新着の感想 ―
徹夜してそのまま危険な依頼って。 きっと徹夜でハイになってたんだよ。 そんで今回はハイになったところでどうにかできませんね。 はよ助けに行かねば(;゜Д゜)
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