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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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79話 怪盗ハートクイーン

 怪盗ハートクイーンなる真っ赤な女が前口上を完璧にこなすのを前に、俺はそっとアンドリューさんに近寄って小声で話しかける。


「どうしますか?アレ、敵じゃ無さそうですけど」


 あいつがどう言う目的でこの場に介入してきたのかは分からないが、敵では無いかもしれない。もちろん、味方だと断定するのも尚早だが。

 しかしアンドリューさんの返答は予想の斜め上だった。


「何だか面白いことになりそうだから、ここはひとまず様子見だ」


「えぇ……」


 なんじゃそりゃ。

 

 すると、


「そこのロゾックとやら!キミ達がアコギな仕事で善良な一般人を騙し、甘い汁を啜っているのは既にお見通しなのだよ!痛い目に遭いたくないなら、今すぐ騎士団に自首し、これまでの悪行三昧を悔い改めるがいい!」


 やたらとスタイリッシュな構えで銃口をロゾックに向ける怪盗ハートクイーン。

 あぁ、やっぱりロゾックは俺達以外にも似たような手口で騙していたんだな。


「怪盗だか何だか知らねぇが、ふざけた女だ!お前ら、やっちまえ!」


 ロゾック達は隠し持っていた武器を抜いたり、そうでない者は素手のまま、怪盗ハートクイーンに襲い掛かる。

 アンドリューさんは様子見と言っていたが……まぁ、危なくなりそうなら加勢してやるか。


「ふふふ、残念ながら、それでは圧倒的に速度不足。それでは、ショータイムと参りましょう!」


 トゥッ!と怪盗ハートクイーンは飛び上がりながら両手の銃を連射する。流れ弾飛んで来ないだろうな?


「ぐわっ!?」


「ぎゃぁっ!?」


 しかしその狙いは極めて正確、ロゾック達の武器や手足だけを撃ち抜き、命を奪わないように無力化していく。

 着地し、それでも殴りかかってくる者には、銃をホルスターに納め、懐に仕込んでいた投げナイフを投擲、やはり手足だけを狙って動けなくしていく。


 そうして、瞬く間にロゾック達は全員戦闘不能になった。


「うぐっ……何もんだ、お前……っ?」


 手足を銃と投げナイフによって傷つけられ、倒れたロゾックは、信じられないようなものを見る目で怪盗ハートクイーンを見上げる。


「ふふふ、ワタシの名は怪盗ハートクイーン。混迷の世に跋扈する、キミ達のような悪人を成敗する者さ」


 すると怪盗ハートクイーンはロゾックに背を向けてこちらに振り向いた。


「あー、そこのキミ達」


「うむ、オレが代表者だ」


 そこに、アンドリューさんが一歩前に出て応対する。


「彼らはこの通り、ワタシが無力化した。後は騎士団に通報するなり、皆殺しにして物資を奪い尽くすなり、好きにするといい」


「そうか。では好きにさせてもらうが……お前さん、いつもこんなことをしているのか?」


 アンドリューさんはそう訊ねた。

 こいつは戦うだけ戦って、相手からは何も奪わず、助けられた側である俺達にも何の見返りも求めないのだ。

 何故こんなことをしているのかと、俺だって訊きたい。


「……まぁ、そんなところです」


 ふと、怪盗ハートクイーンは仮面越しの視線を逸らしたように見えた。


「さて、悪人へのお仕置きも完遂したところで、ワタシはこれにして失礼するとしようか。では、さらばだ!」


 トンッ、と飛び上がり――瞬く間に木の枝に飛び移り、「はーっはっはっはー!」と高笑いを上げながら林の奥へ消えていくのを見送って。


「……何だったんですかね」


「ハッハハッ!今時、あんな義賊の真似事をしている奴がいるとはな!」


 面白い奴だ、と笑うアンドリューさん。

 それはさておき。


「誰でもいいから、騎士団に通報してくれ。その間に、奴らに手当てだけでもしてやろう」


 奴ら、と言うのはロゾック達のことだ。


「いいんですか?こいつら、あたしらを騙そうとしてたってのに?」


 シャルルは訝しげにロゾック達を見やる。

 それはそうだ、武装していた上にそもそも俺達に爆弾を投げ付けてきたような奴らだ。

 嬲り殺しにするつもりはないだろうが、助けてやる義理もない。

 もちろん、アンドリューさんもただの慈善だけで手当てするつもりはないらしく、


「なぁに、治療費と謝礼金はしっかり踏んだくってやるさ。騎士団に話を通した上でな」


 とのこと。

 騎士団の前で奴らを手当てして見せることで、こちらの要求を正当なものにすると言うわけだ。




 騎士団への通報はリーゼさんが向かい、ロゾック達への手当ては男手で行う。女性陣に手当てさせないのは、万が一ロゾック達が良からぬことをしないとも限らないからだ。


 ちょうど、手当てをしている最中に、リーゼさんが騎士団を連れて戻ってきた。


 アンドリューさんが騎士団に応対し、彼らと商談交渉をするはずが、騙されて殺されそうになったこと――密航させてもらおうとしていたことは伏せた上で――と、怪盗ハートクイーンなる女が介入し、騙そうとしていた側であるロゾック達を攻撃、痛め付けるだけ痛め付けてから去っていって、今に至ることを説明する。


 騎士団としても、怪盗ハートクイーンの噂は聞いているが、昼夜問わず神出鬼没に現れるために、その正体や足取りは掴めていないらしい。


 手当ての治療費と、こちらを騙そうとした謝礼金をいただいても構わないかと、騎士団を頷かせた上で、ロゾック達の船からそれなりの額の大金をいただかせてもらう。

 ロゾック達は全員拘束されて詰所へ連行、彼らの船も騎士団が差し押さえる。


 ――結局、ロゾック達の船と航路で帝都へ向かう話は無かったことになってしまったか。

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― 新着の感想 ―
助かったはいいものの、渡る手段をいちから考えなきゃいけませんねぇ。 さてさてどうするんでしょうか(ΦωΦ)フフフ…
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