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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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78/92

78話 ★真夜中の密航

 そうして二日後。

 その前日である昨日は、アンドリューさんとエトナはロゾックの船に乗らせてもらうことを確約し、俺、アイリス、シャルルの三人は近場ですぐ行って帰って来れる赤銅級の依頼をひとつ受け、リーゼさんは図書館の方に赴いた。

 シャオメイは露店のバザーに足を運んだものの、「港町なのに魚介類の数が少ない」と不満をこぼしていた。港を封鎖している以上は仕方ないか。


 今日は朝から撤収準備をしつつ、深夜に船着き場に移動、ロゾックの船に乗せてもらい、メルキューレを密航する算段だ。

 撤収準備をしながらも、美味しくて栄養のある料理を作ってくれるシャオメイには感謝の言葉もない。


 昼頃になったら、一度馬車の中で昼寝をして、夜に備える。


 夕食は、撤収準備のために簡単な物しか用意できなくてすみませんと言うシャオメイだが、簡単な物でも十分美味しいし満足だ。




 ――で、町の灯りもほとんどが消えて住民も寝静まる、日付変更間際になって、俺達はぞろぞろと動き出す。


 人目を忍んで深夜に密航……自分達がやろうと思ってやる分にはわくわくする所もあるんだが、残念ながら今回は違う。

 明らかに怪しいし信用ならない相手の口車に乗る形での密航だ、何が起きるやら不安で警戒態勢を解けない。


「リオ」


 船着き場へ移動している時、アンドリューさんから声を掛けられた。


「なんですか?」


「ハッキリ言って今回の話は信用しとらん。万が一戦いになった場合に備えて、非戦闘員は全員馬車の中にいてもらい、オレと冒険者だけが外にいてもらう」


「それなら、俺が一番前に出るべきですね」


 これまでと同じ、戦闘になったらいの一番で飛び出してくれってことだ。

 後ろの守りにはリーゼさんがいてくれるし、アイリスとシャルルも、破落戸相手なら遅れは取らないだろう。


「そう言うことだ、頼んだぞ!」


 バシバシと背中を叩いてくるアンドリューさん。痛い。




 港に到着したが、現在封鎖中のため停泊中の船がズラリと並んでいる。これだとどれがロゾックの船か分かりにくそうだが。


「おぉー、来たか」


 それを見越してのことなのか、ロゾックが港の入り口付近で待ってくれていた。

 彼の周りには、同じく屈強そうな船乗りが四人ほど。


「時間通りだ、代金は馬車を船に積み込んでからでいいんだったな?」


 アンドリューさんが先頭に立ち、昨日に契約した内容を確認しつつ応対する。


「おぅ。それじゃ、早速ついてきてくれ。見つからねぇように、端の方に停めてあるんでな」


 そう言ってロゾック達は港の端へと足を向ける。ギルドや騎士団に見つからないように、出来るだけ密航する際に目立たない位置に停めているのは理にかなってはいるが……


 言われるままになるように、港の端……と言うか、そのまま町の外の海岸線近くにまで。


「おいおい、どこまで行くんだ?もう町の外に出ているんだが」


 アンドリューさんがそう言った時、船乗りの一人が突然振りかぶり、何かを投げ付けてきた。


 ――【タイム連打】、発動。


 ピタリと時の流れが止まるのを確かめてから、俺は動かせない視界の中で、投げ付けられたそれを注視する。


 丸っこい物体に、火のついた紐が繋がっている…… あれは、爆弾か?


 冒険者が使うタル爆弾ほど大きいものではないが、それでも人間がまともに喰らえば大火傷では済まないだろう。

 ……爆発する前に俺がロングソードで弾き飛ばせば、もし爆発しても俺が火傷するくらいで済む、か?


 ――【タイム連打】、解除。


 同時に駆け出し、


 と、思ったら。


 どこからからバァンッ、と言う炸裂音が鳴り響き――横合いから飛んできたソレが爆弾にぶつかり、爆破した。


「っ、何だ!?」


 飛んできた何かは、俺から見て左手側からだ。

 すると、


「ふふふ、ここで構えていて正解だったようだね」


 その方向にあった木々の中からそんな声が聞こえたと思ったら、赤い何かがバッと飛び出してきた。

 赤いマントを翻し、クルクルとムーンサルトをキメながら、スタッと着地。俺達とロゾック達を俯瞰するような位置だ。


 赤い髪に、真っ赤な正装、目元を覆う仮面――一言で言えば"ふざけた奴”だ。

 その両手に持つのは、小型の銃。銃口から硝煙が浮かんでいる辺り、爆弾を撃ち抜いたのはあれだ。

 しかし、あんな小振りの銃――冒険者用のボウガンのそれではない――で、なおかつ爆弾までの距離もそれなりにあったはずなのに、それでも爆弾だけを正確に撃ち抜く技術。


 ……こいつ、あんなふざけた格好しているが相当な実力者だぞ?


「なんだてめぇは!いいところで邪魔しやがって!」


 ロゾックがその真っ赤な女を見て怒鳴る。爆弾投げ付けておいてその発言は、最初から騙すつもり満々だってことじゃねぇか。予想はしていたが。


「ふふふ、なんだてめぇは、かい?では、お答えしましょう!」


 バサリと赤マントを靡かせて。


「――世界が闇に()まれし時、今宵は紅月(あかつき)が昇る、月下閃紅。燃え上がる赤は義憤の証、闇夜を焦がし光をもたらす希望の証!」


 ……前口上長いな。


挿絵(By みてみん)


「『怪盗ハートクイーン』、(まさ)しく義を示すべく、ここに推参!!」




 あ、終わったっぽい。

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― 新着の感想 ―
私の前職のサービス業の現場じゃ確実に『RED』なんてエネミーコードをつけられるだろう相手やな。果たして通常の三倍速い……というかレッドファイッ! しちゃうのか!?
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