226話 ★やっぱりすけべですよね
アイリスが王都を追放される時を同じくして、俺は【タイム連打】スキルがハズレであることを理由にルイン達三人から (俺を死なせたくないと言う善意で)【紺碧の刃剣】を追放されたのが、全ての始まりだったんだろう。
フリーランスの冒険者になってあちこち旅をしながら王都を離れようと決意して、アンドリューさんの商隊のカイツール行きの護衛依頼を受けて、アイリスとはその道中で出会ったんだっけな。
カイツールでエトナとリーゼさんに出会って、一緒に商隊専属の仲間になって。
ネオライトへの道中でシャオメイと知り合って、ムイもちょうどその頃にディストに捨てられて、あのサンドイッチの出会いを果たしたんだったな。
ネオライトでルイン達【紺碧の刃剣】と思わぬ再会を果たして、絶望するルインに、拳でぶん殴って伝えたいことを伝えて。
それからワーカーマスターやゴンザレスさん、シャルルと協力して悪徳領主のグリードを討伐して、アイリスとの『孤児院に寄付すると言う約束』もあって、シャルルも仲間になって。
メルキューレでロゾック一味に騙されそうになったところに、怪盗ハートクイーン――もとい、ニーリンに助けられて、奇縁が生まれたこともあったな。
砂漠を渡って、ビヤバンの町に立ち寄った時に、ムイと再会 (俺達からすれば初対面だが)して、俺に恩返しとしてご奉仕すると言う形で商隊のお手伝いさんになってくれて。
砂漠を越えて、バビロード登山道を登る途中で、闇ギルドの連中と戦うことになり、そこで初めてモーゼスと出会い、鎬を削り合った。
山頂部の町でショーンさんと、フリーダとも出会い――帝国の内乱に関わり始めたのは、ここからだと言っても過言ではない。
国境線を越境して、帝都までの道中でボロボロになったニーリンと再会して、彼女とは互いに利用し合う形で仲間になってくれた。
帝都に着いてから、フリーダとも再会して (まさか性的に襲われかけるとは思わなかったが)、ムイの潜入任務のおかげでゼリウスの野望の片鱗を見て、戦争阻止のために尽力して。
モーゼスと決着をつけ、ソンブルーヨ島で邪龍ダンケルハイト (寝惚)と死闘を繰り広げて、アンドリューさんが持っていたダンケルハイトの龍鱗の破片によって、なんとか事なきを得た。
この功績を讃えられて、カイザス陛下やレウィシア第一皇女の覚えもめでたくなり、今度は王都に向かうことになって。この時に、モーゼスの娘のフィーナも、アイリスの浄魔珠のおかげで人生を取り戻したんだったな。
今度は海路で帝都~メルキューレ間を移動することになって、ネオライトまでの道中でムイの元テイマーであるディストと遭遇して、取っ捕まえて。
ネオライトでシャオメイに告白されて、道中でニーリンに決断を迫られ、さらにカイツールではエトナにも告白されて、ようやくアイリスに想いを告げることを決意した。
王都までの道中でアイリスに告白して、両親の無事を確かめて、俺のことを紹介するまで交際はお預けと言う約束を交わして。
王都にてルイン達と再会して、聖女攻略のために協力してくれて、いざ聖女カナコと対面したら聖龍アウラオーレが出てきたから、アンドリューさんもダンケルハイトを呼び出して、聖女伝説の再来――の、はずなのに何故か俺がダンケルハイトの背に乗って戦うことになって。
そして全てが終わって、ようやくアイリスのご両親――ベルナルドお義父様と、リコリスお義母様と対面して、アイリスとの結婚を認められて。
今、ここに至る。
こうして振り返ってみると、半年とは思えないほど色んな場所へ行って、色んなことがあって、色んな仲間が集まって、
……恋人も、出来た。
「・・・アイリス」
「はい?」
「思い出を振り返るためだけに、こんな時間に俺のところまで来たんじゃないよな?」
「……はい。実はもうひとつ、目的があるんです」
隣に座っていたアイリスが、そっと寄り添ってくる。
「これまでは、リオさんの怪我もあるから、私も我慢していましたが……もう、骨折は大丈夫なのですよね?」
「あぁ、普通に運動も出来るな」
これはやっぱり……"そう言うこと“なんだろうか。
「私、ずっと待っていました。リオさんと、恋人らしいことが出来る日を」
「俺もだ。アイリスのことを好きになって、もし付き合うことが出来たら、って何度も考えたことがあるくらいだ」
当然だが、好いた女の子に対する邪なことや疚しい気持ちだってある。俺も男だからな。
「……リオさんって、やっぱりすけべですよね」
・・・すけべ呼ばわりは、さすがに想定外だったな。
「すけべって言われてもな」
「ドレス姿の私の胸元に釘付けになったり、背中からの視線だって分かりやすかったですし、あと、太股とかお尻を触ろうとしたことだってありますよね」
「やめてくれ、否定できないから」
「ほら、やっぱりすけべです」
すけべすけべってなぁ……ッ
さすがに、もう我慢の限界だ。
アイリスの肩を掴んで、ベッドに押し倒す。
「きゃっ」
覆い被さって。
「なぁ、アイリス。当然、こうなることも分かってたよな」
「っ……」
「俺は、今から全力ですけべになるぞ?」
本当に嫌なら、アイリスは抵抗して拒絶するだろう。
それをしないってことは、"そう言うこと“なんだろう?
「・・・いい、ですよ」
アイリスの口から、それを認めた。
「私も、リオさんにこうされたくて、すけべ呼ばわりしたんですから……」
「なら、俺はもう我慢しないぞ。今夜は、寝かさないからな」
「はい……♪」
一呼吸を置いてから。
俺は自分の唇を、アイリスの唇へ、そっと押し付けた。
あと2話で完結です。




