224話 笑顔満ちる宴会
結果として、アイリスとの交際及び結婚を認められた。
それと、王都を発つまでの数日間、エイルブルー家の屋敷で寝泊まりすることになった。
まぁ、お義父様やお義母様としては、義息子である俺とあれこれ話したりしたいだろうし、アイリスともそうだ。
半年間音沙汰も無かったんだし、親子水入らずの時間も必要だろうと思ったのだが、他ならぬお義父様とお義母様から同席を求められた以上は、断るわけにもいかない。
そんなわけで、俺とアイリスとの間で取り決めていた『交際は両親に俺を紹介してから』と言う約束は果たされたと言うことで、晴れてアイリスと恋人同士になることが出来た。
で、その翌日。
まだ日も高い昼間から、予約していた酒場の一席を貸し切り状態で使わせてもらって。
「それじゃぁ……オレ達の任務達成……は、まだだが、ひとまずの達成と言うことで、乾杯!」
アンドリューさんの音頭に合わせて、
「「「「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」」」」
俺、ルイン、スコット、ヒルダ、アイリス、エトナ、リーゼさん、シャオメイ、シャルル、ムイ、ニーリン、フリーダ、レウィシア第一皇女と合わせて合計14名による、乾杯。
俺達の任務の完全達成は、レウィシア第一皇女とフリーダを帝国に帰還させて、カイザス陛下にご挨拶するまでだ。
だが、 (元)聖女カナコとの対談を成功させると言う最難関は突破した (と言うかする必要がなくなった)ので、ここらでひとつハメを外してもいいだろうと、と言うことで、今回の任務遂行に貢献してくれたルイン達三人も招いての宴会だ。
ちなみに、アルコールを飲むのは成人している俺を含めた【紺碧の刃剣】四人と、アンドリューさん、リーゼさん、ニーリン、レウィシア第一皇女の八人だけで、他はノンアルコールだ。
護衛対象であるレウィシア第一皇女に飲酒させていいものかと、待ったは掛かったが、フリーダがいるから大丈夫だと、彼女本人が判断した結果、レウィシア第一皇女もアルコールを飲むことになった。
ビールをぐいーっと飲んで。
「ぷはぁっ、こんな酒が旨くなる気分は久しぶりだ」
この間もルイン達とそれなりに飲んだが、お互いどこか気まずい距離感があったが、今日はしがらみなしに思い切り飲んで笑い合うと、三人と決めていたからな。
「旨いもんだな、やっぱり酒はこうでなくちゃな」
俺の相席に座るルインも、勢い良くビールを飲んでいる。
「ルイン達が協力してくれたおかげで、……まぁ、『だいぶ予想外な方向』に着地したけど、結果的に目的を果たすことが出来たんだ。ありがとうな」
レウィシア第一皇女と聖女カナコとの対談はあくまでも手段であって、最終的に『聖女カナコによる豊穣の独占』をやめさせることが出来たので、結果オーライである。
「別にオレ達は大したことしたわけじゃねぇよ。……まぁ、この間の借りを返したってことにしといてくれ」
「この間?……あぁ、ブレイドビートルの」
結果としてルインの窮地を救った形にはなったが、別に貸しにしたわけじゃない。
仮にブレイドビートルの一件が無かったとしても、遅かれ早かれ王都に行くことになっていただろうし、そこでルイン達とも再会していただろう。
ついでに俺が「協力してくれ」って頼んだら、きっと二つ返事で手を貸してくれたに違いない。当然、その後日は俺の全奢りによる全メニューフルオーダーコース待ったなしだろうけどな。
「じゃ、そう言うことにしとくよ」
「ぜひそうしてくれや」
わははと笑い合って、ビールをもう一口。旨い。
………………
…………
……
ん~……いい感じに酔ってきたな……退院前に、ギルドの医師からは「飲んでも問題ないが、それで身体が壊れたら知らん、その時は勝手にくたばれ (意訳)」と言われたので、ここらで切り上げる方がいいかもなぁ……
「それでリオの奴なぁ、「焼けば食えるだろ」ってネズミ食って腹壊して死にかけたんだよぉ!」
「ハッハハッ!さすがリオだ、なんともないなぁ!」
俺の目の前で、ルインとアンドリューさんが、スラム時代の俺を肴にして盛り上がっている。なんか恥ずかしいんだが。
あー、懐かしいなぁ、ネズミの丸焼き食べて腹壊して死にかけたこともあったっけなぁ。
「ほんと、あなたみたいな綺麗で可愛らしいお嬢様を手篭めにするなんて、リオも手癖が悪いわね」
「可愛らしいだなんてそんな。ヒルダさんだって大人っぽくて羨ましいです」
「不束なリオですが、よろしくお願いいたします」
「いえいえ、こちらこそ不躾者でして」
その隣ではヒルダとアイリスが頭を下げあって社交辞令を交わしている。
不束なリオってなんだよヒルダ。お前は俺の小姑かなんかか。
スコットの方も、リーゼさんやニーリンに話しかけては盛り上がってるし、打ち解けるの早いななぁ。
「リオ?もしかして気分悪くなっちゃったっての?」
料理をつまんでいたシャルルが、俺が静かになったのを見てか心配してくれる。
「ん?あぁ、そうじゃなくてな。医師からは飲み過ぎるなって言われてるし、そろそろ時間もいい頃合いかなと」
「あ、ほんと?」
シャルルにつられて壁時計を見ると、もう夕暮れと言ってもいい時間帯、結構長い間バカ騒ぎしてたみたいだ。
そろそろお開きにしましょ、と言うことでまだある料理や飲み物を残さず全部平らげてから、解散だ。
俺とアイリスはエイルブルー家の屋敷へ、商隊のみんなと帝国皇女二人は宿屋へ、ルイン達三人も自分達が借りている部屋へ、それぞれ戻っていっていく。




