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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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219話 例外

「……そう言えば、ダンケルハイト」


 ふと、訊きたいことが出来たので、すぐ近くで鎮座しているダンケルハイトに話しかける。

 俺自身はしばらく動けそうにないので、アイリスに膝枕してもらいながらだが。


『どうした、リオよ』


「さっきの戦い……結局、俺はお前の背中にしがみつきながら【タイム連打】の発動と解除をひたすら繰り返していただけなんだが、最後の方……アウラオーレ、ほとんど棒立ちだったよな?」


 俺が【タイム連打】の発動と解除を開始する時を同じくして、まだアウラオーレには抵抗出来る力はあったはずなのに、何故かほとんど棒立ちで、ダンケルハイトの動きについていく気が無かったように見えたのだ。


『知れたことよ。貴様の【タイム連打】を、我が最大限に活かしただけのこと』


「活かした?どうやってだ?」


【タイム連打】によって時を止めると言う、それを認識出来るのは俺だけだ。アイリスを始め他の冒険者達もその事は知っているが、俺が【タイム連打】を使っていると言う認識は出来ないはずだ。

 すると、ダンケルハイトの答えは。


『簡単だ。その【タイム連打】とやらの、時を止めると言う事象。それを我の方からほんの少し手を加えた』


 そうするとどうなるのかと言うと。


『そうして奴が――聖龍が認識している"時“を、ごく僅かに停止させたのだ。それは本当にごく僅か、瞬きひとつにも満たぬが……貴様が【タイム連打】の発動と解除を繰り返せば繰り返すほど、その"ごく僅か“な時間は積み重なり、やがてそれは奴にとって致命的な隙となる』


「……俺が自発的に行う【タイム連打】による時の一時停止を奴に押し付けて、それを何百、何千回も繰り返して蓄積した分の、"停止した時間“。それが奴の認識下で表面化したってことか?」


『うむ、その通りよ』


 どうやら俺の【タイム連打】は、時を止めることによって発生する『停止した時間』を蓄積することが出来るらしく、その蓄積した『停止した時間』をアウラオーレに押し付けることで、奴の認識する"時の速度“を遅延・誤認させた……と言うことらしい。


 突き詰めた究極的には、『相手の動きを停止させる上に、相手は自身の動きを止められている自覚がない』と言うことになるのか。


 ・・・マジで?

 今の今まで知らなかったんだが、俺の【タイム連打】、なんかとんでもないんだが?


 でも、


「やばいなそれ、って思ったが……俺の【タイム連打】に、お前が手を加えたから出来たことで、俺一人で同じことは出来ないみたいだな?」


『貴様の努力と研鑽次第では出来るようになるかもしれんが、今回は我と言う存在がいたからこそ成立した、"例外“と思う方が良かろう』


 例外ねぇ。

 確かに、俺一人がこれと同じことを無理矢理やろうとしたら、どんな弊害が起きるか分からないし、やめておいた方が良さそうだな。


「そうしとくよ」


『うむ。……して、アンドリューよ』


 すると、ダンケルハイトの視線がアンドリューさんに向けられる。


「おぅ、どうしたダンケルハイト」


『聖龍も滅ぼしたことだ。我は一度ソンブルーヨ島へ戻る。杯を交わしたいと思った時に、改めてもう一度呼ぶが良い』


「お?別に今からここで一杯やってもいいんだぞ?」


 今からここで一杯って……燃えている後宮を前にしてか?

 不謹慎過ぎるだろ……と言うかその一杯やるための酒はどこから持ってくるつもりなんだ。


『我がこのままここにいては、民衆に要らぬ恐怖を与えるであろう。それは、そちらも望むところではあるまい』


「ふむ、それもそうか」


 燃えている後宮に、黒い邪龍となれば……うん、王国を滅ぼす御伽噺(げんじつ)の顕現にしか見えないな。


『では、暫しの別れだ。すぐにまた会おう、友よ』


 そう言ってダンケルハイトは俺達から離れると、黒翼をバサリと広げ――一瞬で消えた。

【タイム連打】によるそれではなく、ソンブルーヨ島からここまで三秒くらいで来たくらいの速度で翔んだのだ。


「さてと……リオ、そろそろ起きれるか?」


 アンドリューさんが、起き上がれるかと俺の顔を覗き込む。


「なんとか……」


 アイリスに支えてもらいながら、のっそり起き上がる。

 宿で待ってくれているみんなや、下水路から戻ってくるだろうルイン達と合流したいが、あぁ……まだ身体中が変だし、痛ぇ……


 すると、


「リオさまー!」


 とてとてと走りながら、ムイが駆け寄ってくる。

 その背後には、エトナにリーゼさん、シャオメイ、シャルル、ニーリンも。

 迎えに来てくれたのか。


「ってわわわっ!?リオさまっ、顔がひどいことになってます!?」


 ひどい顔とはひどいな、ムイ。さっきも似たようなやり取りしたけど。


「あー、悪いムイ。ヒール頼む」


「わわ、分かりました――ヒール!」


 ムイの指先から淡い緑色の魔力光が放出され、俺の顔を包み込むと、顔が楽になるのを感じる。


 ――結局、当初の目的だった、レウィシア第一皇女と聖女カナコの対談は有耶無耶なままで放り出したようなものだが……それより今は、とにかく休みたい……

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― 新着の感想 ―
いはやは反則的な能力ですねタイム連打^^; でもってこれを努力次第じゃ実現できるかもしれない……のちに同じスキルに目覚めた冒険者が、リオに関する記述で知って無双するかもしれんですな。この時の出来事が記…
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