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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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215/228

215話 激戦の余波

 一方その頃、国王夫妻――両親の制止を振り切ったフルスは、女神像の間に取り残されているだろう、カナコを迎えに行くべく廊下を駆けていた。


「待っていろ、カナコ!今、私が助けに行くぞ!」


 まともな食事も睡眠も取らなくなり、毎朝と毎晩に狂ったように祈祷を捧げ続けては、日増しに痩せ細り窶れていくカナコの姿は見るに堪えず、ひどくおぞましい有り様だったが、『それでも何故かカナコを溺愛してやらなければならないと思ってしまう』のだ。


 その理由は何なのかと考えようとしても、その思考は『すぐに頭から抜け落ちてしまう』。


 カナコは頻りに「アイリスさんが邪龍と共に復讐に来る」と怯えているが、『そのアイリスとやらは一体誰なのか皆目見当もつかない』。


 ついでに言えば、少し前から王国の公爵家が一家分空席となっているが、『元々どこの家だったのか思い出せない』し、『その公爵家の誰かと許嫁だったような気もするが、全く思い出せない』のだ。


 覚えていない、忘れてしまったことだらけで、まるで記憶が虫食いのようになってしまっているが、『それよりもカナコを溺愛しなければならない』。


 自分こそがカナコの運命の番なのだ。

 聖龍アウラオーレは自らを聖女の番であり、聖女そのものであるなどと訳の分からないことを宣っていたが、人間が龍の子など産めるはずがない。

 いいや、聖龍も邪龍の番アイリスも、もはやどうでもいい。


「そうだ……私が、私こそが、カナコの隣に相応しく、溺愛しなければならないんだ!」


 窮地に立っているであろうカナコを救い、溺愛してやらなければと、『それ以外のことは何も考えられない』


 カナコがいれば、カナコさえいればいい。


 あたかも、何かに取り憑かれたようにカナコを求めるフルスは、炎に包まれつつある宮中を駆け――女神像の間に辿り着き、ドアを開ける。


「カナコ!無事、か……!?」


 女神像の間は既に姿も形もなく、火の海になっていた。


 いいや、まだだ。

 もう祈祷を終えた後であり、ここではないどこか、この後宮内のどこかで助けを待っているに違いない、とフルスは即座に踵を返し、燃え盛る廊下の中へ躍り出る。

 



 雲の上の戦いはいつしか墜落し、地上へと移り行く。


 城壁のどこかへ墜ちたらしいアウラオーレを追って、ダンケルハイトが最初に突き破ったところから這い出るように、俺達もそこへ向かう。


 遠巻きながらそこに見えた光景は、アウラオーレが城壁を突き破り、身動きらしい身動きが取れないところを、ダンケルハイトが激しく攻め立てる戦況だ。おまけにダンケルハイトの火炎ブレスの余波が城壁を燃やし、火災も起きている。


 このままダンケルハイトが一方的にアウラオーレを叩きのめすのかと思いきや、アウラオーレもそう簡単に倒されはしないようで、より激しく抵抗してダンケルハイトを引き剥がす。


 引き剥がされたダンケルハイトは火炎ブレスを放つが、アウラオーレもまた稲妻ブレスを放って対抗し、激突の余波がまた城壁を吹き飛ばし――火炎ブレスの余波が、女神像の間に直撃、燃やし尽くしていく。


 あのままあそこにいたら、全員御陀仏だった。


 するとアウラオーレが反撃とばかりダンケルハイトに距離を詰め、ダンケルハイトの首に龍牙を突き立て喰らい付く。

 しかしカウンターとしてダンケルハイトの龍牙もまたアウラオーレの首に喰らい付いており、互いが互いの首を喰らいちぎらんと縺れ合う。


 喰らい付き合いながらも、ダンケルハイトは左翼爪をフックのように振るい、アウラオーレの鼻っ面を殴り抉った。

 アウラオーレもこれは痛手だったのか、思わずダンケルハイトの首から龍牙を抜いてしまい、ダンケルハイトはアウラオーレの首に喰らい付いたまま、顎の力だけでアウラオーレを振り回し、地面に叩き付ける。


 まるで、人間の格闘技のような戦いだ。


 アウラオーレを地面に叩き付けたダンケルハイトはアウラオーレの首から龍牙を離し、飛び下がって距離を取る――と言うか、こっちに向かってくる?


 ダンケルハイトの龍眼が俺達を睥睨し――ぴたりと俺のところでそれを止めた。


『そこの貴様、我に力を貸せ』


「へ、俺?」


 力を貸せって、俺に?


『貴様はなかなか面白いものを持っているようだ。奴を、聖龍を確実に滅ぼすために、その力を使わせてくれ』


 俺の【タイム連打】のことか?


「いや、俺のスキルは……」


『【タイム連打】とやらだろう、承知の上だ。……我の背に乗れ!』


 即断即決しろってか。

 しかしこの戦い、長引けば長引くほど死者が出る、あるいは増えるかもしれない。

 ならば。


「・・・しょうがねぇな、やってやるよ!」


 俺が頷くなり、ダンケルハイトは首を下ろして、俺に乗るように催促してくる。


 恐る恐るなんてやってる場合じゃない、すぐさまダンケルハイトの背に……って言うか、首に跨がるように腰を下ろす。


 俺を乗せるなり、ダンケルハイトは即座に翼をはためかせて飛翔する。


 気分はまるで竜騎兵(ドラグナー)だが……高(たっけ)ぇ!?龍の視点ってすげぇ!?

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― 新着の感想 ―
今度はリオが聖女ポジションに!?(あってるようなはずれてるような 確実に滅ぼす……バカは死んでも治らんぞ、ダンケルハイト(;゜Д゜) ていうかやっちゃうの? せっかくのほぼ互角なけんか相手だぜ? 鈍…
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