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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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214/228

214話 圧倒させてもらう

 日が沈み、星月が見えるほどの夜になった時、夜空に爆発的な輝きが迸った。


 都民達は何事かと空を見上げれば、後宮の遥か真上に、白金と黒虹、二つの輝きが凄まじい二重螺旋を描き、稲妻と火炎が美しくも暴力的な芸術を刻む様が見えた。


 待機していたエトナ、リーゼ、シャオメイ、シャルル、ムイ、ニーリンの六人は、都内の騒ぎを聞き付けると宿の外に出て、後宮の方へ目を向ける。


「あれは……」


 リーゼが目を凝らすように白金と黒虹――アウラオーレとダンケルハイトがぶつかり合う様を見やる。


「リーゼさん、あれってもしかして……」


 エトナの【鑑定】スキルでも、高度がありすぎて読み取ることが出来ない。


「邪龍ダンケルハイトと、聖龍アウラオーレ、かな。まさか、聖女伝説の再来をこの目で見ることになるとはね……」


「いやいや呑気に見てる場合じゃないっての!リオは、みんなは無事なんだっての!?」


 聖女カナコとの対談交渉に向かったはずなのに、何故アウラオーレとダンケルハイトが戦うようなことが起きているのか、リオ達はそれに巻き込まれてはいないだろうかとシャルルは心配になるが。


「ジタバタしてもどうにもならないさ」


 すぐにでも後宮へ飛び出しかねないシャルルを諌めるニーリン。


「ワタシ達に出来るのは、リオくん達を信じて待つのみ。そうでしょう?」


「それは、そうですけど……っ」


 焦れるシャルル。


「大丈夫です!」


 そこに、ムイが自信満々に頷いた。


「リオさまと、みなさまならきっと、大丈夫ですから!」


 強がりや言い聞かせなどでない、何かを確信したかのような、強い声だった。


「どうして、大丈夫ですと言い切れるんですか?」


 その根拠は何かとエトナはムイに訊ねると、


「スライムの勘です!」


 根拠も何もなかった。


「あっはっはっ!なるほど、つまりは女の勘って奴ですね、それなら絶対に大丈夫だ!」


 しかしムイの言う「スライムの勘」を聞いて、それは女の勘だから信じられる、と愉快そうに笑うニーリン。


「あんまり大丈夫ジャないですネ……?」


 スライムの勘だの、女の勘だの、目に見える形ですらない曖昧かつあやふやな「大丈夫」に、シャオメイは苦笑する。


「そうだね……でもここはひとつ、ムイちゃんのスライムの勘を信じてみるのもいいんじゃないかな」


 私達が他に出来ることも無いしね、とリーゼはムイの"スライムの勘“を信じることにした。

 リーゼが信じるならばとエトナとシャオメイも頷き、シャルルも今の自分の力ではどうにもならないと理解して落ち着き、ニーリンとムイは事の推移を見守ると決め込んでいる。


 夜空は、いまだ絶え間ない爆発閃光が飛び交い――不意に、白金の輝きが墜落した。






 後宮内部は、大混乱に陥っていた。

 衛兵が何人か気絶させられているのを見て、城内に侵入者がいるかもしれないと知れたその次の瞬間には、女神像の間の天井を突き破って、ドラゴンが二頭も現れたと言う。


 ともかくまずは地下へ逃げ込むべきとして、国王は王妃と共に、衛兵に連れられて地下室へ向かうことにした。


 息子である第一王子のフルスは、女神像の間へ祈祷を捧げに行った聖女――カナコのことが心配だと、制止も聞かずに飛び出していった。

 手隙の兵にフルスを連れ戻すように命令すると、国王と王妃は先に地下室へ降りていく。


 しかし地下室へ降りて、ひとまずここなら、と息を吐いたその瞬間、『天井が落ちてきた』


 身の安全のために地下へ降りてきたと言うのに、まさかいきなり天井が崩れ落ちてくるなど思ってもおらず――国王夫妻と衛兵達はなす術なくその下に埋まった。


 ――自身の安全を我先に優先しようとした結果、彼らが真っ先に犠牲者となったのは、なんと皮肉なことだろうか――






 後宮の城壁を突き破りながら、アウラオーレは地表に墜落し、墜落地点を中心にクレーターを穿った。


 ――そこに国王夫妻がいたことなど気付くはずもなく――


 そこを逃がさんとばかりダンケルハイトが追い詰め、火炎ブレスを吐き出しながら迫る。

 アウラオーレは翼を前面に向けて火炎ブレスを防ぎ、弾き飛ばすが、火炎ブレスの余波が後宮にまで及び、あちこちに火災が発生する。


『どうした聖龍よ、愛しの聖女にかまけていたせいか、3000年前と比べても随分と鈍り腐ったようだな?』


『チッ、聖女さえまともであれば、貴様を滅するなど容易いのだがな……ッ!』


 そう、3000年前と同じように、聖女を背に乗せて共に戦えば、ダンケルハイトを滅ぼすのに半日も必要ないはずなのだ。


 距離を詰め、再び翼爪同士を打ち込み合う。

 打ち込み合いの最中、アウラオーレは龍尾を振るって薙ぎ払うが、それを先読みしていたダンケルハイトはふわりと飛び上がって龍尾を空振りさせると、


『フッ、今の貴様に聖女がいたところで恐れるに足るとは思えぬがな……ならば、圧 倒 さ せ て も ら う !』


 飛び上がった勢いのまま、ぐるんとサマーソルトのように龍尾を下から上へ振り上げ、アウラオーレの下顎を強かに討ち据えた。


『がぐっ、がはっ、ァッ!?』


 強烈な一撃を喰らい、首を仰け反らせるアウラオーレ。

 間髪入れず、ダンケルハイトは無防備を晒しているアウラオーレの胴体へ向けて火炎ブレスを放つ。


『があァァァァァ!?』


『言ったはずだ、圧倒させてもらうとな!』

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― 新着の感想 ―
あぁ~あ。 核シェルター並みの頑丈さがあれば別ですけど、こういう時は机の下とかに逃げなきゃ(まあ瓦礫が机を壊すかもしれんが)生存確率は上がらんぜ。 そんで……ずっと眠ってたダンケルハイトと聖女にかま…
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