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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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213/228

213話 聖女伝説再び

『さて、我と貴様、3000年越しの決着。今度こそ着けてやろうではないか』


 コキコキと骨を鳴らすように首をもたげるダンケルハイト。完全に喧嘩を売る破落戸スタイルだ。


『愚かな。あの時は、聖女マリアンヌの情けで封印してやったものを……ならば望み通り、今度こそ滅してやろう!』


 次の瞬間には、ダンケルハイトとアウラオーレは突然姿を消し――いや違う、上空へ飛んだのか。

 人間では認識出来ないような速度で。


 ――3000年前の聖女伝説の再来か――






 通過しただけで分厚く曇った雲をぶち抜き、翼の羽ばたきだけでぶち抜いた雲を散々に吹き飛ばす。


 邪龍ダンケルハイトと、聖龍アウラオーレ。


 互いを見据えた両龍の最初の交錯は、火炎ブレスと稲妻ブレス。


 岩すら蒸発させる自然外の熱量の火炎の塊と、自然発生する落雷そのものが正面から衝突すれば――星が弾けたかのような凄まじい閃光と衝撃波が両龍の間で巻き起こる。


『3000年も眠っていた割に、力は衰えておらんようだな、邪龍よ』


『3000年も眠らせてもらったのだよ、聖龍。むしろこの程度か、まだ血も暖まっておらんぞ?』


『減らず口はそのままか。未来永劫眠り朽ちておけば良かったものを』


『フッ、出来ればそうしたかったのだがな。だが貴様と、貴様の愛しの聖女が世を食い潰すのを座しておられるほど、――何より、友の声を聞いて聞かざるフリをするほど、我は惚けておらんよ』


 ダンケルハイトは黒翼を翻し――音すら置き去りにする速度を以てアウラオーレへ迫る。

 鋼鉄をも裂き潰す黒曜の翼爪、右翼のそれを袈裟懸けに振るい、アウラオーレの首に叩き込まんとするが、対するアウラオーレはダンケルハイトと同じかそれ以上の身のこなしを以て黒曜爪の一閃をひらりと躱し――


『友のためとは美しい友情だな、邪龍よ。――だが、無意味だ』


 次の瞬間には躱した勢いをそのまま上乗せし、ブォゥンッと大気を物理的に切り裂くほどの鋭さで龍尾を薙ぎ払う。

 アウラオーレの龍尾が鞭のごとく胴体に打ち込まれ、ダンケルハイトは大きく弾き飛ばされるが。


『・・・なぁに、ちょうど血が暖まってきたところ、だッ』


 即座に火炎ブレスを吐き出し返し、龍尾を振り抜いたばかりで隙を晒していたアウラオーレの左脇を焼き焦がしていく。


『チッ!』


 アウラオーレは左翼を振るって、ダンケルハイトの火炎ブレスを振り払うと、自身の周りに多数の光弾を生み出し、ダンケルハイト目掛けて射出する。

 ダンケルハイトは龍躯を翻してアウラオーレから距離を取り――追い掛けてくるように追尾してきた光弾の群れに火炎ブレスを薙ぎ払い放ち、まとめて消滅させる。


 火炎ブレスを薙ぎ払ったその向こう側から、アウラオーレが黄金色の翼爪で貫かんと迫り――ダンケルハイトもまた黒曜の翼爪で迎え撃ち、


 何と何をぶつけたのか分からなくなるような、"甲高い重低音“が響き渡る。


『邪龍よ。貴様は何故、友とやらにこだわる。我らは龍。聖女のような例外は別として、人間とは相容れず、そして畏怖される存在。そこに情など萌芽するはずがない』


 互いの左右の翼爪が、激しく打ち合わされる。


『フン……解せんな、聖龍よ』


『なに?』


 一際強く翼爪が打ち、ギヂギヂギヂギヂと擦り鳴らし合い、力比べへともつれ込む。


『確かに人間は、同胞でありながら互いに傷付け、奪い合う、欲深き愚かな種。それは否定せぬ』


 しかし、とダンケルハイトは続けて。


『同時に、それに並ぶほどに深く強き絆を持つ種だ。現に彼奴らは諦めることなく互いを信じ、支え合うことで、我ら龍に抗ってみせた』


 それに。


『友と杯を酌み交わすと約束したのでな、悪いが貴様に討たれるわけにはいかんのだよ!』






 遥か夜空の上に、漆黒と白金が激しくぶつかり合い、時折、炎と稲妻が夜空を暴力的に塗り潰す。


「凄まじいな、ここからでは戦いの様子がよく見えんぞ」


 アンドリューさんにつられるように、俺も突き破られた天井からダンケルハイトとアウラオーレの戦いを見上げるが、ここからじゃ黒い点と白い点が、時々赤く光ったり黄色く光ったりするだけにしか見えない。


「これが、聖龍と邪龍の戦い……」


 フリーダも、両龍の戦いを見届けようと夜空を見上げるが、やはりよく見えないらしい。


「聖女伝説だと、聖龍と邪龍は七日七晩戦い続けてもなお決着が着かなかったとされていたけど。3000年経った今は、どうなるのかしら……」


 レウィシア第一皇女も、不安を感じながらも両龍の戦いの行く末を見届けるつもりらしい。


「リオさん。私達に、何か出来ることは無いでしょうか?」


 俺が引いている手をそっと握り返してくるアイリス。


「出来ることってなんだ?あんな、俺達じゃ文字通り手の出しようがない戦いを」


 飛び道具や魔術による援護?あんな高さまで届くわけないだろう。

 なら、祈りか?祈るだけでなんでもかんでも解決出来るのは聖女だけにしとけ。


 そもそも、寝相とくしゃみしてるだけのダンケルハイトでさえ、俺達じゃ何とか食い下がるのが精一杯だったんだ。

 今のダンケルハイトは完全に覚醒めているんだ、その力を十全に振るえるんだから、人間なんて虫ケラ同然だろう。


 しかしアイリスの言う通り、ダンケルハイトの力になれるものなら、そうしたいが……


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― 新着の感想 ―
オーブを介してダンケルハイトにささやかながらもパワーを送れないかなぁ? 私にはそれくらいしか想像できませんなぁ。 聖女伝説もそうでしたが、この戦いもきっとベラミスの剣が重要になりますよ(`・ω・´)…
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