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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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205/228

205話 久しぶりだな

「少なくとも、騒ぎを起こすわけにはいかないだろうね。下手に騒げば、聖女との対談どころじゃなくなります」


 まず最初にニーリンが口を開き、騒ぎを起こすようなことは避けるべきだと言う。この間、陽動のために帝都で騒ぎを起こしてみせただけあって、その言葉は重い。


「えっと、兵隊さま達がいっぱい来るからですか?」


 ニーリンの意見に、そうなるだろうと予想したことを口にするムイ。


「いいや、そうじゃない。『兵隊をおびき寄せて前面の防備を薄くし、その隙に後宮内部へ突入する』と言う手は悪くないでしょう」


 しかし、とニーリンは続けて。


「問題なのは、そうした場合、聖女がどこへ匿われるか分からなくなるのが問題です。有事の際にどこへ避難するか分かっていれば、むしろ推奨したい手ではあるんだがね……アイリスくん、ここの後宮で、有事の際の避難先のようなものはあるかな?」


 アイリスに水を向ける。


「いえ、私が知る限り、有事の際の避難先は特に無いはずです。もしかしたら、私が知らないだけで、そう言った抜け道のようなものがあるのかもしれませんが……」


 それ以前に、そんな抜け道が必要になるような事態に陥れば、この都は陥落したも同然だ、知っているとすれば、それはごく一部の限られた人間だけだろう。


「となると、聖女カナコさんと確実に出会すためには、『何も無ければその時間帯に必ずいる、特定の場所』、その時間にそこに辿り着ければ、カナコさんと出会えるはずだね」


 リーゼさんが、ほぼ答えを出しているも同然の事柄を述べる。


 その時間帯に、必ずそこにいる場所――聖女にとってそんな場所は、ひとつしかない。


「そっか、祈祷する場所!」


 シャルルも気付いたらしい。

 ゼリウスが言っていたことが真実であれば、聖女は決まった時間帯に祈祷を捧げ、天体を歪めて他の土地から豊穣を吸い上げているらしい (聖女本人が意図的にそうしているかはまだ不明だが)。


「確か、カナコさんは毎朝と毎晩、食事の前に女神像の間で祈祷を捧げていたはずです。そこの場所なら、分かります」


 聖女と交流していたことがあるアイリスが、聖女がいつどこで祈祷を捧げるかを思い出してくれる。


「それなら、狙うとすれば晩の方か。暗くなってからの方が、こっちも隠密行動を取りやすくなる」


 俺からも意見を添える。明るくなり始める頃合いにコソコソするよりは、暗い方がいい。

 すると、エトナが挙手した。


「その時間帯に、女神像の間に向かうと言うところまでは賛成です。ですが、どうやって誰にも見つからずにそこに辿り着くかが問題なのでは」


 それもそうだ。

 正面玄関とも言える正門からは無理だ。

 どこか、裏口辺りから進入しなければならないが、唯一後宮の内部を知るアイリスでも、さすがにそこまでは把握出来ていないと言う。


 ここが一番の難色か……


「ンー、例えバ、物資搬入業者のフリをシて、と言ウのはドウでしょう?」


 後宮の中に衣食住がある限り、必ず物資の搬入が行われるはずなので、その搬入業者に扮して中に入ればいいのではとシャオメイは言うが。


「それは難しいでしょう。帝国の方でも、物資搬入の際には厳しいチェックが入りますし、そもそも不穏分子の侵入を防ぐためにも、業者を後宮の中には入れず、物資を中へ運び込むのは後宮内で詰めている者が行います。王国はどうなのかは分かりませんが、あまりお勧め出来る作戦ではないかと」


 横からフリーダが意見する。

 それはそうだろうな、じゃないと『こうすれば後宮内部へ侵入出来る』と考える輩が現れないとも限らない。俺達みたいにな。


「ムズカシイ、ですネ……」


 シャオメイもうーんうーんと考えを捻ってくれる。

 しかし、どうしたものか。




 結局、今この場では打開策らしい打開策は挙がらないまま夕方になってしまった。


 宿屋食堂での夕食の後、俺は一人で王都をブラつくことにした。


 四ヶ月ぶりの王都を見て回りたいと言うのも理由のひとつだが、ルイン達と会えればいいな、と言うのもある。


 どの時間帯にどこで何をしているかは、日によって全く異なるため、狙って会うことは難しいが……今の時間帯なら酒場で夕食だろうか。


 まずは、冒険者ギルドの出張機関を兼ねた酒場に赴いて、ふらふらと中を見て回ってルイン達がいないかを捜すが、見つからない。


 次に、行き付けの鍛冶屋に行ってみるが、ここにもルイン達はおらず。


 ならば商業区で買い物かと思ってバザーを見て回るがやはり見つからず。


 既に今日の宿で休んでいるのか、それとも遠征に出ていて数日帰ってきていないのか。


 いずれにせよ今日はハズレだな、と思って居住区の方に戻ろうと足を向け直す。


 すると、




「あっ」


「あ?」




 最後に見たのは三ヶ月前だったか。


 ルイン、スコット、ヒルダの三人と、ばったり出会ってしまった。

 意図してなかった形の再会だが、とりあえずは挨拶だ。


「よう三人とも、久しぶりだな」


「お、おぅ、久しぶり……」


 ルインは何だか気まずそうだ。


「……ってかリオ、お前ここに帰ってたのかよ」


 スコットも気まずそうながら、俺に話しかけてくれる。


「依頼の関係で、王都まで来ることになってな。せっかくだし、古巣に挨拶でもと思って」


 帝国の第一皇女殿下と第二皇女殿下の護衛、とは言わない。三人なら勝手に言い触らしたりしないだろうが、一応は依頼に関することだから、あまり明かすことでもない。


「お久しぶりね、リオ」


「あぁ、ヒルダも変わりないようで何よりだ」


 ヒルダと社交辞令を交わしていると、横からルインが。


「あー、その、なんだ……積もる話もあるんだ、酒場に行かねぇか?」


「お、そりゃいいな」


 とは言え明日も明日で色々動くだろうし、飲み過ぎないように気を付けないとな。

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― 新着の感想 ―
ついに再会ですか。 よもや大戦(おおいくさ)か、な状況になってたりしましたが無事でよかったですねぇ。 さらにいえば徴兵とかされてなくてよかったですな……いやされてた? とにかく無事でよかったのぅ。
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