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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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131/150

131話 老獪なるアンドリュー

 シャルルと一悶着……一悶着?あった夜を過ごして。


 気まずかったのはあの時だけで、ココアとコーヒーを飲んで落ち着いた頃には、もうシャルルはいつも通りに戻っていた。そう見せているだけかもしれなかったが。


 夜明け前に真っ先に起きてきたシャオメイと一緒に朝食作りを手伝い、……怪盗ハートクイーンの容態は大丈夫だろうか。

 昨夜の内に傷から菌が入り込んだりしていたら、病気になっている可能性もあるが……ムイに様子を見てきてもらうと、特に苦しんでいる様子もなく、静かに眠っているとのこと。よかった。


 アンドリューさんを始め、他のみんなも起きてきたところで朝食、後片付けと撤収作業を済ませて再出発する頃合いになって、ふらふらと怪盗ハートクイーンが起きてきたので、まずは話しかける。


「ハートクイーン、動いて大丈夫なのか?」


「おはよう……お恥ずかしながら、お腹が空いて起きてしまったのです。言い値で払うから、食事はまだ残ってますかな?」


 腹が減って起きてきたのか、意外と元気そうだな。


「シャオメイがあんたの分を作っていたはずだ。ちょっと呼んでくる」


 シャオメイを呼んで、怪盗ハートクイーンの分の食事を持ってこさせる。


「今朝の残り物デよろしけれバ、どうぞ」


 軽く焼き直したパンとサラダ、温め直したスープと言う簡素なメニューだが、弱った身体にはこれくらいがいいだろう。


「残り物なんてとんでもない、……あ、代金は後で払わせてもらうよ」


「イエイエ、残り物でお金をモラうわけにハいきまセン。ユックリ召し上がってくだサイ」


「すまない、ありがたくいただきます」


 深々と頭を下げて、シャオメイから食事の乗ったトレーを受け取る怪盗ハートクイーン。


 とは言え、そろそろ再出発するので、元いた馬車に戻ってから食べることになる。




 再出発してから、馬車の手綱はリーゼに任せて (リーゼが後衛から抜けた穴はムイが代役として守りに就き)、アンドリューとエトナは食事を終えた怪盗ハートクイーンと対面していた。


「さて、お前さんの怪我の具合はどうだ?」


「昨日よりは幾分かマシだね、まだ安静にしなければならないでしょうけど」


 怪我の具合から訊ねるアンドリューに、怪盗ハートクイーンは正直に答える。


「なに、怪我が治るまではここにいていいさ。……とは言え、オレ達は今日の昼頃には帝都入りするんだ」


 そこでひとつ問題がある、とアンドリューは区切りをつけて、エトナがそれを引き継ぐ。


「失礼ですが、勝手ながらあなたのことを【鑑定】させていただきました。怪盗ハートクイーン……いいえ、エンペラル帝国貴族、ガーネット男爵家のご令嬢、ニーリンさんとお呼びしましょうか?」


「よしてくれたまえ、ワタシは怪盗ハートクイーン。……ニーリン・ガーネット男爵令嬢は、もうこの世にいないのです」


 この世にいない、と言うのは、便宜的な話に過ぎないのだろう。

 ではハートクイーンさんとお呼びします、とエトナは続けて。


「帝国から追われたあなたを連れたまま帝都に入ろうものなら、問題になるかと思われます。あなたがご自分のことを死んだ人間だと自称しようとも、周囲はそうはいかないでしょう」


「あぁ、それはそうだろうね。何せワタシは濡れ衣を着せられて御家を潰されたんだ、そんなワタシがキミ達と一緒にいるところを見られたら、問答無用でまとめて捕まってしまうでしょうねぇ。……それで?ワタシをどうするつもりかな?」


 怪盗ハートクイーンの声が、警戒に険を帯びるが、アンドリューはそれに気付いているのか、気付いていないのか、あっけらかんと答える。


「別にどうもせんよ。……と言いたいところなんだが。すまんが、お前さんにはしばらく積荷に紛れてもらう。窮屈で退屈だが、さっきお前さんが言ったように、"ニーリン男爵令嬢“が帝都にいるのはまずいだろうからな」


 それに、とアンドリューの好々爺のような笑みは鳴りを潜め、老獪な男としての目を見せる。


「ようするにお前さん、帝国のゼリウス伯爵に復讐がしたいんだろう?」


「黒幕がソレであれば、ねぇ。これまで何人も闇ギルドの連中から情報を吐かせましたが、ゼリウス伯爵の名前は挙がらないのですよ。確たる証拠さえあれば、それを突き付けて槍玉に挙げて断罪した後、秘密裏にワタシの手でぶち殺してやるのに」


 なんか所々やたらと物騒だったが、そこには触れずに。


「ワタシに復讐を諦めろと言いたいのであれば、それは嫌だ。しかしアナタの口振りから察するに、否定はしないと?」


「肯定もせんがな。怨み辛みも生きる原動力だ、それにオレの口から是非を問うのも、筋違いと言うものだろう」


 否定も肯定もしなければ、そもそもそんなことに口を挟むつもりもないと言い切るアンドリュー。

 しかし、


「オレ達もな、闇ギルドの連中には手を焼かされているし、況してや戦争なんて起こされたら商売上がったりなんだ。そこにお前さんがウチに転がり込んで来たのは、奇貨(つい)てると思ったのさ」


 なぁ怪盗ハートクイーン、と見据えて。




()()()()()()()()()()()()()()()?」

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― 新着の感想 ―
ちゃんと二重底でしょうねアンドリューさん(`・ω・´) それはそうと。 敵とは言えないが味方とも言えない微妙な距離感の時は、利用し合うくらいの気持ちで良いんですよね(´ー`*)ウンウン その方がお…
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