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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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125話 国境線

 フリーダさんを見送った日の翌日。

 物資の補充と、護衛役の冒険者 (ムイ含む)も十分に休めたので、いざ早朝から再出発だ。


 まずは半日かけて国境線を越境……と言いたいところだが、フリーダさんが言うには最近、国境線では王国兵ではないかと思われる山賊――官製山賊とも言うべき連中が散発的に小競り合いを起こして、王国と帝国との緊張感を煽っているらしい。

 官製だろうが本物の山賊だろうが、俺達の旅の邪魔するって言うんなら力尽くでねじ伏せて、国境線に詰めている兵隊に突き出すだけだが。


 現在の時間帯は日が昇って間もないので、ショーンさんは恐らくまだ夢の中だろう。

 一応、昨日の午後に挨拶はしているし、向こうも見送りに来ようなんて考えてないそうなので、このまま気持ちよく出発させてもらおう。


「忘れ物はないな?よし、それじゃぁ出発だ!」


 アンドリューさんの号令と共に、門番が外門を開けてくれる。親切な方々だ。




 この辺りは国境線が近いため、王国軍、帝国軍の両方が目を光らせていることもあって、魔物や野盜などの出没率は比較的低いらしい。尤も、大型の魔物などの出没が確認され次第、すぐに高階級の冒険者が派遣されてくるのだが。


 おかげで道中で武器を抜くことなく、無事に国境線――厳密には、国境線の詰所に到着した。


 ここで一旦昼食休憩……といきたいところなんだが、小競り合い――戦闘が発生する恐れが高いため、越境手続きを済ませて越境し、国境線からある程度離れた地点で昼食休憩にする予定だ。


 すると、


「そこの馬車、停まれ!」


 詰所に近付こうとすると、『一時停止せよ』を意味する赤い旗を振っている兵隊――帝国兵らしい兵隊が進路に割り込んできたので、アンドリューさんは馬車馬の足を止めさせる。


「えっ、なになに?あたしら、何もやらかしてないってのっ」


 いきなり兵隊に停まれと言われて、シャルルは慌てている。……シャルルのこれまでの経緯を考えても、彼女が慌てるのも仕方ないかもしれないが、慌てていたら怪しまれそうだし、とりあえず落ち着かせよう。


「シャルル、多分検問だ。大人しくギルドカードを見せとけばいい」


「う、うん」


 山賊被害のせいで、警戒を強めているのもあるんだろう。はた迷惑な話だ。

 

「なんだ、こんなところで検問か?」


 馬車を降りて、兵隊達と向き合うアンドリューさん。


「オレ達はただの商隊だが、用件はなんだ?」


 複数いる兵隊の内、二人がアンドリューに近付いて。


「失礼、ただいま国境線の治安維持強化のため、検問を行っております。身分証、冒険者の方はギルドカードの提示。それと行き先を教えてください」


「うむ、分かった。みんな、身分証を出してくれ!」


 アンドリューさんを先頭に、一人ずつ身分証やギルドカードを提示し、確認してもらう。


「あ、あのぅ……ムイは、カードとかそう言うの、持ってないのですが……」


 ムイは自分の身分証を持っていないので心配そうにしているのを見て、兵隊の目が彼女に向けられる。

 普通ならそこで「身分証を提示出来ない場合、通行出来ません」と止められるところなんだが、


「この娘の身分保証人は、どなたでしょうか?」


 ムイが子どもなのを見て、まだ自分の身分証を持てないのだと判断してくれたらしい。


「あぁすまんな、オレだ。こっちの娘は、これでな」


 そしてそこは我らのアンドリューさん、ムイの身分保証人として書類を提示する形で身分証明をしている。

 

 全員の身分確認が済んだところで。


「行き先はどちらへ?」


「帝都だ。王国領の港町メルキューレから船で行こうと思ったんだが、その時は港が封鎖されていてな。やむなく陸路を通ってきたんだ。砂漠に山道と、随分な回り道でなぁ」


「ははぁ、それはまた大変な路を……最近は国境線周辺で武装集団が散発的に小競り合いを繰り返し、治安が悪化しておりますので、お気を付けて」


「おぅ、あんたらもお務めご苦労さん」


 社交辞令を交わしたところで、「通ってよし!」と素早く道を空けてくれる兵隊達。武威を笠に着て横柄な態度を取るような連中じゃなく、至って真面目に検問と言う職務に忠実な人達でよかった。


 詰所で再度身分証 (とムイの身分保証書)を提示する二度手間にはなったが、真面目に仕事してる人をはっ倒して行くわけにもいかないので、そこはやむを得ないとしてきちんと正規の手続きを通す。


 越境手続きが完了し、ようやく越境だ。


 国境線を通過して、詰所から少し離れたところについて、シャルルは安堵に溜め息をついた。


「ふぃー、よかったぁ。指名手配とかされてて、顔が割れてたらどうしようかと思ったっての……」


「お疲れさん……大変だったな」


 後ろめたい過去があると言う自覚のあるシャルルとしては、冷や汗ものだっただろう。


「シャルルさん、それは大丈夫だよ」


 ふと横からリーゼさんが声をかけてきた。


「大丈夫って?」


 何が大丈夫なのかと言うと。


「もしシャルルさんが、以前のことで問われた時のために、履歴書を用意しておいたんだよ。その人とこの娘は関係ありませんよって。もちろん詐称だから安心してね」


 全然大丈夫じゃないし安心出来ねぇ!?


「そうなんですか?よかったぁ」


「いや落ち着け、全然良くないからな?」


 グレーラインどころか違法そのものだ。


「リオくん。世の中はね、無実を証明した者勝ちなんだよ。……無実の証明が真実とは限らないけど」


「うわぁ……」


 そんな話聞きたくなかったわ……ッ

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― 新着の感想 ―
まあ実際の事実より相手にとっての真実であると認定できる真実を提供したもん勝ちですよねそこは。 なんにしても無事に越えられましたが、これからの困難は乗り越えられるかどうか……。
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