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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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117/150

117話 旧国境線跡地

 地上と地下を行き来するために用意されたのだろう梯子を使って、地下へ降りていく俺とフリーダさん。

 分岐した溝の中を通り、トンネルの中へ。

 事前にショーンさんから用意するように言われた松明を点火して、灯りを確保しながら進む。


 落日草は暗所でしか自生しない関係から日光に弱く、日光に当たると途端に枯れてしまうほどらしい。

 なので、採取する際には日光を遮断する特殊な袋に入れて、なおかつ直射日光を避けて持ち運ばなくてはならない。

 採取には少々手間だが、それに見合う価値のある薬品になると言う。


「薬師殿は、若返りの魔法薬は作れずとも、"加齢による美貌の衰えによく効く薬“は作れると仰有っていましたが……リオ殿は、それがどういう薬なのか存じておりませんか?」


 ふとフリーダさんは、ショーンさんがどんな魔法薬を作ろうとしているのか知らないかと訊いてきたので、素直に分からないと答える。


「いや、分かりません。冒険者用の薬品ならそれなりに詳しいつもりですけど、美容とかに関するものは門外漢です」


 こう言う話ならリーゼさんか、もしくはアイリス辺りなら詳しそうなものなんだが。


「そうでしたか、失礼しました」


 フリーダさんも何を言うでもなく、頷き返して前方に向き直る。


 結構奥深くまで掘られたトンネルらしく、その途中にも落日草が無いかと目を凝らしつつ進んでいるが、なかなか見つからない。

 トンネルの中のどの辺りに生えているかまでは聞いていなかったが……


「……おっ、これか?」


 トンネル内の脇に身を潜めるように、それらしい植物が見つかった。

 他に自生しているのは雑草ぐらいで、これだけ大きく立派な草は他に無いので、恐らくこれのはずだ。エトナがいれば【鑑定】で一発で分かるんだが……


「よかった、すぐに見つかりましたね」


 フリーダさんも安堵している。

 早速、落日草らしいそれを二本ほど抜いたら、油紙に包み込み、ショーンさんから借りてきた黒い素材袋を広げて、袋に入れたらすぐに口を閉じて、さらにもうひとつ用意した別の素材袋に入れて、その上で俺の道具袋に入れる。

 落日草の持つ成分を逃がさないためには、これくらいしないといけないらしい、用意周到なことだ。

 ともあれ落日草は確保、暗くなる前にさっさと帰るとしよう。

 それに何だか最近、予想外なトラブルや突発的な事態に遭遇することも多いしな、そう言うのを避けるためにも、


 ――突然、地鳴りのような足音と震動が伝わった。


 ・・・なんか嫌な予感がするとは思ってたよちくしょう!?


「……敵っ?」


 フリーダさんがばっと背後へ振り返るのを見て、俺も振り返ると、

 

 ――やたらとバカでかいオークが俺達を睨んでいた。



 こいつは……『ギカントオーク』か。


 オークの親玉的な存在で、同種同士による縄張り争いで勝ち残った、特別大柄な個体のみがギカントオークとして認定される。

 推奨階級は黒鉄級以上、危険度で言えば、俺が前に銀級への昇格試験で戦ったジャイアントクラブと同格だ、そこまで危険な相手ではない、が……


「まずったな……さすがに大型の魔物と戦う準備はしてないぞ」


 商隊の護衛中であれば、大型の魔物と遭遇してもいい準備はしているが、今回みたいに『ちょっと行って帰ってくる』程度の依頼じゃ、薬品や道具も最低限のものしか持ってきていないし、松明片手に戦うわけにはいかない。


 それに……今ここにはフリーダさんもいる。

 万が一、帝国第二皇女殿下が怪我でもしたら、帝国騎士団から何て言われるか分かったもんじゃない。


 即断。


「フリーダさん、ここは俺が奴を引き付けます。あなたは先に外へ」


「リオ殿?」


「この狭いトンネル内じゃ戦いようがない。隙を見て、俺も逃げますから」


「しかし、」


 近付いてきたギカントオークが咆哮を上げながら巨大な石斧を振り上げてきたので、松明を振って注意を俺に向けさせ――次の瞬間には石斧が振り下ろされてきたので、飛び退いて躱す。


「俺なら大丈夫だ!早く逃げろ!」


 自分だけ先に逃げていいものかと渋るフリーダさんに、怒鳴るように逃げろと告げる。不敬ですいませんね、それどころじゃないんで。


「くっ……承知しました、外でお待ちしております!」


 そう言ってフリーダさんは駆け出し、ギカントオークの脇を通り抜けて、外へと向かう。

 よし、もう少しだけ時間を稼いだら俺もさっさとトンズラだ。


「ほら来いよオーク野郎、手前の縄張りを我が物顔で歩いている人間様だぞ、排除しなくていいのか?」


 松明を振って挑発。

 こいつに人間の言語を理解できたとは思えないが、バカにされていることは伝わったようで、ギカントオークは鼻息を荒くしながら石斧を振り回してくる。


 が、そこは俺の【タイム連打】。時を止めて石斧の軌道を確かめつつ、的確に回避、回避、回避。

 豪快に振り回される石斧はトンネルの壁に何度も叩き付けられ、下手すると崩落するんじゃないかと不安になるが、仮にも国境線として選ばれた土地だ、そこまで地盤が不安定では無いだろう。


 ……そろそろフリーダさんが外に出た頃だな、よし、俺も逃げるか。

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― 新着の感想 ―
これまたやべぇのが来ましたな。 これもまた環境の変化とかの影響なんですかね。 なんにせよトンだおつかいだぜ(ォィ
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