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タイム連打ってなんだよ(困惑)  作者: こすもすさんど


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110/151

110話 ハイリスクハイリターン

 異常発達ブルーベアと交戦してから、多少の時間が経ち、俺もアイリスもシャルルも、もう何度も攻撃を叩き込んだ。

 普通のブルーベアならもうとっくに討伐しているし、少々強い個体だったとしてもここまで時間がかかることはないだろう。


 しかし、グロァガゴァァァァァ!!と大層元気そうに吼えまくる異常発達ブルーベアは、時折怯んだり、もがき苦しむような仕草はするのだが、まるで弱る気配が見えない。


 肥大化した体躯に、毒々しい紫色、攻撃的かつ凶暴な性格、もがき苦しむような仕草……まるで、魔瘴液を服用して魔力が暴走したグリードと同じような、


「――アイシクルブレード!」


 すると突然、明後日の方向からリーゼさんの声が聞こえると同時に複数の氷の刃が飛来し、異常発達ブルーベアの前肢や胴体に突き刺さり、凍結させる。

 予想外の攻撃だったのか、氷の刃を突き立てられたブルーベアは驚いたように後退り、慌てて前肢を地面に叩き付けてアイシクルブレードを排除しようとするが、砕け折れはするものの肝心の突き刺さっている部分は既に血液ごと凍結、癒着を始めているらしく、むしろ下手に叩いたりしたせいで傷口が抉れている。


「リーゼさん、来てくれましたか!」


 遅れてきた援軍に、アイリスも安堵の表情を浮かべる。


「ごめんね、遅れた分は今から取り戻すから」


 そう言いつつすぐに次の魔術の詠唱を始めるリーゼさん。

 異常発達ブルーベアはリーゼさんを脅威と見て、彼女に襲い掛かろうとするが、そうはさせるか。


「おらこっち見ろォ!」


 左横合いからロングソードを腰溜めに構えて突進。

 体重を乗せた斬撃ではなく、体重に加えて突進の勢いも乗せた突進突き、ついでに最後の踏み込みは大きく重心を傾けた上でだ。

 全身ごとぶつけるように切っ先を突き込むのだ、斬撃のような『押して引く』と言う繊細な動作ではない、貫徹杭(パイルバンカー)を打ち込むが如く一点突破。

 刃先そのものは剛毛に滑らされるものの構わん、このままその剛毛の根本に突き込む!


 ズブッと言う血肉を貫いた音と感触が伝わった、これは効いただろ。

 グギャァァァッ、と悲鳴のような吼声を上げる異常発達ブルーベア。

 だがこれで仕留めたとは思えない、すぐに深々と突き刺さったロングソードを引き抜いて飛び下がろうとして、


「っ!?」


 まずいっ、骨かどこかに引っ掛けたのか、ロングソードが抜けない!?

 長々と懐にいる俺に、異常発達ブルーベアはギロリと睨み付け、俺を薙ぎ払おうと前肢を振り上げ


 ――【タイム連打】発動ッ!


 ピタリと周囲の全てが一時停止する……が、根本的な事態は解決できていない。


 今の俺の状態は、両手でロングソードの柄を掴んで、異常発達ブルーベアから引き抜こうと四苦八苦している瞬間。

 そして今の異常発達ブルーベアの状態は、取り付いている俺を薙ぎ払おうと前肢を振り上げている瞬間。


【タイム連打】を解除すると同時に、振り上げた前肢は振り下ろされるだろう。

 ……【タイム連打】の解除と同時にロングソードの柄から手を離して飛び退いて躱せるか?

 いや、今の俺はロングソードを引き抜こうと足腰を据えているのだ、その体勢から飛び抜くにはもう一歩踏み込む必要があり、しかしその"もう一歩“で異常発達ブルーベアの前肢の爪が俺の身体を斬り裂くかもしれない。


 飛び退いての回避は危険すぎる。


 屈んでやり過ごすか?

 いいやそれは飛び退くよりも危険だろう、下手したら首が跳ぶ。


 ならどうする、下がったら危険、屈んだらもっと危険……


 ――ひとつだけ、妙案があると言えばあるが、博打に変わりはない。


 しかも飛び退きや屈みよりもリスキーではあるが、上手く行けばこちらが有利になれる。

 だが同時に、失敗すれば即死も有り得る一撃をまともに喰らう可能性も一番高い。


 ・・・どうせ全部危険なら、一番リターンの大きい選択を取るべきだな!


【タイム連打】、解除――


 と同時に俺はロングソードの柄から手を離しつつ、地面を蹴り上げて――異常発達ブルーベアの左側頭部に飛び掛かった。


「リオさんっ!?」


「リオくん!?」


「リオ!?」


 一拍遅れて、異常発達ブルーベアの前肢が0.5秒前まで俺がいた地点を空振りし、


「うおぉっ、うりゃあぁッ!」


 必死に手を伸ばし、異常発達ブルーベアの頭部周りの剛毛を掴み、しがみつく。

 グゴロガァッ!?と異常発達ブルーベアは頭に纏わりつく俺を振りほどこうと上半身を暴れさせるが、こう言う時、丈夫な毛ってのは不便だよなぁ、何せ簡単に抜けないんだからな!

 しがみつきながらも、奴の後ろ首筋に回り込んで取り付き、剥ぎ取り用のナイフを抜き――


「くたばれやァ!!」


 力の限りで切っ先を首筋に突き立てる。

 肉が堅いせいで首を切り落とすには至らないが、急所深部へダメージを与えることは出来たようで、異常発達ブルーベアが悲鳴のような吼声を上げてのたうち回る。

 その拍子に俺も地面に叩き付けられ、振りほどかれてしまうが、あとは他三人の出番だ。


「ナイスプレーよリオくん、――ヘイルブリザード!」


「――フラッシュレイ!」


「――烈風閃!」


 リーゼさんとアイリスによる攻撃魔術が襲い、その後でシャルルの風属性付きチャクラムが追い討ちをかける。


 これが決め手になったようで、異常発達ブルーベアは短い断末魔を上げて、力なくその巨躯を横たわらせた。


 異常発達ブルーベア、討伐完了だ。

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― 新着の感想 ―
ギリッギリでしたなぁ(;゜Д゜) 考える暇を与えてくれるタイム連打がなきゃ詰んでたぜこりゃ。
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