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第15話 僕を迎えに来た聖女と女戦士と魔法使いが魔王城で襲われたので、【肩代わり】で守ったら泣きながら心配された! えっ、僕のこと嫌いじゃなかったの!? 魔王の娘まで心配してくれて、みんな優しいね!

「止まれ! 貴様ら、人間だな!」


魔王城の門の前で、大きな声が聞こえた。声を上げたのは、黒い鎧を着た魔族の兵士だった。頭には太い角が2本生えている。その前には、3人の女性が立っていた。

聖女シェファナ、女戦士ガドリカ、魔法使いポッケナだ。3人は何日もかけて魔王城までやって来た。目的は、たった1人の少年を迎えに行くことだった。


「わたくしたちは、争いに来たわけではありません。ルウセトという人間の少年を探しております。こちらのお城に来ていると聞いたのですが、ご存じありませんか?」


シェファナが丁寧に頭を下げた。長い白紫色の髪が肩から流れる。兵士はルウセトの名前を聞くと、目を丸くした。


「ルウセト殿の知り合いなのか?」

「……ルウセト殿?」


ポッケナは聞き返した。魔族の兵士が、人間であるルウセトを丁寧に呼んでいる。


「せや! うちら、ルウセトの仲間なんよ! あの子、ほんまにここにおるん!? 無事なんやろな!?」

「ああ。ルウセト殿なら城の中におられる。魔王様もずいぶん気に入っておられるぞ」


その言葉を聞いて、3人は顔を見合わせた。ルウセトが生きている。しかも、魔王に気に入られているらしい。


ポッケナは胸を押さえた。


「よかった。生きとったんやな……」


目から涙が落ちそうになる。ずっと探していた。魔法都市で手配書を見つけたときは、何か悪いことをされたのではないかと怖くなった。7人の子供の呪いを引き受けたと聞いたときは、体がどうなっているのか心配で眠れなかった。魔王軍の転移魔法を見つけたときには、もう会えないのではないかと思った。それでも、ルウセトは生きていた。


「お願いや。早く会わせてほしいねん。うち、あの子に会いたくて、ずっと探しとったんよ……!」


ポッケナは兵士に頭を下げた。そのときだった。


「何の騒ぎだ!」


城の中から、門番よりも大柄な魔族が現れた。黒い鎧を着た、背の高い男だ。頭の左右には太い角が伸びている。魔王城の門を守る門兵長、ヴォルガゼだった。


「ヴォルガゼ様! こちらの人間たちは、ルウセト殿の知り合いだそうで……」

「人間だと?」


ヴォルガゼは3人を見た。シェファナの白い服と、ガドリカの剣と盾、ポッケナの杖に目を向けると、顔をしかめた。


「聖女に戦士、魔法使いか。武装した人間が3人そろって魔王城に現れるとは、ずいぶん大胆なものだな。魔王様の命を狙って来たのか?」

「違いますわ。わたくしたちはルウセト様を迎えに来ただけです。魔王様と争うつもりはありません」


シェファナは落ち着いた声で答えた。しかし、ヴォルガゼは聞こうとしない。


「人間の言葉など信用できるか! 我ら魔族が、これまでどれだけ人間に殺されてきたと思っている!」


ガドリカの眉がつり上がった。


「おい、話を聞けよ。あたいらはルウセトを探しに来たんだ。そいつに会わせてくれりゃ、余計なことはしねえよ」

「黙れ! 人間の女が、この私に命令するな!」


ヴォルガゼは兵士たちに向けて手を上げた。


「こいつらを捕らえろ! 抵抗するなら魔法を使っても構わん!」


兵士たちが3人を取り囲む。ガドリカは盾を構えた。しかし、剣は抜かなかった。


「……くそっ。ルウセトが中にいるんだ。ここで騒ぎを起こすわけにはいかねえ」


ポッケナも杖を握りしめた。魔法を使えば、兵士たちを倒せるかもしれない。だが、そんなことをすれば、ルウセトまで敵だと思われてしまう。それだけは嫌だった。


「なあ、頼むわ! うちら、ほんまにルウセトを迎えに来ただけなんよ! あの子に聞いてくれたら分かるから!」


ポッケナは必死に訴えた。しかし、ヴォルガゼは首を振る。


「その名前を使えば城に入れると思ったか! 甘いわ!」


ポッケナは唇を噛んだ。城の中にルウセトがいる。もう少しで会えるのに。ようやく、あの子を抱きしめられるのに。ここで捕まるわけにはいかなかった。


「ルウセト! うちや、ポッケナや! お願いやから返事して! うちら、あんたを迎えに来たんよ!」


ポッケナは城に向かって叫んだ。


「黙らせろ!」


ヴォルガゼが怒鳴った。兵士の1人が杖を構え、3人を動けなくする魔法を使おうとした。しかし、兵士は慌てていた。魔力を込めすぎてしまったのだ。杖の先から、黒い光が飛び出した。


「なっ!? おい、魔力を込めすぎだ!」


ヴォルガゼが叫んだ。黒い光は大きな槍の形になり、3人に向かって飛んでいく。ガドリカが盾を前に出した。


「ポッケナ! シェファナ! あたいの後ろに下がれ!」


しかし、黒い槍は3人をまとめて襲うほど大きく、盾1つでは防ぎきれない。シェファナは治療魔法の準備をした。ポッケナも杖を構えた。そのとき、城の中から明るい声が聞こえた。


「ええっ!? ポッケナ!? みんな来てくれたの!?」


3人が振り返る。そこには、荷物袋を背負った茶色い髪の少年が立っていた。緑色の目を大きく開け、嬉しそうに笑っている。ルウセトだった。


「ルウセト!」


ポッケナの声が響いた。ずっと探していた、大好きな少年が目の前にいる。しかし、黒い魔法が3人に迫っていて、喜ぶ暇はなかった。


「あっ、危ない!」


ルウセトはすぐに手を伸ばした。


「【肩代わり】!」


黒い槍は3人に当たる前に消え、ルウセトの体に大きな衝撃が走った。


ドォォン!


大きな音が響いた。地面の砂が舞い上がる。3人は無傷だった。ルウセトが攻撃を引き受けたからだ。


「……え?」


ポッケナは目を見開いた。何が起きたのか、すぐに分かった。


ルウセトが【肩代わり】を使ったのだ。

ルウセトが、仲間の傷を自分の体に引き受ける能力だ。何度も見てきた。彼は仲間を守るたびに血を流していた。腕を切られても、骨が折れても、大丈夫だと笑っていた。その姿が頭に浮かぶ。


「……ルウセト?」


ポッケナの声が震えた。煙の中から、少年の姿が見えた。


「ふう! 間に合ってよかった!」


ルウセトは元気そうだった。服も破れておらず、新しい傷も見当たらない。しかし、ポッケナには体を確かめる余裕もなかった。


「ルウセトぉっ!」


杖を落とし、走り出した。そのままルウセトに飛びつく。


「うわっ! ポッケナ!?」


小さな体で、ルウセトにしがみついた。


「なんでや……! なんで、またうちらの代わりに攻撃を受けたんよ! うち、あんたが無事でおってくれたら、それでよかったのに……!」


ポッケナは泣いていた。ルウセトの服を握る手が震えている。ようやく会えたのに。もう2度と傷つけたくなかったのに。また自分を守らせてしまった。


「大丈夫だよ、ポッケナ! ほら、どこも痛くないよ!」


ルウセトは笑った。しかし、ポッケナは首を振る。


「そんなん、昔も言うとったやんか! あんた、どんだけケガしてても大丈夫って笑うから、うち、もう何を信じたらええか分からへんのよ……!」


ポッケナは顔を上げた。紫色の目は涙でぬれ、目元が赤くなっていた。


「あんたがおらんようになってから、うち、ずっと怖かったんや。もう会えへんかもしれんって思ったら、夜も眠れへんかった。やっと会えたんやから、もうどこにも行かんといて……!」


ルウセトは驚いた。ポッケナが、こんなに自分を心配してくれていたなんて。


「ありがとう、ポッケナ! 僕もまた会えて嬉しいよ!」


ルウセトは彼女の背中を優しくなでた。ポッケナは、その手の温かさを感じながら、さらに強く抱きついた。


「……もうちょっと、このままおらせてな」

「うん! いいよ!」


ポッケナはルウセトの胸に顔を押しつけた。今は、誰にも離されたくなかった。


「おい、そこの魔族!」


ガドリカの大きな声が響いた。ヴォルガゼが振り返る。ガドリカは盾を構え、ルウセトとポッケナの前に立っていた。日に焼けた顔には、怒りが浮かんでいる。


「てめえ、今、何をしたか分かってんのか?」

「人間どもを捕らえようとしただけだ!」

「そのせいで、ルウセトが攻撃を受けたんだろうが!」


ガドリカは剣の柄に手を伸ばした。しかし、抜かなかった。背後には、ルウセトがいる。昔、自分が傷つけてしまった少年だ。今度こそ守ると決めた。そのために、ここまで来た。


「……あたいは、もう2度とこいつを傷つけさせねえ」


ガドリカは盾を強く握った。


「人間が気に入らねえってんなら、あたいと話せ。だが、ルウセトに攻撃を向けるのは許さねえ。こいつは、あたいらを守るために何度も傷ついてきたんだ。今度は、あたいが守る番なんだよ!」


ヴォルガゼは顔をしかめた。しかし、ガドリカは動かなかった。何があっても、ルウセトの前から退くつもりはなかった。その背中を見て、ルウセトは目を輝かせた。


「ガドリカ、ありがとう! 僕を守ってくれるんだね!」


ガドリカの肩が動いた。後ろから懐かしい声が聞こえた。ルウセトは、ガドリカが自分を守ろうとしてくれたことを喜んでいた。


「ああ……。そうだよ。あたいが守ってやる」


ガドリカは振り返った。ルウセトの顔が見えた。昔と変わらない笑顔だった。


「……会いたかったぜ、ルウセト」


ガドリカはしゃがみ込み、ルウセトに手を伸ばした。しかし、途中で止まった。昔、この手でルウセトを何度も殴ってしまった。訓練だからと、痛い思いをさせてしまった。


「……あたいが、お前に触ってもいいのか?」


ルウセトは首をかしげた。


「えっ? どうして?」


ガドリカは答えられなかった。すると、ルウセトが自分から手を伸ばしてきた。ガドリカの大きな手を、小さな両手で握る。


「僕、ガドリカとまた会えて嬉しいよ! 元気そうでよかった!」


ガドリカは目を見開いた。ルウセトは、自分を怖がっていない。それどころか、再会を心から喜んでくれている。


「……あたいもだよ」


ガドリカはルウセトを抱きしめた。大きな腕で包み込む。しかし、すぐに力を緩めた。


「……痛くねえか?」

「うん! 全然痛くないよ!」

「ああ……。よかった……」


ガドリカはルウセトの肩に顔を押しつけた。ルウセトは、いつも自分を守ってくれた少年だった。今度は、自分が守ってやりたかった。


「ルウセト様。お願いですから、お体を診せてくださいませ」


シェファナが近づいてきた。白紫色の長い髪を揺らし、ルウセトの前にしゃがむ。銀色の目には涙が浮かんでいた。


「シェファナ! 久しぶりだね! 僕、すっごく元気だよ!」

「はい。お元気そうで、何よりですわ。ですが、先ほどの魔法を引き受けられたのでしょう? どうか、わたくしに確かめさせてくださいませ」


ルウセトは笑ってうなずいた。


「うん! いいよ!」


シェファナは彼の腕を取った。治療魔法を使い、体の状態を調べる。新しい傷は見つからなかった。骨も折れていない。毒も呪いもなかった。シェファナは大きく息を吐いた。


「……本当に、ご無事だったのですね」


しかし、ルウセトの腕には、古い傷がいくつも残っていた。シェファナは、その傷を指でなぞった。昔、自分が治療を後回しにしてしまった傷もある。ルウセトは、何度も自分を守ってくれた。それなのに、自分は彼を十分に治してあげられなかった。


シェファナはルウセトの手を両手で包んだ。その手は震えていた。


「ルウセト様。これからは、どんな小さなケガでも、わたくしに診せてくださいませ。大丈夫とおっしゃっても、きちんと確かめます。もう2度と、苦しい思いをさせたくありません。わたくしは、あなた様が大切なのです。どうか、ご自分のお体も大切になさってくださいませ」


ルウセトは嬉しそうに笑った。


「ありがとう、シェファナ! やっぱり優しいね!」


シェファナの目から涙が落ちた。こんな自分に、優しいと言ってくれる。何度も彼を傷つけてしまったのに。それでも、ルウセトは笑ってくれている。


「……ありがとうございます。ルウセト様」


シェファナは彼の手を握ったまま、頭を下げた。


「ちょっと! 何の騒ぎなの!?」


城の中から、女の子の声が聞こえた。青い髪をした少女が走ってくる。金色の目を大きく開き、ルウセトを見つけると、すぐに駆け寄った。魔王の娘、ジルネカだった。


「ルウセト! 大丈夫!? 門で攻撃魔法が使われたって聞いたんだけど、君はケガしてないよね!?」

「うん! 大丈夫だよ、ジルネカ!」


ジルネカはルウセトの腕をつかんだ。古い傷を見て、顔をしかめる。


「……本当に、新しいケガはないんだね?」

「うん! シェファナも診てくれたよ!」


ジルネカはようやく息を吐いた。しかし、ヴォルガゼから事情を聞くと、すぐに怒り出した。


「ヴォルガゼ! どうして勝手に攻撃したの!? ルウセトはボクが連れてきた大切な人なんだよ! お父様だって認めてくれたのに!」


ヴォルガゼは青ざめた。


「ジ、ジルネカ様! 私は人間の刺客を捕らえようとしただけで……!」

ジルネカは怒っていた。いつもの明るい笑顔はない。


「刺客かどうか、ちゃんと調べたの!? ルウセトの知り合いだって言ってたんでしょ!? それなのに、どうして話も聞かずに魔法を使わせたの! ルウセトがケガしてたら、どうするつもりだったの!? ボク、この子をもう2度と傷つけたくないんだよ!」


ポッケナは、その言葉を聞いて顔を上げた。ジルネカを見る。ルウセトの腕を握っている。しかも、とても親しそうだった。


「……あんた、誰なん?」


ジルネカは振り返った。


「ボクはジルネカ! 魔王の娘だよ!」

「……魔王の娘?」


ポッケナの目が大きくなった。ガドリカもシェファナも驚いた。その様子を見て、ルウセトが笑う。


「そうだよ! ジルネカは僕にお仕事を紹介してくれたんだよ! 魔王さんも優しいし、ここってすごくいいところなんだ!」


ポッケナはルウセトを見た。魔王城で、楽しく働いている。魔王の娘とも仲良くしている。自分たちが心配していたようなことは起きていなかった。


安心した。しかし、少しだけ胸が苦しくなった。自分が必死に探している間に、ルウセトのそばには別の女の子がいたのだ。しかも、その子はルウセトを大切な人と呼んでいる。ポッケナはルウセトの服をつかみ直した。


「ルウセト。うち、もう離れへんからな」


「うん? いいよ!」


ジルネカは、その様子を見て頬を膨らませた。しかし、ルウセトが嬉しそうに笑っているので、何も言えなかった。

一方、ヴォルガゼはジルネカに頭を下げていた。


「も、申し訳ございません! 私の判断が間違っておりました!」

「今回のことは、お父様に報告するからね! ちゃんと調べるまで、門兵長の仕事はほかの人に任せるよ!」

「そ、そんな……!」


ヴォルガゼは膝をついた。兵士たちも頭を下げている。そのとき、ルウセトが近づいた。


「ねえ、ジルネカ。あの兵士さんたちは大丈夫?」


ジルネカは驚く。


「えっ? ルウセト、君を攻撃した人たちなんだよ?」

「うん! でも、さっきの魔法はすごかったからね! 魔力をいっぱい使って、疲れてないかなって! みんな無事ならよかった!」


ルウセトは笑った。


ヴォルガゼは顔を上げた。自分が攻撃した人間の少年が、自分たちを心配している。何も言えなかった。ジルネカもルウセトを見つめた。やっぱり、この子は優しい。自分を攻撃した相手まで心配してしまう。だからこそ、守ってあげたかった。





騒ぎが落ち着いたあと、ルウセトは3人と話していた。ポッケナは彼の隣に立ち、服をつかんでいた。ガドリカはすぐ後ろに立ち、シェファナはルウセトの手を握っていた。3人とも、なかなか離れようとしなかった。


ルウセトは楽しそうに笑った。


「いやあ、みんなとまた会えて嬉しいなあ! でも、ちょっと不思議なんだよね。3人とも、僕のこと嫌いだったんじゃないの?」


3人の動きが止まった。


「……は?」


ガドリカが聞き返す。


「だって、ヴェズドが教えてくれたんだ。シェファナもガドリカもポッケナも、僕のことが嫌いだから、もう会いたくないって! だから、また会えるとは思ってなかったんだ! でも、みんなが元気でよかった! 会いに来てくれて、本当に嬉しいよ!」


ポッケナは目を見開いた。ガドリカは唇を噛んだ。シェファナの顔から血の気が引いた。3人とも、ルウセトが自分たちに嫌われたと思っていたことを知った。


ポッケナは首を振り、ルウセトの腕にしがみついた。目から涙が落ちた。


「違うんよ、ルウセト! うちは、あんたのこと嫌いやなんて1回も思ったことあらへん! ずっと一緒におりたかったんや! あんたと魔法の研究をするんも、新しい魔法を覚えるたびにすごいって褒めてもらえるんも、ほんまに嬉しかった。あんたがおらんようになってから、何をしてても楽しくなかったんよ。うちは、あんたのことが大好きなんや……!」


ルウセトは驚いた。


「ええっ!? そうだったの!?」


ガドリカも前に出て、ルウセトの手を握った。


「あたいだって、お前が嫌いだったことなんかねえよ。お前と一緒に飯を食うのも、話をするのも、全部楽しかったんだ。お前がいなくなってから、飯を食ってても全然うまく感じねえんだよ。また一緒に飯を食いてえし、お前が笑ってるところをすぐそばで見てえ。あたいは、お前のことが大好きなんだよ……!」


シェファナもルウセトの前にしゃがみ、彼の手を両手で包んだ。


「わたくしも、ルウセト様を嫌ったことなどございません。ルウセト様と一緒に過ごした時間は、わたくしにとって何より大切なものでした。いつもわたくしを守ってくださり、どれほど苦しくても笑ってくださったあなたを、ずっとお慕いしておりました。どうか信じてくださいませ。わたくしは、ルウセト様を心から愛しております」


3人はルウセトを見つめた。ずっと伝えたかった気持ちだった。会えなくなってから、何度も考えた。もう1度会えたら、何を言おう。どうすれば、自分たちの愛情を分かってもらえるだろう。それを、ようやく伝えられたのだ。


ルウセトは目を丸くしたあと、満面の笑みを浮かべた。


「ええっ!? じゃあ、3人とも僕のこと嫌いじゃなかったの!? やったあ! 僕もみんなと一緒にいるの、すっごく楽しかったんだ! また仲良くできるんだね!」


ポッケナは泣きながら笑った。ガドリカも目を赤くしていた。シェファナは涙を拭いながら、何度もうなずいた。ルウセトは3人とまた一緒にいられると知り、本当に嬉しそうだった。


「……なあ、ルウセト」


ポッケナが彼の服を握った。


「うち、もうあんたと離れたないねん。ここでお仕事するんやったら、うちも一緒におりたい。魔法の研究より、今はあんたのそばにおる方が大事なんよ」


ガドリカもうなずいた。


「あたいもだ。お前がここで働きてえなら、無理に連れ帰ったりしねえ。でも、今度こそそばにいさせてくれ。もう2度と、お前を1人にしたくねえんだ」


シェファナも手を握りしめた。


「わたくしも、ルウセト様のおそばにいたいのです。これからは、あなた様が幸せに暮らせるよう、できる限りのことをさせてくださいませ」


ルウセトは嬉しそうに立ち上がった。


「本当!? みんな一緒にいてくれるの!? 僕、すっごく嬉しいよ! またみんなでご飯を食べたり、お仕事したりできるんだね!」


3人は笑った。ルウセトがこんなに喜んでくれるなら、もう何も迷うことはなかった。その様子を見ていたジルネカは、少し寂しそうな顔をした。ルウセトには、こんなに大切な人たちがいたのだ。3人とも、彼を心から愛している。自分が入る場所なんて、ないのかもしれない。ジルネカはそっと後ろへ下がろうとした。


しかし、ルウセトが振り返った。


「ジルネカも、これからみんなで仲良くしようね! 僕、友達がいっぱい増えて嬉しいなあ!」


ジルネカは目を見開いた。ルウセトは笑っている。自分も一緒にいていいと言ってくれている。


「うん! ボクも、ルウセトと一緒にいたい!」


ジルネカは笑顔になり、ルウセトの手を握った。


すると、ポッケナが反対側の腕にしがみついた。


「うちも離れへんからな!」


ガドリカはルウセトの後ろに立ち、シェファナは彼の体調を気にかけている。4人に囲まれたルウセトは、嬉しそうに笑った。


「いやあ、今日は本当にいい日だね! みんなとまた会えて、僕、すっごく幸せだよ!」


ポッケナはルウセトの腕に頬を寄せ、ジルネカは彼の手を握ったまま笑った。ガドリカは2人がルウセトを引っ張り合わないよう見守り、シェファナはルウセトの顔をのぞき込んで、疲れていないか確かめていた。

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