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第47話 クレア襲撃(上)

「今日も無事に一日が終わりましたー」


 今日も今日とて水龍さまとの楽しいおしゃべりを終えたわたしは、部屋に戻る前に少しだけ庭園を散歩することにした。


 この前ライオネルと散策した、野菜も植えてあるあの王宮庭園だ。


「ブーゲンビリアを見にいこうっと」


 ブーゲンジニアにブーゲンバリアetc...

 わたしは数多(あまた)の失敗を乗り越えて、ついにその花の名前を覚えることに成功したのだ!


 やればできるクレアちゃんなのだった、えっへん。


 わたしは夕暮れの庭園を一人でゆっくりと見て回る。


「あ、この花は初めてだ……なんていう名前なのかな? 今度ライオネルに聞いてみよっと」


 わたしがゆったり散歩をしていると突然、近くの茂みがカサっと小さく揺れて、一人の男があらわれた。


 もうすっかり見慣れたブリスタニア王宮で働く人の制服を着ている。


 初めて見る顔だけど、最近雇われた人なのかな?


「こんにちは」


 わたしは笑顔であいさつをした。

 すると、


「聖女クレアだな?」


 男はわたしの顔を確認するように、じろじろ見ながらそんなことを言ってきたのだ。


 あれ、意外とわたしの顔って皆さんに知られてないのかな?

 ブリスタニアに来てからは、聖女さまだのライオネルの婚約者だの、もてはやされてたからちょっと不思議な感覚だ。


 懐かしい感覚っていうか?


「え、あ。はい、そうですけど――」


 わたしが最後まで答えるよりも先に男が動いた。


 既にその手にはいつの間にか抜かれていたナイフが握られていて、男はまるで氷の上でも滑っているかのように、スッと音もなくわたしに近づいてきたのだ!


「ふぇ? あの、ちょっと、えっと――」


 これってもしかして不審者!?

 突然の展開に心の準備なんて当然できてないわたしは、あたふたしながら棒立ちになってしまう。


 そんなわたしの目の前で、男は表情を変えずに言った。


「聖女クレア。お前には今すぐシェンロン王国に来てもらう」


「シェンロン王国に?」


「拒んだ場合は殺す。叫んでも殺す。だが素直についてくれば身の安全は約束しよう」


「そ、そんなこと、急に言われても――」


「時間がない、10秒やろう。今ここで生きるか死ぬか、好きなほうを選べ。10,9,8,7――」


 ふぇぇぇぇっ!?


 10秒で決めろって、そんなこと言われても!?


 っていうか死んだら終わりだもんね?

 ということは素直についていくのが正解なんだけど。


 でもでもこんな不審者が、本当にわたしの身の安全を保障してくれるかなんて分からないよね?

 もしかしたら人身売買で、言葉の通じないような遠い異国の地で売られちゃうのかもしれないよ!?


 えっと、えっと、わたしどうしたらいいの!?


 わたしマジの大ピンチ!!


 そんな風にわたしがあれこれ悩んでいる間にも、不審者のカウントダウンは続いていって――。


「6,5,4,3,2,1――さあ選べ」


 仕方ない。

 ここはとりあえずついていって、それから考えよう。


 なんとかして上手いこと隙を見て逃げ出すか、助けを呼ぶんだ。


「わ、分かりました――」


 わたしがそう言いかけた時だった、


「そこまでだ! 狼藉(ろうぜき)者め! クレアから離れろ!」


 よく通る声とともに真紅の薔薇が一輪、矢のように飛んでくると、不審者の顔にバシッと見事に命中したのは――!


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