第22話 パレード
水龍さまの神通力の暴走を見事に止めたわたし達は、ミッションを終えて下山した。
その王宮への帰り道で――、
「『水龍の巫女』クレア様だ!」
「『虹の聖女』様だ!」
「ありがとう! 『太陽の巫女』クレア!」
「『救国の聖女』クレア様!」
「なんて素敵なお方なのかしら!」
「隣にはライオネル様も一緒よ!」
「とてもお似合いの2人ね!」
「クレア様バンザーイ!」
「クレア! クレア! クレア! クレア!」
澄み渡る青空と明るい太陽の日差しに照らされたブリスタニア王国の首都ブリストは、お祭り騒ぎになっていた。
わたしとライオネルを乗せた、荷台が高くて周りから見えやすいようになったパレード用の屋根なし馬車が、ゆっくりと大通りを進んでいく。
「あの、これはいったい……?」
わたしはぎっしりと大通りを埋め尽くした人々に手を振り返しながら、隣にいるライオネルに小さな声で質問した。
すると、
「疲れているところすまない。でももう少しだけ頑張ってくれないかな?」
ライオネルが笑顔で人々に手を振りながら、そんなことを言ってきた。
「手を振るのは全然いいんですけど……そもそもいったいなんなんでしょうか、このお祭り騒ぎは……?」
わたしはただひたすらに困惑しきりだった。
「昨日の夜言っただろう? ブリスタニア王国はクレアのことを正当に評価するって」
「あ、はい。言われました」
「だから君の功績を広めるための準備をこうやってしておいたのさ」
「ライオネルの気持ちはとても嬉しいんですけど――」
でもでも!?
これはさすがにやりすぎじゃない!?
「『救国の聖女』クレア様に敬礼っ!」
礼服に身を包んだ軍人たちの一団の前を通ると、一斉に一糸乱れぬ最敬礼が行われてびっくりさせられて。
「3,2,1、紙吹雪、降らせー!」
大きな商店の前を通るたびに屋上から紙吹雪が、ブワワッて振りまかれるんだよ!?
こ、これは後で片づけるのが大変そうだね……。
なんだかまるで女王さまにでもなったみたいだった。
それだけみんな喜んでくれてるってことなんだろうけど。
「ううっ、わたしは庶民だからこんなにチヤホヤされちゃうと、背中がむずむずしてきちゃいます……」
ニッコリ笑顔で余裕しゃくしゃくって感じのライオネルの隣で、わたしは相変わらずの小市民っぷりを発揮していた。
「それだけブリスタニアの国民は、太陽が顔を出すのを待ち望んでいたってことさ」
そんなわたしを見てライオネルが優しく笑いかけてくる。
「だって『虹の聖女』とか『太陽の巫女』とか『救国の聖女』とかものすごいこと言われてるんですけど……みなさん、いったいどこから情報を?」
「なに、先に山を下りた連絡係がありのままを伝えた結果さ。クレアの言うとおりにしたらすぐに太陽が顔を出し、虹が出て、そしてブリスタニアは救われた。全てただの事実だろう?」
「ですが……」
「ねぇクレア。クレアは今までもずっとこんなすごいことをしてきたんだ。だからもっと自信を持っていいんだよ」
ライオネルがわたしを見て優しく告げた。
「ライオネル……ありがとうございます」
わたしのためにこんなにも色んなことをしてくれて……。
ここに来れて、ブリスタニアに来れてわたしほんとに良かった……。
「でもクレアの偉ぶらない控えめな性格も、それはそれですごく魅力的だと思うけどね」
ライオネルはそう言って小さくウインクをすると、再び沿道の人々に視線を戻した。
ステキな笑顔を振りまきながら、右に左にと精力的に人々に手を振り返している。
その後も。
王宮に入るギリギリまで沿道は人々でいっぱいになっていて。
わたしは龍に仕える巫女として初めて報われたと心の底から感じたのだった。
「ありがとうライオネル」
そっとつぶやいたわたしは、胸の中がライオネルの優しさでいっぱいになっていくのを感じていた――。
ブクマと評価が伸びません(´;ω;`)ぴえん




