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一目五先生の反撃!②

「ほら、口についてるよ」


飛頭蛮の口元についていたクリームを指で拭い取ってパクリ。すると、飛頭蛮は珍しく顔を赤くして狼狽えていた。しかも声が裏返ってる。


「い、一目五先生?」

「反応が初心だね〜」


悪戯っ子のように笑いかけると飛頭蛮は困ったような照れているような可愛い顔で僕を見て笑っていた。それに、飛頭蛮の後ろに座る男から負のオーラが見えるのは気のせいかな?あと、その男の目の前に座っている赤髪のチャラそうなスーツ姿の男はさっきから僕たちや目の前にいる男を見てニヤニヤと笑っている。


「やっぱりね」

「どうしたの?」

「ううん、何も」

「隠し事しないでよ」


頬を膨らませる飛頭蛮も可愛いなと思いつつ今、僕の心情は少しだけもやもやしている。なんだろう、友達の恋は応援したいけど、それを邪魔してやろうと意気込む自分がいる。あぁ、友達失格だね。


「いや、飛頭蛮が好きになった彼に対して少し嫉妬してるかも」

「と、突然何を!」

「だって、こんな可愛くて素敵な子に好かれたんだよ?その彼が羨ましいよ」


飛頭蛮の後ろの席に座るスーツ姿の男の肩が揺れる。ははっ!分かり易い。


「僕は飛頭蛮のことが好き、大好きだよ」

「〜っ!」

「でも、大丈夫。僕は飛頭蛮の友達(・・)だから」

「えーとそれは」

「友達としてだよ?だから、そんな気を張らないでね」


王道乙女漫画ならきっとここは好きな人がその好きな人と例え両想いでも、割って入って自分のことを好きにさせるんだろうけど、僕は違う。意気地なしとかじゃなくてここはただ純粋に。


「 飛頭蛮、顔真っ赤」

「だって、そんな台詞を聞いたら誰でも赤くなるよ」


友達失格にはなりたくない。それに、友人がせっかくの両想いなんだよ。これを邪魔する方が血も涙もない鬼だ、そんな鬼に僕はなりたくない。でも、今だけは僕のことで頭をいっぱいにさせたかったかな。


「これからも、よろしくね」

当然(もちろん)!」


ついでに言うと、僕はさっき敢えて、友達と言う単語を強調して、飛頭蛮じゃなくて後ろにいる男に向けて話した。すると、その男の目の前に座っていた赤髪のチャラ男が僕の視線に気づく。


「飛頭蛮の後ろに座っているのは会社のお知り合いかな?それとも彼氏とか」


その言葉に反応した飛頭蛮は勢い良く後ろを振り返って。


「岸涯小僧先輩!それに火前坊先輩!」


ビンゴ。うわー、確かに岸涯小僧はイケメンの部類に入るね。それと、もう一人の名前は火前坊なんだ。


「がっきーがどうしても、気になるって言うから仕方なくついて来たんだ。ストーカーみたいだよね〜。これじゃぁ、メリーちゃんを追いかけていたあずっきーと同じだよ」

「本当ですね。私、何も岸涯小僧先輩に言っていないのによく分かりましたね」

「それは、お前がメリーに今日のことについて話していただろ」

「盗み聞きですか〜。サイテー」


男って言うのはそう言うことに対して気になるもんだよ。


「じゃぁ、やっぱり飛頭蛮は僕がもらおうかな」

「ふわっ!一目五先生⁉︎」

「おいっ」

「おおっ!修羅場かな?わくわく」

「火前坊先輩、煽るのはやめて下さい」

「まぁ皆さん落ち着いて、冗談ですよ」


岸涯小僧を弄ってみたら面白かった。

と言うか、飛頭蛮の話を聞いていたりする辺り、それだけ彼女、飛頭蛮のことを大事に見ている証拠だよね。そんな、彼に僕は頭を下げた。


「飛頭蛮をよろしくお願いします」


顔をあげれば目を見開いた3人と目が合う。


「もちろんだ」

「もし、飛頭蛮を泣かせたらあなたの匂いを嗅いで重い病で寝込ませますからね」

「そんなので、泣かせねーよ」

「そうだよね〜だってがっきーは別の意味でなか…グホッ」


痛そう。でも、飛頭蛮はこんな明るくして楽しい輪の中で働いているんだよね。日本に来て良かったよね。だからそこ、お幸せに。


「飛頭蛮、ちゃんと幸せ者になるんだよ」

「一目五先生、ありがとう」


僕は少しでもこんな素敵で魅力的な飛頭蛮を好きになれて幸せ者だよ。でも、これからは…いや、これからも友人としてよろしくね。

本文に出て来た“当然”は

『とうぜん』と読まず

中国語で ダンラン と言うそうです。


『当然』

発音:dang ran

ダンラン


ネットで調べました。


次でラスト!


鬼さんの観察日記11


明日、投稿します

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