一目五先生と岸涯小僧先輩
日曜日から月曜日に掛けて5話
連続投稿しました。
今回のお話は飛頭蛮視点ですよ〜
私が会社のデスクで友人の一目五先生宛に手紙を書いていると、お茶を配りに来たメリー先輩から声を掛けられました。
「飛頭蛮ちゃん、その手紙、誰に書いてるの?」
「今は仕事中だぞ〜」
「岸涯小僧先輩、うるさいです!」
途中で岸涯小僧先輩から余計な口出しがありましたが、それを跳ね返してメリー先輩の質問に答えます。
「中国にいる私の友達に手紙を書いていました」
「どんな子?」
「一目五先生と言って、私と同じ日本のアニメ文化好きの妖怪です」
「へぇー。仲良いのね」
「はい、私が日本に来てからちょくちょく手紙でやり取りをしているんですよ」
そう言って、私はメリー先輩が淹れてくれたお茶をすすります。はぁ、美味しいわ〜、癒されるぅー。
「それじゃぁ、他の妖怪にもお茶を配りに行って来るね」
「はい」
私にお茶を渡した後、メリー先輩は小豆洗い先輩にお茶を配りに行きました。もう、メリー先輩が淹れたお茶に感動して泣いて喜ぶ小豆洗い先輩を見るの慣れましたよ。最初は驚いたけどね。
「飛頭蛮、その一目五先生って女?」
「いえ、男ですが。それが何か」
と言うか、岸涯小僧先輩は、仕事でぶっ倒れた私を部屋に運んで以来、よく話しかけて来ます。未だに岸涯小僧先輩から意地悪をされる私としては話したくはないけど。
「男か…」
「もちろん、仲はとても良いですよ。一緒にゲームしたり、アニメについて語り合ったり、万里の長城を歩いたり、それに、一目五先生は岸涯小僧先輩と違って優しくて、お兄さんタイプなんでっ!」
なんと、私がまだ話している最中というのに、岸涯小僧先輩は裏に何かあるような笑みで私の頭を胴体から離すと。
「目がぁぁぁあああ」
バスケットボールを人差し指で回すように、頭を高速回転させられました。一体、私が何をしたと言うのでしょうか、ただ単に、一目五先生と仲が良いと言っただけなのに〜。今日はいつもより回転が増してるよ。あぁ、目が回るぅうぅぅぅ
「オレの目の前で他の男と比べるか?」
「目、目がぁあぁぁぁ〜」
小声で小豆洗い先輩がム◯カみたいだと言ったのは気のせいでしょうか。
「飛頭蛮、これから先、オレの前で他の男と比べるな。分かったか」
「うっ…肝に……命じて…おきます………」
ようやく解放された私は、視点が治まるまで時間がかかりました。すると、お茶を持っていたメリー先輩か、私の事を温かい目で見つめていました。
「メリー先輩、どうしたのですか?」
「ふふっ、飛頭蛮ちゃんは愛されてるわね」
どう言うこと?
メリー先輩に詳しく聞こうとしたら、どこからともなく現れた岸涯小僧先輩に
またも、頭を胴体から外され。
「一体、なんですか〜!」
回されました。
メリー先輩は微笑ましく私たちを見ているし、小豆洗い先輩はまだメリー先輩からもらったお茶で泣いているし、28部署の小泣じじい先輩は狸寝入りで知らん振り。その他にも28部署には妖怪がいるけど、誰も私を助けようとはしない、メリー先輩と同じで全員が温かい眼差しで見つめて来るんだけど。
誰でもいいから助けて〜。




