人面魚と人魚の旅 in死海
久しぶりの鯉子と鯉未
それと旅仲間になった人魚のお話
語尾に『〜』が付く鯉、鯉子
普通の話し方をする鯉、鯉未
丁寧な話し方の人魚さん
偶然、海で人魚と出会った鯉未と鯉子は、人魚を旅仲間にして世界中の海を泳いでいた。そして、現在3匹がいる場所はアラビア半島北西部に位置する塩湖、西側にイスラエル、東側にヨルダンと接する死海に訪れていた。
塩湖は湖で海とは繋がっていないため陸に上がらなければ辿り着かないのだか、偶然にも昼間に海辺で魚釣りをしていた狼男を捕まえ、人間には見つからないように布に包まれ、車で運ばれ、担がれ、死海まで連れてもらった。
狼男は昼の間、人間の姿で夜は本来の姿を現すから昼間うちに連れてもらえば問題ない。
「海の塩に慣れたと思ったけど、ここは何倍にも塩が濃いわ」
「肌に染みますね」
「目がぁ〜痛いわ〜」
死海に入るなり、文句を言う鯉と人魚に呆れ返る人間の姿をした狼男。
「当たり前だろ、ここは死海。塩分が多いのは常識だ」
「だから、浮くのね〜」
「死んだ魚みたいだな」
『死んだ魚』という単語に鯉子と鯉未はカチンと来たらしく、口に死海の水を含んで狼男の目をめがけて水鉄砲のように発射した。
「鯉未さん、鯉子さん!落ち着いて下さい」
「目がぁ」
「あぁ、狼男さん。こちらへ」
人魚は死海から上半身を出し陸に近づくと、狼男の目の辺りに右手をかざした。すると、微弱な光が右手を包み数秒後には消えた。
「これで、目は痛くありませんよ」
「おぉ、本当だ」
「一体、何をしたの〜?」
「妖力を使って目を癒しました」
「「人魚さんってすごいわね (〜)」」
妖力には、こんな使い方もあると驚いた2匹だった。
「私達も、もうそろそろ出ないと肌が痛んでしまいますね」
「狼男、今度は綺麗な水があるところに行きたい」
「塩分を綺麗な水で落としたいですもの〜」
「は?なんで俺が」
「狼男さん、お願いします」
手を胸の前で合わせ、お願いポーズをすると、狼男はため息をつきながらも3匹の願いを聞いた。
「サンキューです」
「ありがとね〜」
「ありがとうございます」
人目につかないように3匹を素早く布に包み車に乗せると狼男はある提案をした。
「どうせ、急ぐ旅じゃないんだろ?だったら飯でも食って行かないか。っとその前にお前達、飯は食えるのか?」
「もちろんですよ。毎日、この3匹で海藻とか小魚を食べていますもん」
「そのお店は狼男さんの仲間がやってるの〜?」
「あぁ、友達のミイラ男がやってる店でな、開店するのは夜の8時からだ」
「今からだと時間がかなりありますよね?」
人魚の質問に狼男は答える。
「その店はここから遠いし、まずは綺麗な水でその体を洗い流すんだろ?そうしているうちに時間はちょうどになる」
「まさか、そのお店で私達を食材として売り渡す事はありませんよね?」
「アホか、そんなわけねぇだろ」
鯉未の冗談では済まされない発言に狼男は即答で否定した。
「そうですよ!鯉未さん、鯉子さん、狼男さんは優しい方ですから」
「でも、狼って羊の皮を被ったなんちゃってねぇ〜」
「お前ら、陸の上で降ろそうか」
冗談ですわよ〜と笑う鯉子と鯉未と人魚を車に乗せると、狼男はアクセルを踏んで死海から離れた。
「俺って信用ねぇのかな」
「そんなことないですよ。見た目はいかつくて怖いですけど、話してみると気さくで良い狼男だと思います」
鯉未と鯉子は頬を赤くした狼男を見つめながら
「「若いって良いわよね (〜)」」と小声で呟いていた。




