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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
2章 少年期=学園生活
71/80

対オルトロスは危機の味

更新がだいぶ滞ってしまい申し訳ありません…

更新を再開した理由は、友達に、はよ更新しろや、と脅されたから更新したわけでは決してありません

「求めるは全てを噛み砕く竜の顎=紅口竜牙」



 獲物を嬲るのに飽きたのか、本気で牛のおっちゃんを薙ぎ払おうとしていた前足をドラゴンキラーで弾く。自分で放っておいてなんだが、もの凄い熱気が辺りを覆い尽くしてしまった。正直この気温の中で戦うのは嫌だ。しかしもっと嫌なのは、気温を変えるほど強力な魔法を喰らってもピンピンしている犬だ。一体何を食べたらそんな体になるのだろうか。



「…貴族サマがなに出しゃばってきてんだよぉ」


「いや…チーターのお姉さんに…ちょっとカッコつけてしまったので…頑張ろうかなと…思いまして…」



 戦場にたどり着くとファングに話しかけられたので、ぜいぜいと息切れしながら答える。チーターのお姉さんを安全な所に避難させることだけを考えた結果、随分と遠くに行ってしまっていたようだ。おかげで時間がかかった上に体力をだいぶ使ってしまった。


 オルトロスは獲物を仕留めることを邪魔された怒りからか、唸りながら俺を睨んでいる。お楽しみのところをなに邪魔しとんねんわれ、といったところだろうか。相手をするのは望むところだが、体力が回復するまで待ってほしい。



「とりあえず俺が囮になるので…ファングさんたちは攻撃お願いします…」



 息を整えながら、臨戦態勢になる。息を完全に整える為にしばらくは魔法で牽制をしていくことになるだろう。なるべく体力を使わないようにするために風の魔法を体に付与する。マナの消費量は多少多くなってしまうが、背に腹は代えられない。これで体力を使わなくても速く動けるようになったし、準備万端だ。



「オレ様たちの邪魔だけはするんじゃねーぞ」



 ぶっきらぼうにそう言われたが、どうやら許しは出たようだ。ダメと言われてもやるつもりだったのだが、これで気持ち良く戦える。ファングはこれ以上話すことはない、とでも言うようにオルトロスへと向かっていった。ファングに反応したのか、オルトロスもこちらに向かって走ってきた。


 第二ラウンドの始まりだ。


 オルトロスの動きはやはり速い。体が大きいのもあるが、筋肉の質が違うのだろう。先ほど俺が横槍を入れたことに腹が立っているのか、標的はどうやら俺だ。一直線にこちらの方に来ている。囮役としては俺を標的にしてくれるのは非常に助かるが、気分的にはこっちに来て欲しくない。顔怖いし。



「求めるは行動を妨げる床=滑面絨毯」



 弱音はさておき、予想以上のスピードだったのでまずは動きを止めることにした。使った魔法は滑面絨毯かつめんじゅうたん。水を床にばら撒き、相手の動きを阻害する魔法だ。水は粘り気があり、足を踏み入れると水がまとわりついてくる上に、水の下部は凍っていて思うように動けなくなる。これで時間を稼いで距離を取ろう、そう思っていたのだが。



「グルァアアアアアアアアアアアアアア!!」



 全然スピードが落ちない。しっかりと足を水に踏み入れたのを確認したが、そんなことをもろともせずにこちらに迫ってくる。正直予想外だった。慌てて体に付与していた風の魔法で体を押し、逃げる。しかしオルトロスの方が速い。このままではいずれ捕まってしまう。



「求めるは敵を討つ槍=水槍」



 先ほどのドラゴンキラーが効いてなかったのは耐性のある火属性だったからだと考え、今度は水属性で攻撃してみる。水の槍をニ十本ほど作りだし、右足に叩き込んだ。予想は的中し、今度はノーダーメジではなくしっかりと右足に刺さった。


 刺さった、だけだった。


 十数本の水の槍が長さの三分の一ほどオルトロスの右足に刺さったが、オルトロスはそんなことは気にも留めずに俺に攻撃をしかけてきた。どうやら追いかけっこに飽きたみたいで、遠距離攻撃を仕掛けてきたのだ。片方の頭が口を上に向けたかと思うと、直後に襲ってきたのはビームと言えるぐらい速くて高熱の火炎。



「あ、これ死んだ」



 逃げの体制から無理矢理相手に攻撃を仕掛けたのと、予想外の遠距離攻撃に、俺の体は完全に硬直してしまった。攻撃が外れても追いかけっこでうまく撒けばいい、と高を括っていたのもまずかったのだろう。


 当たれば骨も残らず焼き尽くすであろう火が、目の前まで、迫っていた。

毎度のことですが、感想、誤字脱字などのご指摘は気楽にどうぞ!

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