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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
2章 少年期=学園生活
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黒歴史は挑発の味

 ザッ、ザッ、と多くの足音が暗くて足場の悪い森の道を通り抜けていく。その足音を立てている人物は六人中五人が獣人という、この世界の住人が見れば目を疑う光景だ。


 獣人を買い取った次の日、俺はギルドから依頼を流してもらった。ちなみに流してもらった依頼は採取系が七つ、討伐系が三つだ。あの建物に居た獣人は五十人ほどだったので、それを五人組で十つのチームを作って一つのチームに一つの依頼をこなしてもらうことにした。

 採取系の依頼が多い理由は、獣人はまだ幼い子や病み上がりの人が多かったから、というのと初日からハードなのは何となく嫌だろうと俺が勝手に思ったからだ。


 そんな感じで分けられたチームの中で、最も難易度の高い討伐系の依頼を担当しているチームに、俺は混じっている。目的としては獣人との交流と実力の確認、そして依頼の成功率を上げるため。このチームが担当している依頼は『Aランクの魔獣、オルトロスの討伐』だ。

 オルトロスとは、ギリシア神話に登場する二つの頭を持つ黒い犬のことだ。大きさとしては二メートル強から三メートル弱くらいで、主な攻撃方法は鋭い爪と口から吐き出す火の球といったところだろう。オルトロスの特徴はなんといっても、体の大きさに見合わない飛び抜けたスピードである。並みの冒険者では攻撃がかすりもしないらしい。全体的にバランスも取れており、非常に厄介な相手だ。


 何故俺がこんな厄介な依頼を受けたかというと、俺と獣人の実力が知りたい、依頼の報酬が良い等、細かい理由が幾つかある。しかし最大の理由は、なんでギリシア神話の動物がここにいるか、が気になったからである。このオルトロスに限った話ではないのだが、この世界には聞き覚えのある伝説の生物が何体か存在する。ケルベロス、バハムート、リヴァイアサン、etc。よくよく考えてみれば妖精や精霊なんてのも、地球で見る単語だ。転生して別の世界に来ているはずなのに、地球でたまに見聞きする創作の生物がここに存在するのはただの偶然なのだろうか?



「おい人間よぉ」



 そんな答えの見つからない疑問に頭を悩ませていると、一緒に歩いている獣人に声をかけられた。チームを形成している獣人は、ライオン、牛、馬、チーター、コウモリの獣人で、前三人が男で後ろ二人は女である。俺に声をかけたのはライオンの獣人だ。



「ああ、すいません。ちょっと考え事をしてました。それで何か用ですか?」


「お前、どういうつもりだぁ?オレ様たちを買い占めたり、依頼を受けさせたりよぉ。なにか、オレ様たちが魔獣に嬲り殺されるのを鑑賞したいのかぁ?そうだったらよぉ、期待には添えないぜぇ。オレ様は強いからよぉ」



 やはり、まったく信用されていない。一応俺は獣人に危害を加えはしない、と話しておいたのだが、これまで迫害されてきた歴史を埋めることは出来なかったようだ。まあ、当然といえば当然だが、やはり悲しいものがある。まだ、信頼関係が出来上がっていない状態では都合の良い話には納得しないだろう。なので先ほどの問いに、俺はこう返答した。



「ただの気まぐれですよ」


「はっ!気まぐれかよぉ。長老はお前のことを悪く思ってないみてぇだが、オレ様は騙されねぇからなぁ」


「長老ってあの銀色の狼ですよね?そんなに長い間一緒にいるんですか?」


「それに答えてやる義理はねぇなぁ」


「ファング!!やめなっ!!」



 微妙に挑発を受けて心にダメージを受けていると、後ろを歩いていたチーターのお姉さんがライオンのおっちゃんを嗜めた。貴族に無礼を働いて罰を受けることを危惧しているのだろう。注意されたファングはチッ、と舌打ちをすると黙ってしまった。ライオンのおっちゃんの名前が分かったのは良いが、非常に気まずい。



「…貴族様、少し離れたトコにオルトロス発見」



 目標を発見した旨をコウモリのお姉さんから伝えられたのは、そんな時だった。

冬休み突入!更新速度を上げられるように頑張ります!

感想・誤字脱字は随時募集中!気軽にどぞー

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