前途は多難の味
特に裏ギルドを結成するのに申請などはいらないので、今名前を決めたこの瞬間に裏ギルドが結成されたことになる。
「しかしお前、ネーミングセンスが無いの。ギルドの名前が『自由の森』とは…。せめてもう少し現実味のある名前の方が良かったぞ」
「余計なお世話ですよ!それと俺は現実が嫌いなんです!」
いきなり容赦ない狼に突き飛ばされた気がするが、無事ギルドは結成できたわけである。これからここに居る獣人は苦労するだろうが、仕事をこなしていけばそのうち楽になっていくだろう。
その肝心の仕事だが、夏休みの間は俺が仲介人となってギルドから依頼を流してもらうことにした。もちろん俺が学園に帰ればそれは出来なくなるが、まだ造ったばかりのギルドでは知名度もなにもないので、最初くらいは楽をしてもバチは当たらないだろう。
「あ、あの…」
やっぱ最初は様子見で採取系の依頼で様子を見るか、それとも獣人達の身体能力に期待して討伐系の依頼を受けるか、なんてことを考えていると、下から声がかかった。ほんの少し首を下に傾けると俺と同級生、つまり中学生くらいの猫耳少女がビクビクとしながらこっちを見ている。
猫耳少女はそんなに高くない俺の身長でも視界に入らないくらいに小さい。その原因の一つには、猫背なのも影響しているだろう。目はクリクリとしていて大きそうだが、俯き気味なのでよく見えない。猫耳が生えている髪の毛は、ショートなので猫っぽさが出て活発に動いてそうなイメージがあるが、雰囲気は完璧に引きこもりである。常にビクビクしていてこちらの顔色を伺っているのを見ると、やはり人間が怖いのだろう。なんか気の弱い妹みたいだ。
そんなビクビクした姿も可愛いので頭を是非撫でたいのだが、怖がっているうちは接触は控えたほうが良いだろう。というわけで非常に残念だが、撫でることはせずに目線を合わせて話を聞くことにした。
「何か用かな?」
そう声をかけると猫少女の体がビクッ!、と震えた。可愛いが気にしてたら話が進まなそうなので、とりあえずスルーする。
「ひぅっ!えと、あの…。これから私たちはどうなるんでしょうか…?」
「ああ、そうか。ここに居る人たちに今後のことを説明しなきゃな」
大事なことに気づかせてくれたので「ありがとう」、と言うと「ひゃ、ひゃい!」と返された。お礼を言っただけでこうなるのを見ると、相当怖がられているみたいだ。このままでは色々と説明をしたくても、怖がってしまってうまくいかないのではないだろうか。
というわけで、裏ギルドを結成し依頼を受けていこうと思う、等といった今後のことについて書き留めた紙をみんなで共有してもらい、それを見てこれからどうするか獣人たちで話し合ってもらい、その結果を誰かに伝えてもらうことにした。
その紙は猫耳少女に託し、伝えて貰う役も一応お願いしておいた。そのお礼と、仲良くなるためにポケットに入っていた干し肉を上げると少し喜んでくれた。他の獣人もこんな単純だったらよいのだが。
「ふむ、本当に獣人に危害を加える気はないか。それでもこれからは相当大変じゃぞ?それでもわっしらの世話をするのか?」
その質問に、俺は返事をしなかった。
十月に二回更新頑張るとか言っておきながら十一月は更新できなくてすいませんでした!




