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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
2章 少年期=学園生活
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お化け屋敷は奴隷の味

 帰郷してから丸一日が経過した。久しぶりの実家なので、今日は一日家でゴロゴロと過ごす──────────と言いたいところなのだが、俺は街にくり出すことにした。父上も多少は改心しているみたいだし、家で家族と過ごすのはきっと楽しいことだろう。それでも、俺はこの世界のことをまだよく知らない。転生して十数年しかたっていないので当たり前なのだが、俺はこの世界のことをもっと知りたいのだ。

 と言うことで、やってきたのは街の市場。人が疎らであまり活気があるようには見えないが、以前よりはましに見える。人が少ない割にはここの市場は品ぞろえが豊富なので、実は商人や、他の領地の人の評価が高く、穴場みたくなっているらしい。よく見てみると、客のほとんどが外から来た人だというのが分かる。まあ、ここに住んでいる職人も紙を予定より早く仕上げていたし、色々と優秀な人材が揃っているのだろう、と勝手に想像しつつ、匂いに誘われて焼き鳥らしきものを購入し、街の探索を再開した。


 こうした街の市場の事情は、学園から帰ってくる途中にも見ていたのであまり興味はない。俺が興味を持っているのは『新しいモノ』なのだが、特に見つかる兆しもなく、焼き鳥を頬張りながら歩くばかりだ。このままでは食べ歩きツアーになっちゃうなー、と思っていたその時。『新しいモノ』は唐突にやってきた。


 それは焼き鳥を半分食べ終え、少し治安が悪い区域に入った時、それは起きた。突然、石をぶつけられたのだ。石が飛んできた方向を見てみると、そこにいたのはぼろ布を身にまとった四、五歳くらいの男の子がいた。孤児が貴族を恨んで投げてきたのか?、と考えていると、今度は石が飛んできた方向と逆の方向から、何かが飛び出してきた。男の子の方を意識していた俺は、焼き鳥をあっさりと、路地裏から飛び出して気きた奴に奪われてしまい、そのまま男の子と一緒に裏路地へと逃げられてしまった。


 あまりの手際の良さに茫然としていたが、これは新しい発見だ、と思った俺は二人の孤児を追いかけるために、二人が逃げていった裏路地に入る。しばらく進んでいくと、申し訳程度の敷物の上に何やら怪しい品が置いてあったり、汚い服装をした老人が道に寝そべっていたり、いかついお兄さんが中年のおっさんを脅したりしているのが見えた。どうやらここは、所謂スラム街という所なのだろう。


 地面に落ちている生ごみや人を踏まないように歩いていくが、人の視線が集まりすぎて足があまり進まない。

 今の俺の服装は結構ラフな格好であまり貴族っぽくない格好ではあるものの、実はある理由で俺のことは領地内で有名になってしまったので、こんな格好でも貴族とばれてしまうのだ。まあそのおかげで襲われずに済んでいるのだが。貴族に手を出すのがどれだけ無謀な事か、父上が実権を握っている際に嫌というほど見せつけられたからこその、この結果である。


 そんな、安全ではあるが居心地の悪い通りを歩いていくと、一軒の怪しい建物が目に入った。外装はまさにお化け屋敷で、木造の家なのだが、壁が一部腐って穴が開いていたり、黒く変色していたりと、怪しさ満点だ。

 表通りにこんな建物があったらまず間違いなく近寄らないが、ここはスラム。スラムで建物が浮浪者に占領されていないということは裏稼業の隠れ家か、何かを販売している所だろう。そして入口に見張りが立っていないところをみると、恐らく後者。



「と言うわけで、お邪魔しまーす」



 二人の孤児を追いかける、という当初の目的を忘れつつ、中を拝見してみると、床は綺麗に磨かれているし、埃っぽくもない。意外と清潔だ。しかし、見た目は何とかできても目で見えないものはどうにも出来なかったらしい。

 聞こえてくるのは悲鳴、嗚咽、恐らく精神が壊れてしまっている者があげているであろう雄叫び。何より気になるのは、この腐臭だ。音や臭いも何とかしようとしているのは分かるが、隠しきれていない。


 そして俺は、ここがどういう所か予想はついている。



「──────────ようこそ、『肉屋敷』へ」



 ここは、奴隷売り場だ。

更新速度が落ちる一方で申し訳ないです

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