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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
2章 少年期=学園生活
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少女はお喋り嫌いの味

 二つの椅子を占領して寝ていた少女のお腹が鳴ったのを聞いて思わず定食を二つ買ったのは良かったのだが、寝てるなら食べられないじゃん、と席に戻ってきた時に気付いた。持ったままだと腕がキツイのでとりあえず机に定食を置くと、置いた時の音か、はたまた定食から漂ういい匂いを嗅いだからかは分からないが、いきなり起き上がったと思ったら定食を食べ始めてしまったので、俺も少女が起きたことで空いた席に座ると、定食を食べ始めた。


 定食は日替わりで、今日は固めのパンにサラダ、薄めの味付けのスープに、メインディッシュはうさぎの肉のから揚げだ。その定食を、少女は一心不乱に、俺は黙々と食べ進めること十五分。ようやく話しが出来る状態となった。



「ありがとう」


「ありがとうって何が、っと飯のことか。俺が勝手にやったことだし、別にお礼なんていいよ」



 開口一番の言葉はお礼だった。艶やかな唇から発せられた声は凛としていて、透き通っている。あのネクロマンサーのような体の芯にまで響く声とは違って、癒されるのだ。

 寝てるときには見えなかったお顔を拝見させてもらう。髪は良く見てもやっぱり黒で、セミロングだ。どうやら自分で髪の毛を切っているようで、髪の毛はきっちりと整えられていない。目は眠いのか半開きで、全体的に少し幼い印象があった。素朴ではあるが、磨けば一気に化けそうな感じだ。



「でもどうしてあんなとこで寝てたんだ?あまりの空腹で倒れたとか?」


「お金が無くなったから」


「無くなったって、盗まれたとか?それだったら警備の人とかに行った方がいいんじゃ─────」


「本を買いすぎてしまったわ」


「自分で無くしたのかよ!それじゃあ仕方ないな!」



 どうやら少し抜けてる子らしい。



「お礼がしたいわ」


「だから俺が勝手にやったことだからお礼はいいって」


「何か教えてあげる」


「なんか勝手に話が進んでる!?お礼はいいって。それに教えるって言っても一体何を?」


「あなたが今知りたがっていること」



 どうやらこの子は長い言葉を言うのが嫌みたいで、一言一言が短いのだ。そのため意図を汲み取るのが非常に難しい。



「何で俺が何か知りたがってるって思うんだ?」


「図書館にいるから」


「…期待はしないけど、死体を操る魔法ってあるか?あと、出来れば土の人形を作って戦うときのメリットも」



 このまま言い合っても埒があかなそうだったので、一応聞くだけ聞いてみることにした。どうやら記憶を探っているらしく、返答はすぐには返ってこない。思い出している時間が思ったより長かったので、もしかしたら、という淡い希望を持ったりしたのだが、その子の返答は予想の斜め下だった。



「自分は傷つかずに戦えるわ」


「…?………??…あ、もしかしてメリットの方?」


「そうよ」


「えーと、死体を操る方を教えてくれると嬉しいんだけど」


「知らないわ」


「ですよねー」



 結局返ってきたのは、期待を裏切らない『分からない』というものだった。


 悪目立ちの少年と、魔女の初コンタクトは、どこにでもありそうな普通の情景。だが、この二人が知り合うことで世界が変わってしまうとは、人類には想像出来なかった。人類には。

最近忙しいです助けてください

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