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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
2章 少年期=学園生活
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ローブは不審の味

 浮遊感があったと思ったらその直後に地面に着地していた。胃の中身が逆流しようとしているが、何とか吐き気を抑える。それでいても頭がクラクラしていて、しばらく身動きをとることが出来なかった。



(…どこだ、ここ)



 ようやく思考が安定してきたところで、現状確認。どうやら俺は、転移されたようだ。あの時見た、霞んだ七色の光は、ユリウスの言っていた転移鳥、というやつだったんだろう。場所も変わっている。森の奥深くに転移されていたようで、さっきよりも木が多くて、太陽の光が届いていないのか少し薄暗い。


 地図もなければ現在位置も分からないので、一体どうやって帰ればいいのだろうか。とは言え、じっ、としていても何にもならないので、とりあえず歩くことにした。

 歩きながら周りを見てみると、この辺りはどこか不気味だ。森の奥深くに初めて来て不安になっているからかもしれないが、雰囲気というか空気が、重くて暗い。それと、この雰囲気、空気はどこかで味わっているような気がした。だが、それがいつだったのかは思い出せない。


 そうしてしばらく歩いていると、少し開けた場所に出た。そこで初めに目についたのは、三メートルはあるであろう石柱。それが幾つか、まばらに散っている。中には折れているものもあるので、どうやら古いモノらしい。もしかしたら、近くに遺跡でもあるのだろうか。



「あら?」



 石柱を観察していると、前から声が聞こえた。石柱から視線を外し前を見てみると、いかにも胡散臭そうな、ローブを羽織って顔を隠している二人組が前に立っていた。しかし、最初にこの広場に入った時には見当たらなかったのに、いつからそこにいたのだろうか。



「どうしたの、ボウヤ。迷子?」



 そう声をかけてきた人物に注目してみると、ローブでは覆い隠せなかったのか、長い髪の毛がはみ出ている。髪の毛、口調や声、体型から見るに、女の人だろう。今度はその隣にいる人物を見てみる。顔を隠しているしはっきりと断定は出来ないが、少し筋肉質のように見えるので男なのではないだろうか。



「実はそうなんですよ。学園で依頼を受けてここに来たんですけど、転移鳥に運悪く出会ってしまって…」



 質問に答えないと不信感を持たれる可能性があったので、とりあえず正直に事情を説明した。



「あーら、それは災難ねぇ。帰り方は…分からないからここに来たって感じかしら?」


「はい。ですので、もし帰り方を知っているのなら教えてほしいんですけど」


「ええ、いいわよ。と言っても、ボウヤが今来た道を戻るだけなんだけどね。ほら、よく見てみると道になってるでしょ?」



 そう言われたので、さっき通って来た道を見てみる。確かによく見てみると、誰かが踏み鳴らした跡がある。どうやらこれが道になっているようだ。無意識に歩きやすいところを歩いていたから、俺はここにたどり着けたのだろう。と言うことは、転移された場所で、反対の方向に進んでいれば俺は普通に帰れたのだ。なんとも運が悪い。



「ほんとに道になってますね。ありがとうございます、これで帰れ──────────」



 言葉が止まった。意識していたわけではなく、無意識でだ。その理由は、風と一緒に漂ってきた臭い。この臭い、どこかで嗅いだことがある。そういえば、さっきもこんなことがあったような。そう、この空気もどこかで──────────。

 ここで全て思い出した。



「…ちなみに、あなたたち二人はこんな森の深くで何をしてるのですか?」



 この空気は両親の葬式の時に、そしてこの臭いは両親が火葬されたときに微かに嗅げた臭いだ。おそらくだが、近くで人が焼かれている。



「あ、もしかして気付いちゃった?あーらら、それじゃあ仕方ないわね」



 そうローブの女が言うと、隣からジャキ、と刃物が鞘から出される音が聞こえた。横を見てみると、いつの間にか長剣を持ったローブの男?が剣を振り下ろしている。



「あなたもここで灰になって逝きなさい」

次は戦闘回です。そこでどれだけ盛り上げられるか…

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