優勝は目標の味
「これからは自由時間です。職員さんから話を聞いたり、簡単な依頼を受けても構いません。何か困ったことがあれば、私はしばらくここに居ますので遠慮なく聞いてください」
職員からの説明が終わった後にマグ先生からそう言われたので、今は五人で今後何をするかの話し合い中だ。
それとは別に一つ気になったのだが、自由時間が多すぎやしないだろうか。まあ、初等部の時は時間割が基礎訓練でガッチガチだったので、不満というわけではないのだが。
「職員さんに話を聞くって言っても今は特に聞きたいこともないし、今日じゃなくてもいーんじゃない?」
「まあ確かにユリウスの言う通りだな!そんじゃあ依頼受けに行こうぜ!討伐、討伐!!」
「と、討伐は嫌だなぁ…。お、お花の採取とかのほうが…」
「初めて行くわけだし、ミーシャの言う通り採取系のほうが良いと俺も思うけど…。ダグラスはどう思う?」
とりあえず依頼に行くのは決定っぽいが、依頼内容が決まらず俺がダグラスに話を振ってみたが、返事がない。変に思ってダグラスを見てみると、ダグラスはこっちを向いておらず、どこかを一心に見つめている。視線を追ってみると、そこには一人の男がいた。何やら職員と話している。
「おっ、アイツってザウラスじゃん!職員に話しかけられてるってことはもしかして推薦貰えるんじゃねーか!?」
「推薦?それってAランクになんないと貰えないんじゃねーの?」
「あっ、そっか。ハイラって四年生から学校にいなかったんだっけ。えーと、初等部六年の時に、学園の中でちょっとした大会があったんだけど、それの優勝者があの『ザウラス・クルフォード』。とても初等部とは思えない戦いっぷりだったのはボクもよく覚えてる。その大会にはギルドの人とかも来てて、それで、もしかしたら直々にスカウトされるかもって噂だったんだよ。でもギルドに入れるのは高等部からだから、あーやって話してるのは、推薦状を貰えるかもしれないって話」
とにかく凄い奴っていうのは分かった。だがダグラスは何でアイツのことを見ているのだろうか。
「…アイツは俺の理想なんだ」
「大会の準々決勝でダグラスとザウラスが戦って、ダグラスは負けちゃったのさ。使ってた武器も同じハンマーだったし、戦闘スタイルも似てたから、その日からザウラスはダグラスの目標なんだってさ」
ダグラスは口数が多い方ではないのでたまに言葉足らずなことがあり、今回もイマイチ言っていることの本質が分からなかったが、ユリウスの補助でなんとなく分かった。つまりは試合で、同じような武器、戦闘スタイルの相手に負けてからザウラスを目標としてたから、推薦を貰おうとしてるのを見てやる気スイッチが入ってしまったと、そういうことか。
目標を持つことが出来たんだし、ダグラスにとっては良いことだろう。きっと自分の成長に影響することだろうし。
「…俺も依頼は討伐系が良い」
「だよな!?やっぱダグラスは話が分かってる!」
だが俺的にはあんまり嬉しくなかった。




