依頼所は仲介役の味
いきなりラッツが、強くなりたい!、と言い出したので、割と真面目にどうやったら強くなれるかを議論していると、いつの間にか三時間目になっていることに気が付いた。前を向くと、そこに先生の姿は無く、時間を確認すると授業が始まってからすでに五分が経過している。一時間目、二時間目はチャイムが鳴る前に教室に入ってきていたのに、なんとも極端な先生だろうか。
一時間目二時間目と違って、チャイムの鳴る一分前くらいには全員着席していたのだが、こうなった原因が来ないのであれば意味がない。結局マグ先生が教室に来たのは、一時間目とは反対の意味でクラスが混乱し始めた頃だった。
「いやー、遅れてすいません。いつの間にか寝てしまったみたいで…。この季節はダメですねー、暖かいので眠くなってしまっていけません。皆さんも寝坊なんかには気を付けてくださいね。さて、三時間目と四時間目は皆さんが授業で依頼を受ける際にお世話になる『アドアウス』に見学に行きます。あ、これは毎年勘違いする人がいるので言っておきますが『アドアウス』はギルドではないので、ここのギルドには有名な冒険者はいますか?、なんて失礼な質問はしないように」
二時間目の早口な口調とは打って変わって、ゆっくりと言い聞かせるように話すマグ先生。毎年勘違いする生徒がいるために聞き逃す生徒が出ないようにか、寝起きでシャキっとしていないためかは定かではないが、俺はこっちの方がマグ先生に合っていると思う。
段々と見慣れてきた先生の姿を改めて見てみる。ボサボサの髪の毛に、気怠そうに垂れている目、ヨレヨレの白衣を着ていて、中年なのだが雰囲気は年老いた研究者だ。正直、教師には見えない。
「それと、十二時半を過ぎたら今日の授業はお終いですので、各自下校してください。まあ、そのまま昼食を食べに町に行ってもいいですし、そのまま『アドアウス』に留まっていても構いませんよ。とりあえず、十二時半に今日の授業は終わり、ということは覚えていてください。それでは出発します」
* * * * *
『アドアウス』に来てみての第一印象は、デカい郵便局みたいだった。十数個受付があり、受付の内側にいる人たちは慌ただしく動き回っている。受付は依頼の種類ごとに区分けされていて、討伐、採取、捕獲、雑用、とこんな感じになっている。端の方には依頼申込み、という受付もあった。おそらく依頼を頼みに来る人の受付だろう。
少し興奮気味に『アドアウス』の中を観察していると、まだ若そうな職員の人がいつの間にか近くにいた。どうやらこれから、ここの説明をしてくれるみたいだ。
「皆さん初めまして。僕はここの支部長の『マーク』です。今日はここ、『アドアウス』の説明をさせていただきます。まず初めに、ここはギルドではありません。では何なのかと言うと、ここは依頼人と皆様の間に入る仲介所だと思っていてください。ですが、仕様はあまりギルドと変わりありません。受付で依頼を選び、受注して依頼をこなして、報酬を貰う。これが一連の流れです。報酬は手渡しになりますので、財布なんかにはある程度の余裕をもって来てください。そして、ここでもギルドのようにランク付けがあり、最初はFから始まって最高はAです。ギルドですとSランクまで存在しますが、ここではAランクまでです。さて、ギルドですとランクは個人別に付けられるものですが、ここではチームでのランク付けになっております。ランクを上げる条件は、自分のランクと同じランクの依頼を受けてもらって、その依頼の評価によって、ランク昇格の試験を受ける権利を貰えます。その評価、というのは依頼ごとに異なりますが、依頼をクリアした速さなんかをこちらで加味して、資格十分と判断すれば試験を受けられます。ちなみに、自分たちより上のランクの依頼を受けてクリアしても、ランクが上がったりはしませんし、試験を受けられるわけではありませんので注意してください。そして晴れて、ここでAランクを取得した方にはなんと!高等部に進学した際に有名ギルドへの推薦状を手に入れることができます!」
今まで静かに聞いていたクラスメイトたちが一斉におぉ~!、と感嘆の声を上げた。
高等部に進学すると、今度はギルドに加入することが出来るようになる。ギルドに加入して功績を上げると、騎士になれたり、王族直属の部下や私兵になれたりもするので、皆ギルドに加入するのだが、中には推薦状なんかがないと加入出来ないギルドなんかもある。そのギルドは主にスカウトなんかで入ることが出来るのだが、ここでも良い結果を残せばそうゆうギルドの推薦状が貰えるらしいのだ。
「もちろん皆さんの成績なんかにも影響しますので、皆さんガンガン依頼を受けて、頑張ってランクを上げてください。それでは、私からの説明は以上です。ありがとうございました」
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