妥協は賭け事の味
「いいんですか?あんな風に追っ払っちゃって」
「構わんだろう。私たちの会話に水を差したあいつが悪いんだ、お前も気にするな」
いや、気にするでしょ。最後あいつ思いっ切り俺の事睨んでたし。
「話しが逸れてしまったな。もう一度聞くが、お前の奇策、私に教えてはくれないか?」
「…申し訳ありませんが、お断りします。クロエ会長を信用していないわけではありませんが、特に人に聞かせて面白い話でもありませんし、わざわざこのような場で言うこともないでしょう」
別に話しても良かったのだが、国王には話していないのに娘に話すのは色気に釣られて話した、みたいに思われるかもしれないので止めておいた。それに話したところでメリットもない。無駄なことはなるべくしない主義だ。
「そうか、それは残念だな。まあそっちはそこまで期待してなかったから良かったのだが。さて、次が本題だ。…さっきは断れてしまったが、今度は引き受けてくれるな?」
やられた。引き受けてくれる、と言っていることは何か頼みごとをするつもりだろう。さっきのアレは本命を断りにくくするための布石だったのだ
今も周りの貴族たちが下級貴族のくせにクロエ様の頼みを断るなんて何様だ、みたいな声が聞こえてる。この状況でまた断ったりしたら悪目立ちすること間違いない。
やはり、あの野生児みたいな国王の子どもなだけはある。
「内容、聞いてもよろしいですか?」
「…お前生徒会に入らないか?」
状況が悪化した。周りはどよめきや驚きを通り越してお祭り状態だ。
「父様から聞いたぞ。お前は頭も回るし、自分に正直だそうだな。今中等部の生徒会は、私が抜けた穴を埋めようと四苦八苦しているらしい。少しでも優秀な人材を、なるべく多く確保したいのだ。一年の時から入っておけば経験も多く積めるし、生徒会長の座も狙えるだろう。どうだ、やってみないか?」
「…出来ればお断りしたいですね。私にとってのメリットが少なそうですし、何より私は目立ちたくありません。それにメンドクサそうですしね。人間ならやっぱり楽して生きたいものです」
「本当にお前は正直だな、ますます気に入った。だが今度は、それは残念だ、では済まさんぞ」
「では、どうするのですか?」
「そうだな…。ではこの後、互いの要求を賭けて勝負しないか?私が勝てば、お前は生徒会に入ってもらう。お前が勝てば、お前の願いを一つ叶えてやろう。勝負内容は、模擬戦。もちろん、高等部の私と中等部のお前では戦力差が大きいから、ハンデを付けよう。これでどうだ?」
ここら辺が妥協点だろう。これをまた断れば、今度こそ袋叩きにされそうだ。
「分かりました、受けて立ちましょう」
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