正直者は得の味
「………言いたくありません」
「理由を聞こう」
「王様は私からお金を得た方法を聞けば、まず間違いなく王様は実行されることでしょう。王様は使えるものは何でも使う主義でしょうからね。でも、それをされると私たちは困るんです。王様が睨んでいる通り、私はあるものを売って、莫大な利益を上げることが出来ました。ですが、物は市場に多く出回れば出回るほど価値が下がってしまいます。そうすれば必然と私たちの手元に入る収入も減ってしまいます。そして、いつかまた財政難に陥ってしまうでしょう。それでは、また母上に負担をかけてしまいます。母上は今も父上のことで苦しんでいるのに、これ以上心配ごとになんかに頭を使ってほしくありませんし、幸せになって欲しいと思っています。そのためにはやっぱりお金は必要なんです。なので、私は話したくありません」
救ってみせると言っても、半端な嘘は見破られてしまうし、明確な打開策があるわけでもなかった。母上は俺に決定権を譲ったので、ここは悔いが残らないように自分の気持ちを正直に話すことにしたのだ。これで理解されなかったのならしょうがない、と考えていた。
質問に答えてすぐ、兵士たちが抜刀し始めた。この答えはお気に召さなかったみたいだ。しかし、諦めた直後、王室に轟音が鳴り響いた。
「何をしてる!!さっさと剣をしまわねぇかぁぁぁ!!」
ビリビリと部屋が震える。俺と母上は思わず耳を塞いでしまっていた。それでも耳がキーンとしている。物凄い声量だ。その声の主は、兵士たちが剣をしまうのを確認してからまた王座へと倒れ込むように座った。
「いや、失礼した。兵士たちの粗相は気にしないでくれ。しっかしお前みたいに俺の機嫌を気にせず自分の言いたいことを言う奴は久しぶりだ。今、俺は機嫌がいいんでね、今回の事は不問にしてやる」
一体何がどうなったのだろうか、さっぱり分からん。ただ一つ分かることは、助かったという事。
とりあえず、正直者には福があるというのを、今回身に染みて分かった俺だった。
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