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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
1章 幼少期=理想
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油断は落とし穴の味

一回の競りで三十枚の金貨を手に入れてしまった。一ヶ月に一回のペースで紙を競りに出そうと思っていたので、このまま行くとあと三ヶ月ほどで貯まってしまう。別に悪い事ではないのだが、こうも大きく計画をずらされると何か釈然としない。いや、今回が良すぎたのかも。この値段を上回る事はまずないだろうし、次回は大きく値段が下がるんじゃないか?


 いつから紙の値段が金貨三十枚を超えないと錯覚していた?

 そう悪魔が呟いた気がした。


 結局俺の思い通りに事は進まず、次の月の最終落札価格は金貨四十一枚、その次は金貨五十四枚になった。

 本当にどうしてこうなった。


 その理由を実際に競りに参加していた行商人に聞けた。

 最初の競りは珍しい商品だったのと、その場の勢いであんな値段になってしまったらしい。つまり、本当なら金貨三十枚が頭打ちだったはずなのだ。競りに買った行商人は当然、競り落とした紙を売りに行くわけだがその相手が、競りの価格がうなぎ上りになった原因だ。行商人が紙を売った相手は、他国の大貴族。使い心地が気に入ってそれが評判になり、金貨八十枚で買う、という猛者が現れて紙が流行に。それを聞きつけた行商人が紙を手に入れるためにまた競りに参加し、結果は金貨五十四枚。これだけの金貨を払っても、他国に行けば金貨八十枚前後で売れるのでぼろ儲けなのだ。なので、金貨五十四枚でも少し安いぐらいなのだ。


 これを聞いた時は開いた口が塞がらなかった。紙がこうも高値で取引されるとは夢にも思わなかったからだ。


 計画が狂ったのには少し引っかかることがあったが、無事金貨百枚は手に入れることは出来た。これで借金は無くなり一件落着。

 にはならなかった。


 当時はあまりにも切羽詰っていて気持ちに余裕が無かったからか、はたまた大きな壁を乗り越えることばかりに気を取られていたのか、原因は色々思いつく。とりあえず俺は失念していた。

 没落しかけている貴族が半年も経っていないのに金貨百枚もの大金を稼げるわけがない。父上の貢物も徐々に数が減っていることに王都側が気付かないわけがなく、正攻法では金貨百枚など到底手に入れることは出来ない。となれば、正攻法以外で最も手軽に金を手に入れられるのは金を盗むこと。なので、王都はアースタック家を表面上は助けようとしていたが、実質潰す気でいたのだ。これに気付いたのは、お金を王都に送ってから数日たってからだった。

 父上が居たならば問題を丸投げしてしまえばいいだけだが、いまは不在。そうなれば当然、次は父上の妻である母上に白羽の矢が立つ。


 そして王都にお金を送った一か月後、母上は王都に呼び出された。 

感想・評価、首を長くして待ってマース

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