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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
1章 幼少期=理想
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競りは大穴の味

 遠目から見る広場はあまり活気づいていなかった。王都で見かけた公衆便所よりも人が居ない。この静かさは重い税によって領民が余計な買い物が出来なくなった結果なので、少し申し訳なく思いながらも広場に足を踏み入れた。


 実際広場に来てみると、遠目で見るより人はいた。だがそれは買う立場の人ではなく売る方で、つまりは商人が大勢いるのだ。しかも行商人がほとんどの割合を占めている。実はこの光景、没落しかけた貴族の領地でよく見られる光景だ。


 没落しかけた貴族の領地では、何とかお金を工面しようと家にある価値の高い物を売りに行くことが多い。最初は領地に居る商人に売っていたようだが、徐々に行商人にも売られるようになり、今では貴族が売る物のほとんどが行商人の手に渡るそうだ。

 その理由は何と言っても買い取り価格。普通の商人だとやはり同じ土地に住んでいるので、たとえ貴族が持っているものでも手に入れようと思えば手に入れられるみたいだ。そのため適正価格を下回ってしまうことが多い。しかし行商人ならば手に入れた商品をまた別の所で売りさばくので、手に入れた商品を珍品として扱っている土地でその商品を売れば、そうとう儲けることが出来る。実際、行商人がそうして手に入れた商品は、適正価格の二倍から二.五倍で売りさばいているそうだ。なので必然的に買い取り価格も高くなる。


 なので、今では没落しかけている土地に行商人が大勢集まる。そして今回、その大勢の行商人を利用した商売をしようと思う。

 それは競り、所謂オークションだ。



「行商人の皆様、こんにちは。私はこの領地を治めているディール・アースタックの息子のハイラ・アースタックです。わけ合って父上が公衆の面前に出られない状況なので、今日は私が商品を提供します」



 俺の声は騒然としていたのにも関わらず、結構響いた。そのおかげで商人たちの話し声は止んだのだが、一斉に商人たちの首がこっちに向いたのでちょっと怖い。



「今日は提供できる商品が少ないので、ちょっと趣向を変えてみましょう。今回は皆さんに競りをやってもらいます。物はこの紙!羊皮紙とは違って表面がなめらかで非常に書きやすい一品!しかも裏表両面使える優れもの!初めはファリス銀貨一枚から!紙の枚数は四十枚です!ではどうぞー!!」


「………銀貨二枚」


「銀貨四枚」


「銀貨十枚だ!」



 最初の方は皆戸惑っていたみたいだが、銀貨二枚の声を期に徐々に競りはヒートアップ。俺の見立てでは一回の競りで大体ファリス金貨五~十枚、これを十数回繰り返す。

 そう思っていた時期が私にもありました。


 競りは最後まで大盛り上がりで、最終落札価格はファリス金貨三十枚。


 どうしてこうなった。

一回のオークションで三百万近くの金を稼げたら誰も苦労しませんよね

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