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世の中はどこまでも現実の味  作者: 鬼
1章 幼少期=理想
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紙は金の味

「皆さんには紙を作ってもらいます」


「…おいおい坊主。手を貸すとは言ったが命まではかけらんねぇぜ」



 この世界で使われている紙は羊皮紙が主に使われている。もちろん原料は動物の皮で羊や牛、鹿なんかの皮を使って作っているのだが、その動物、というか魔物が所謂難敵なのだ。

 この世界で羊と言えばスリープメリーと呼ばれるものが一般的だ。この魔物は比較的弱く、近寄ってきた敵を眠らせてそのうちに逃げるだけの魔物なので倒すのは簡単なのだが、問題はスリープメリーと共に行動している魔物で、名をヘルヴァと言う。このヘルヴァと言う魔物、ハイエナによく似ていて個体での戦闘力はさほど高くないが、とにかく数が多い。群れで行動しているので一匹見つければ百匹は近くにいるらしい。これにはゴキブリもビックリだ。ヘルヴァの群れを退けるのは困難で、スリープメリーのせいで遠距離戦を強いられるので、たとえスリープメリーを倒せてもヘルヴァに死体を食われてしまうため皮を手に入れるのがとても難しいらしい。

 他の動物もそんな困難な敵ばかりで、牛はまず絶対数が少ないのでお目にかかることも少なく、もし運よく見つけられても攻撃力と耐久力が異様に高いので倒すのも一苦労みたいだ。鹿に至っては行動パターンが逃げるだけなのだが、とにかく速い。人間じゃ捕まえるなんてとてもじゃないが出来ない。それぐらい速い。しかもこの鹿を好物としている魔物がかなり強く、鹿を狩りに行って自分が狩られてしまう、というのも多いらしい。


 こんな感じなのでこの世界では紙の価値が高く、素人が紙を作ると言えば命をかけるのと同じことだ。もちろん俺は紙作りに命をかけるつもりはない。



「命をかけなくても紙は作れますよ。この紙に作り方を書いておきました。この方法で作った紙は作り方が書いてある手順書のようなものと同じで、本当に作れるかどうかの証拠はこの手順書が証拠です」



 実際はうろ覚えの作り方なので一発で作れるかどうかと言われれば微妙だが、おそらく大方の作り方を知っていればここにいる男たちの手腕でなんとかしてくれるだろう。そういう人材をわざわざ集めたのだ。ちなみに手順書は愛用している魔道書の余ったページを再利用して作った。



「本当に木で紙が作れるのか…って言っても現物があるんだよな。分かったよ坊主、引き受けてやる。ただし報酬は貰うがな」



 紙で大金が手に入ると思うと、紙幣を印刷してるみたいだなー、と感じながらも契約を無事取り付けられたことに安堵し、スキンヘッドのおっさんと契約の印として握手をした。

ヤバい…モチベが日に日に減っていきます…

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