泣きっ面に蜂蜜の味
寮は予想に反して意外と普通だった。部屋は個室で結構小さく、広さは四畳半ほど。と言っても小学生が一人で暮らすには十分な大きさだ。家具も最低限の物しかなく、精神年齢が大人の俺からすれば少し不満だが仕方ないだろう。
食事はこの寮の一階にある学食を食べるようだ。先に料金は親が払っているそうで、行って頼めばすぐに作ってもらえる。このことを知らずに、初めて学食を利用しようとしてお金を出したら学食のおばちゃんに爆笑されたのは内緒だ。
私生活に関しては何の不安も不満もなかった。話しを聞くだけでも満足できるものだった。問題は学園のほうだ。経済・経営について学べれば御の字なんだが、やはり初等部では学ぶことは出来ないだろう。それはまだいいのだが、怖いのはもうすでに学んでしまったことをもう一度やること。最悪の展開は、学問を学ぶのは初等部ではまだ早いと言って、戦闘の訓練ばかりをしていることだ。
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悪い予想と言うのは大抵当たるものだ。俺の場合も例外ではなかった。俺の予想通り、授業は戦闘訓練を中心として行われていた。戦闘以外の授業も簡単な計算、母上から聞いたおとぎ話や伝説などもうすでに見聞きしたことばかり。戦闘もガチガチの訓練ならば良かったが、流石に体の出来ていない子供に厳しい訓練が出来るわけもなく、やっていることは言わば下準備のようなもの。爺やとの過酷な特訓に耐えた俺にとってはとっくの昔に終えたことだ。しかもこの訓練は初等部を卒業するまで続けるそうだ。完全に詰んだ。
学校生活については悪くなかった。周りが純粋な子どもだったお蔭で、コミュ障の俺でも少ないながらも友達が出来たし、没落貴族と言う格好のイジメの的でありながらも、特に目を付けられることもなかった。久しく忘れていた学校の楽しさも思い出せた。だがそれでも、六年という時間を取り戻すだけの価値はない。
そして、悪いことは立て続けに起こるものだ。
事が起こったのは初等部に入学して四年目になろうとしていた時だった。
父上が国の金を盗んだのだ。
戦争中である今、食料が不足しているらしく、貴族には領民から得る税の中の何パーセントかを国に捧げる義務がある。そのかわりに国がお金を支給する。そういった条約があるので領民からの税は穀物やら野菜やら家畜やらになってくるのだが、屑父上は金に目が無い。言ってしまえば、税を食料ではなく金目のものにしたいのだ。そんな欲望を抱えたまま数年過ごし、ついに欲望が爆発した。
国から貴族にお金を支給する際は、普通なら貴族が王都に行って貰いに行くのだが、今回は何故か国から使いを出して貴族に配布していたそうだ。もちろん、貴族一人に対して一人の使いを出すはずもなく、東西南北で区分けして、その方角にいる貴族全員の金をいっぺんに何人かの国からの使いが運んでいたらしい。それを見てしまった屑父上が私兵を使って金を強奪。そこまではよかったのだが、全滅させたと思っていた国の使いが実は何人か生きており、強奪が発覚。その処分を決めるために、俺は一度家に帰ることとなった。
まさに泣きっ面に蜂だったが、この退屈な学校生活が終わると思うと少し微妙だった。
ヤバい・・・話が思いつかない…




