第一話 「プロローグ」
この物語はフィクションです。
グロ描写があります。
最初に1つ言わせてください。僕は2千〜3千文字ほどしか書けないです。
——これは、2013年7月のとある日のことです。……この先は、事件当時の報告書になります。
栃木県南部にて、突如、眼球が赤黒く変貌した家族が発見・搬送された。
翌日、同病院にて患者が殺される事件が発生。被害者は、〝頭部及び右腕が欠損した状態〟で発見され、体に××が使用された痕跡は見つからなかった。
栃木県警は、血痕から犯人が隣の病室の患者であると断定。容疑者は変貌した者の一人であった。
彼は、被害者のものと思われる腕を咥えている場面を目撃され、その場で現行犯逮捕。同病室には、様々な方面に血液が飛び散り、被害者の頭部と思われるものもあった。咥えられていた被害者の右腕だが、所々噛みちぎられており、骨が露出している箇所も見受けられた。
容疑者はその日の内に、拘置所にて死亡した。彼の両腕は原型がわからないほどに変異し、その眼球は搬送時と変わらず、赤黒いままだった。
✕ ✕ ✕
「な、なに…これ…」
このメールを読んでいた、私——織田 絢乃は、そのグロテスクさと、あまりにも悲惨な内容に驚愕していた。
共に見ていた、助手の木之葉 楓もその例外ではなく、読み終わった途端に眉をひそめ、口を開いた。
「最近のニュースと、共通点はあるが…こんな事件、見たことも聞いたこともないな」
「そうだね…」
そう。これほどのものであれば、様々な〝怪事件〟を探し回ってきた私達が知らないのはおかしい。
作り話ではないか、という結論が頭をよぎったが、メールの最後に書かれた名前がそれを否定した。
〈その後、犯人の家族も、同じような姿で亡くなったそうです。犯人が腕を咥えている時の姿は、ひと目見ただけでは野生の肉食獣と見紛うほどのものでした。13年前の、それも一般には公開されていない事件なので、非常に難しいことは重々承知です。ですが、この事件の犯人一家の正体を、どうか暴いていただけないでしょうか。——2026年4月1日 元栃木県警 捜査一課長 陽川夕太より〉
陽川 夕太。私達の知り合いで、文書の通り、過去に栃木県警で捜査一課長を務めていた。もっとも、退職する7年前までの話だが。
「……聞くか?」
「同意。私がかけるよ。」
私はそう言って、スマホから電話をかける。数秒後、想像通りの声が聞こえてきた。
『もしもし、陽川です』
「絢乃だよ。ごめんね、朝っぱらから電話かけて」
私はそう返事をしながら、スマホをスピーカーモードに変え、楓にも聞こえるように、事務所の机に置く。
『いえいえ、老人の私は暇ですから。……昨晩のメール、読んでいただけましたか?』
「うん、読んだ。……とんでもないものを送りつけてくれたね」
『どうも引っかかりましてね…ほら、最近、テレビでも取り上げられている〝眼球が赤黒くなる病気〟に、すこし似ていたものですから』
(当事者でも、似ていると感じる…となると関連性は否めない、か…)
「今、楓とその話をしてた所。まあ、それとの関係性も視野に入れて調べるよ。」
『ありがとうございます。……今のこの国で、あそこまでわかりやすい犯行には、違和感を抱きます。事件の頃にはもう既に、あれがありましたから。使えば、犯人はもっと上手くやれたはずです。』
「確かに、事件当時にはもう普及してるか…。なんで使わなかったのかが気にな……」
「あの、なんで、俺らに送ってくれたんですか?」
楓は、私の相槌を遮るように言った。
「ちょ、ちょっと、乱入して来ないでよ…」
『ふふふ、気にしないでください、絢乃君。その声は…楓君ですか。それはもちろん、一番信頼できる名探偵、ですから。お二人はね。』
「楓、他に聞きたいことはある?」
「もう大丈夫。」
「OK。じゃ、切るね」
『ええ、それでは』
「あぁ、そうだ。最後に一つ、いい?」
『どうぞ』
「今回の依頼についてだけど、依頼の内容上、いつもの契約書じゃまずいから、契約内容を決めるために…」
ふと左手首を見る。そこに着けた腕時計の針は、8時を指していた。
「今日の12時あたりまでに、織田探偵事務所に来て欲しい。」
『分かりました、では後ほど』
陽川が言い終わると同時に、私は終話ボタンを押した。
✕ ✕ ✕
「たいして聞いてなかったが、いいのか?」
陽川に電話をしてから数分後、契約書を書き直している私に、楓がそんなことを聞いてきた。
「メールの内容でほぼ全部っぽいしね。まぁ、気になった所があれば、後で会ったときにでも聞くよ」
「そうか。……それにしても、」
あまり光の通らない事務所に、楓の声が響く。
「なんで13年間も居なかった症状の人が、いまさら出てきたんだろうな」
「それを調べるんだよ、これからね。捜査の予定だけど、私はとりあえず藍の所に行くよ。私達より怪事件に詳しいあの娘なら、何か知ってるかもしれない。」
「わかった。じゃあ俺は、栃木まで行って、聞けるだけ聞いてくるよ。……どうした?」
「ん?……いや、嫌な予感がするんだよ。なにか、大変なことが起こる気がする。」
そこで言葉を切った僕は、窓の外に広がる田園を見ながら、新たな言葉を紡いだ。
「……まあとにかく、僕たちは解決を急ぐことが先決だね。」
楓は、ほんの少し目を見開き、口を動かす。
そこで、自分の声が少し低くなっていることに気づいた。
「所長って、たまに一人称変わるよな」
私はその言葉に、メガネを上げながら答える。
「素が出てるんだよ、きっと。」
———この時、国家を揺るがす重大な事件へと片足を踏み入れていたことを、私達はまだ知らない。
第一話:end.
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
初めまして、作者のKen(仮)です。
これは、僕が書いたとある作品の外伝作品になります。
いやそれまだ投稿されてねぇじゃねぇか!
って言われそうなんですが、まぁそれは無視して。
この作品は、「私立探偵を営む主人公・絢乃が、助手の楓や他の仲間と協力し、陽川の依頼を解決する過程で、やばい事件に巻き込まれる」というお話です。
本当にこれが全てです。これ以外に言い方が見つかりません。
今回は、陽川の依頼を受けて絢乃と楓の行動が決まっただけですが、次回以降は何か進展があるのかな?
この話を書く上で、様々な方に添削・アドバイスを頂きました。
許可をいただいていないので名前は載せられないのですが、この場を借りてお礼をさせていただきます。
本当にありがとうございました!
という感じで、あとがきはこの辺で終わりにさせていただきます。
それでは、次回も楽しみに!!




