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第9章10節: 晴れ渡る心と次の探求
村の散歩を終え、小屋に戻る頃には、私の心はすっかり晴れ渡っていた。煮詰まっていた思考の袋小路から抜け出し、頭の中が清明になっているのを感じる。
巨大な問いに対する答えがすぐに見つかるわけではない。だが、焦る必要はないのだ。この世界で得た「時間」という資源を使い、じっくりと、そして多角的に探求を進めていけばいい。
時には、こうして村人たちと交流し、彼らの生活や知恵から学ぶことも、研究の一部となるだろう。人間の(あるいは、この世界の知的生命体の)営みそのものが、生命とは何か、意識とは何か、という問いに対する、一つの答えを示しているのかもしれないのだから。
「さて、と」
私は気持ちを新たに、書物と向き直った。次は、どの角度からアプローチしてみるか。古代文字の解読を進めるか、それとも魔法理論の考察を深めるか。あるいは、アッシュウッドの森の、まだ調査していないエリアへと足を延ばしてみるのもいいかもしれない。
探求すべきテーマは尽きない。それでこそ、研究者だ。私の異世界での日々は、騒がしくも、そして確実に、充実したものとなりつつあった。




