第7章5節: 環境改善:光と空気と清潔さ
食事療法の第一歩を踏み出すと同時に、私はアリアの部屋の環境改善にも着手した。これもまた、地道だが重要な治療の一環だ。
まずは、光。
アリアが眩しがるかもしれないと侍女は心配したが、私は「体内時計を正常化し、精神衛生を保つためにも日光は必要だ」と説明し、日中はカーテンを開け、柔らかな自然光が部屋に入るように指示した。もちろん、直射日光がアリアに当たらないよう、ベッドの位置などを調整する配慮はした。
次に、空気。
これも侍女に命じ、一日に数回、必ず窓を開けて換気を行うよう徹底させた。新鮮な空気は、呼吸器系の健康だけでなく、気分転換にも繋がる。最初は寒さを訴えたアリアも、徐々に慣れていったようだ。
そして、清潔さ。
部屋の掃除は毎日欠かさず行い、埃一つない状態を保つよう指示。シーツや寝具も、こまめに取り替える。アリア自身の身体も、侍女の手で毎日清拭し、清潔を保つ。抵抗力が落ちているであろう彼女にとって、感染症の予防は非常に重要だ。
私はこれらの指示を出すだけでなく、自らも定期的に部屋を訪れ、状況を確認した。使用人たちは、私の厳しい(彼らにとってはそう見えただろう)チェックに、最初は戸惑いながらも、次第に真剣に取り組むようになっていった。
これらの改善は、すぐに劇的な効果をもたらすものではない。だが、確実にアリアを取り巻く環境は変化し始めていた。薄暗く、淀んだ空気に満ちていた部屋に、光と新鮮な空気が流れ込み、清潔さが保たれるようになった。それは、アリアの心身に、無意識のうちに良い影響を与え始めているはずだと、私は信じていた。




