第7章3節: アリアのための「栄養スープ」
厨房の衛生管理体制を(強引に)整えた後、私はアリアのための最初の食事として、「栄養スープ」を作ることにした。長期間、食欲不振で固形物をあまり受け付けなかったであろう彼女にとって、まずは消化が良く、かつ効率的に栄養を摂取できる流動食が最適だと判断したからだ。
私が選んだ食材は、鶏肉(脂肪の少ない胸肉)、数種類の野菜(ニンジンに似た根菜、カブのような野菜、葉物野菜)、そして米だ。
まず、鶏肉と野菜を細かく刻む。米はよく研いでおく。これらを鍋に入れ、浄化魔法をかけた水を加えて、弱火でじっくりと煮込んでいく。アクを丁寧に取り除きながら、食材が完全に柔らかくなるまで時間をかける。
ここで重要なのは、味付けだ。
塩分は極力控えめにする。代わりに、鶏肉と野菜から出る自然な旨味を引き出すことに集中する。
長時間煮込むことで、食材の細胞が壊れ、旨味成分(アミノ酸や核酸)がスープに溶け出す。魔法で火加減を調整し、最適な温度を保つことで、そのプロセスを促進させる。
煮詰まってきたら、火から下ろし、少し冷ましてから、目の細かい布で丁寧に濾す。固形物を取り除き、滑らかな液状にする。最後に、ごく少量の岩塩と、採取しておいた消化促進作用のあるハーブの粉末を加えて味を調える。
出来上がったのは、淡い黄金色をした、とろみのあるスープだ。
見た目は地味だが、鶏と野菜の優しい香りが立ち上る。栄養素が溶け出し、消化吸収しやすく、かつ弱った体に負担をかけないよう配慮した、まさにアリアのための「薬膳スープ」と言えるだろう。
私はこのスープを保温性のある魔法の容器(これも即席で作った)に入れ、アリアの部屋へと運んだ。果たして、彼女はこれを受け入れてくれるだろうか。




