第5章8節: 饗宴の後と口止めの約束
その後の時間は、まさに饗宴だった。リリアとカイは、生まれて初めて食べる本格的なコース料理(?)に、終始感動しきりだった。
「このご飯、黄色くてキラキラしてる! それに、なんだか元気が出る味がする!」(ピラフだ)
「このお芋みたいなの、外はカリッとしてるのに、中はほわほわ! ちょっとピリッとするのもいい!」(紫根菜のソテーな)
「ふわふわで甘くて、美味しいー!」(綿キノコのデザートだ)
二人の賞賛の声を聞きながら、私も自ら作った料理を味わう。うん、悪くない。むしろ、予想以上の出来だ。異世界の食材と前世の知識、そして魔法の応用。これらが組み合わさることで、新たな味の世界が広がる。これは、研究対象としても非常に興味深い。
結局、作った料理はかなりの量になった。私一人では到底食べきれない。
「リリア、カイ。残りは持って帰るといい。家族にも分けてやるといいだろう」
私は残った料理を、葉で包んだり、リリアが持ってきた容器に入れたりして、お裾分けの準備をした。二人は大喜びだ。
「ありがとう、ハルカさん! 父ちゃんも母ちゃんも絶対喜ぶよ!」
「やったー! また美味しいの食べられる!」
しかし、ここで私は釘を刺しておく必要があった。これ以上、「聖女様のご馳走」などという噂が広まるのは避けたい。
「《《ただし、条件がある》》」
私の真剣な声色に、二人はぴたりと動きを止めた。
「今日ここで食べたこと、そしてこの料理のことは、絶対に他の村人には口外しないこと。いいな? 特にカイ、お前はすぐに吹聴するからな。絶対にだぞ」
私はカイの額を軽く指で突きながら念を押した。カイはこくこくと必死に頷いている。リリアも「わ、分かったよ! 絶対に言わない!」と約束した。
……まあ、期待はしていないが。一応、言質は取った。
これで少しは静かになるだろう、と私は楽観的に考えた。




